FRBが執拗なインフレに敗北
円安が当分続くことに
FRBパウエル議長が16日、遂に利下げ先送りを示唆した。これにより、ドルの見通しは大きく修正せざるを得なくなった。
ドル円も例え、大規模介入があろうと、日銀が追加利上げを前倒ししようと、少なくとも米大統領選までは円安基調が続くとの見方に修正するしかあるまい。ドルの押し目は確実に拾われよう。
FRBを責めてみたところで、どうにもなるまい。労働生産性の向上、外国人労働力の増加、保有資産の増価などを背景に、エコノミストの予測をはるかに越える経済成長の持続性が続く以上、利下げの必要性がなくなったということの現実を受け入れるしかない。
パウエル議長は、1-3月のインフレが堅調だったとして、景気悪化の兆しが見られない中での年内利下げに新たな不確実性がもたらされたとの認識を示した。
インフレ指標が3ヵ月連続で予想を上回ったことを受けて、FRBの見通しが明確に変化したことをうかがわせる強烈な「転向発言」だった。
質疑応答で、議長はインフレがFRB目標(2%)に向けて持続的に低下するとの自信について、「このところのデータは全くわれわれの自信を強めるものではなかった、それどころか、自信を得られるまでにさらに長くかかる可能性が高いことを示した」と答えた。
さらに、物価上昇率がFRB目標を上回り続ければ、政策金利を現行の約23年ぶり高水準に据え置く公算が大きいことを示唆した。
一方で、インフレが予想を若干上回った場合でも追加利上げに動く可能性は低く、景気が急激に鈍化すれば利下げする用意があることもにじませた。
「われわれの直面するリスクに対処する上で、政策は好位置につけていると思う」とし、「労働市場の強さとこれまでのインフレの前進を踏まえると、今は抑制的な政策を機能させる時間をさらに取るのが適切だ」と伝えた。
景気が予想外に急減速した場合、FRBは早期に利下げに踏み切るつもりであろうが、景気後退が顕在化したあとで、利下げしてもすぐにストップさせることができないことは、このミストであれば常識。それをあえて、言及したところに苦悩が表れていることも事実である。
3月のコアCPIは前年同期比+3.8%で12ヵ月連続で前月を下回っていたが、その記録は途絶えた。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは、物価圧力基調をより的確に測る指標とエコノミストはみている。
FRBはCPIよりも全米データをベースとしたPCE(個人消費支出)デフレーター(価格指数)を重視しているが、26日に発表される3月のPCEデフレーターは、前年同月比+2.7%と2月の+2.8%とほぼ同じになるとされているが、議長は3ヵ月と6ヵ月ベースの年率換算インフレ率がこの水準を上回っていると述べており、最近のデータが良くない方向に進んでいると判断しているのであろう。
FRBは過去2年間、40年ぶりの高水準に達したインフレを退治するため積極的に利上げをしてきた。
しかし、議長はここ数ヵ月、労働市場の不均衡が緩和されつつある兆候について満足下に言及している。こうしたメッセージは16日も変わらず、FRBが見通しを部分的に見直しただけに過ぎないことを示唆した。
18日のNY連銀総裁講演もFRB議長発言を一段と重要視することとなったのも間違いない。
「金融政策は良い位置にある。自身の基本シナリオではないが、金融当局のインフレ目標を達成する上で経済データが正当化する場合は、利上げもあり得る、ただ、現行の政策金利を維持すれば、徐々にわれわれの目標に近づいていくだろう、利下げの緊急性は全く感じていない、金融政策は、われわれが望む通りの効果をもたらしていると、私は考えている」と語った。
バイデン再選にマイナスでは?
以前にも記したことだが、FRB議長が3月7日の上院で議会証言、「利下げを始めるのに必要な確信にFOMCは近づいている、遠くない時期だ、6月ごろにはハッキリしているだろう」の翌日、バイデン大統領は、「保証はできないが、きっと金利を設定する小さな組織(FRB)が今後、引き下げに動くと確信している」(フィラデルフィアでの大統領選イベント会場)と言及した。
つまり、明らかにFRB議長は大統領の利下げ要請に答えた上で、「政治的」に6月利下げを想定していたということになる。
では、4月16日のFRB議長発言(利下げ先送り示唆)はどうか。
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2024/4/24の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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