ドル円の分岐点近し!?
30・31日の日銀政策会合に注目
月末の日銀金融政策決定会合を巡っては、にわかに展望レポートのインフレ見通しが情報修正されるとの観測報道が台頭し始めている。
9月の読売新聞での植田総裁のインタビュー記事の報道発出以降、日本の債券市場では日銀による早期の政策修正観測が高まった。
OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)先物金利をみると、一時は来年初のマイナス金利(政策金利)解除の可能性が織り込まれたほどだ。
その後、9月決定会合で植田総裁が早期の政策修正に対して慎重な姿勢を見せたこと等から、こうした早期のマイナス金利解除観測はやや後退した。
ただ、それでもOIS6ヵ月先物1ヵ月物の金利は依然としてゼロ%を大きく上回って下り、早ければ来年4月会合でのマイナス金利解除の織り込みは続いている。
この理由は、先週号で詳しくお伝えしたように、主に米国の長期金利が近年では記録的な高水準にある(インフレの長期化懸念や連邦政府閉鎖などによる財政リスクプレミアムが要因)ことが、主因であるが、日本の統計等からも政策修正観測が意識されるような結果が出ているのも事実だ。
具体的には、以下の事が挙げられる。
- 円安の継続による輸入インフレの懸念再燃
- 日銀短観調査や連合の来年度春闘における高い賃上げ要求(定昇含む5%以上)などの結果を受けた、今後の物価上振れ期待
- タカ派的だった9月会合の「主な意見」
3.については、もちろん一部の意見ではあるが「2%の持続的・安定的な物価上昇」の実現が、はっきりと視界に捉えられる状況にあると考えており、来年1月~3月頃には見極められる可能性もある」との記載もあり、債券市場の早期政策修正が高まったようだ(但し、ドル円相場のトレンドに変化はない)。
他方、岸田首相は10月20日から開幕した臨時国会で補正予算を成立させる意向を示した。
となると少なくとも年内の解散総選挙実施は不可能に近く、総選挙が来年(秋か)にずれ込むか、そのまま次期自民党総裁選に突入していくとの読みが主流化する。
必然的に「ならば日銀は早期に金融政策正常化を視野に入れてくる」との市場の読みにつながりやすい。
こうした政治環境を見抜いていた財務省の神田財務官(外為市場の政府側責任者)は10月16日、「為替相場が激しく下落した場合には、金利を上げることによって資本流出を止めるか、為替介入で過度の変動に対抗する」と発言した。
イスラエルやロシアなどを例に挙げ、あくまで「通貨の激しい下落時」という「一般論」として述べたものだが、為替担当の財務官が、日銀の所管である「利上げ」に言及したのは異例で、おそらく筆者が記憶する限り初めてではないか。
7月にも、「物価賃金のデータは予想よりも上振れ、内外の共通認識ができつつある」と発言。金融政策変更を促すかのようであった。しかも日銀はこの発言の直後にYCC(イールドカーブ・コントロール政策)の柔軟化を決めている。
この流れの中で、財務省の意向と一体化している日経紙が10月22日、明らかに市場の観測につながる「誘導記事」を掲載した。「日銀、金利操作の再修正論」と題した一文は、予想通り、市場の「早期金融政策正常化」思惑を一気に浮上させたのである。
その旨は以下のとおり。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2023/10/25の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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