日銀の出方次第となってきた
米ドル一強が目立つ
それにしても米ドルは強い。
ドル指数(DXY)は4月12日、106.03ポイントまで上昇してきた。直近の安値は3月8日の102.76ポイントゆえ、約1ヵ月で3.2%程上昇したことになる。
この間、ドル円は147円04銭から153円20銭へと約4.2%も円下落となったゆえ、相変わらず円の弱さが目立っている。
少し「ドル指数」(DXY)について説明しておこう。
ICE(米インターコンチネンタル取引所)が算出するドルの主要通貨(ユーロ、円、ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフラン)の6通貨に対する総合的なドルの動きを示す。構成比率としてはユーロ(57.6%)、円(13.6%)が大きい。
このDXYの動向で主要通貨のトレンドがわかるゆえ、例えば「ドル円」の予測をするときには欠かせないデータとなる。
なお、G20通貨の年初来の対ドル騰落率では、トルコ・リラマイナス8.8%、円マイナス7.8%が突出していて、豪ドルなど他のG20通貨は、マイナス4%以内にとどまっている。
以前にも記したが、米日の3ヵ月物T-BiLL(短期国債証券)の利回り差が、5%以上も開いていては、「円キャリートレード」が収まるはずもないというところか。
現在、利回り差は5.25%前後であり、仮に米国が6月利下げを実施(25bp)した段階でも5%あたりの差がある。
9月に追加利下げ(25bp)した段階で、ようやくドル円が下落し始めるというシナリオということになる。
4月15日現在、ドル円は153円台後半へと、さらに円安が進行している。もう、こうなってくると例え、日銀が円買い介入をしても一時的な効果しかない可能性が高い。
シカゴ通貨先物市場(IMM)投機筋の円ショートは14万枚と、この10年で最大規模ゆえ、大玉介入となれば一気に5円程度の円上昇はあろうが、必ずや再び円売りを仕掛けてくる。
この想定事態は日銀当局も計算しているはずだ。
それを踏まえた上で日本つまり円サイドから効果的な圧力をかける手だてを、現在の財務省・日銀チームは持っているだろう。
口先介入については既に連発しており、そのトーンも神田財務官を筆頭に最大限にまで強めている。ただ、もうこれ以上のトーン強化は難しく、“犬の遠吠え”、“オオカミ少年”と化す。
一方、介入と言っても漫然と踏み切ることはしない。
まず国際社会で認められているのは、為替の過度な変動や無秩序な動きを抑制するための「スムージング・オペレーション」が、コンセンサスであり、特定の水準や方向へ誘導するための介入は「為替操作」と見なされる。
2023年5月のG7会合で再確認された声明でも、以下のように記されている。
- 為替レートは市場において決定されること、そして為替市場における行動に関して緊密に協議すること。
- 競争力のための為替レートを目標にしないこと。
- 為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る。
実際、神田財務官などの通貨当局者が為替介入を巡り、「あくまでもボラティリティーの問題」との見解を繰り返し表明してきたのも、こうした国際ルールに抵触したと見なされることを回避するためだ。
スムージング・オペが狙いであることを主張したものだ。
一方、市場関係者からは「円独歩安だ。輸入物価上昇に跳ね返り、大幅賃上げの効果が無くなるゾ」と、円買い介入待望論も少なくないが、実のところ、当局としては、そう簡単ではない。
例えばドル円レートの月間変動幅(高値-安値)を見ると、昨年12月と今年1月は8円幅と大きかったが、この2月は4円50銭、3月は4円70銭と縮小している。
現在の153円60銭台(4月15日)も4月当初(151円66銭)からは1.3%程度、3月1日比でも2.3%の円安にすぎない。
つまり、短期変動幅が十分とは言いづらい。
しかし、155円という心理的な節目に近づくとなると明らかに物価高に対する懸念
(恐らく企業は再び製品・サービス価格の値上げ攻勢を強めることに。)が高まり、政権批判に拍車がかかることになる。
さすがに財務省・日銀は米国政府の理解(筆者は4月の日米首脳会談日程の中で、理解を得る機会を持ったと解釈している)をベースに介入実施を決断するのではないか。
もちろん、日米短期金利の利回り差は5%越えのままだし、米国の経済ファンダメンタルズが一気に暗転する可能性も低い。
1ドル147~8円まで押し目を形成するなら、すかさず投機筋は円売りドル買いで対応してくるだろう。
それでも155円の厚い壁を破って160円を次のターゲットにする投機筋の動きを、
155円内に封じ込める「時間稼ぎ」が成功するなら日銀介入も意味がある。
介入を重ねながら環境の変化(ECBの6月利下げ、FRBの6月利下げへのサプライズ警戒)をうまく捉えつつ、日本の7月追加利上げ説を流布していく手法も考えているはずだ。
結論として、 ・・・
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2024/4/17の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。