FOMCは市場の分岐点を示唆?
9月FOMCの要点
10-12月の米国経済見通しについては、極めて不確実な要素を含んでいるだけに全く予断できないと言っていい。
しかし、我々は状況に応じてFRBの動きを予測していかねば外為市場の見通しも、”博打“同然に等しくなってしまう。
その意味で、今回のFOMCをきちんと分析して、構えておく必要がある。まずは、全体のポイントをまとめておこう。
全体のポイント
(1)2会合ぶりに政策金利据え置きが示され、FF金利のレンジは5.25~5.50%のまま。
(2)3ヵ月ごとに公表のSEP(FOMCメンバーの経済予測)におけるDOTチャート(同金利予測分布)では、23年末のFF金利予想中央値が前回(6月)から不変、5.625%、メンバーの大半が年内追加利上げを想定、ややタカ派的。
(3)FF金利予想中央値では24年末は50bpの利下げ(5.125%)、25年末は125bpの利下げ示唆と、前回から50bp上方修正、24年末については市場予想よりもタカ派的、また、今回初出となった26年末は100bpの利下げ(2.875%)予想、ただ、予想レンジは広く、議長も「DOTは計画ではない」と強調。
(4)SEPの予想中央値をみると、引き続き底堅い景気を反映してGDP成長率、失業率予想が前回から改善、特に失業率の予想が23~25年すべて改善した点はややサプライズ、一方、足下のインフレ減速を反映して、23年のコアPCE(個人消費支出)デフレータの予想中央値は、3.7%に下方修正。
パウエルFRB議長記者会見のポイント
今後についてはデータを注視する必要性を強調。
特にインフレ率がここ3ヵ月の間と同様に減速が続くかを見極めるべきと発言。
次に、来年以降の利下げ予想時期について示唆するつもりはないと言及(前回会合での発言が来年前半の利下げ無しと捉えられたが、そのような意図はないと否定)。
また、現状の実質金利は制限的との基本認識は不変も、景気の予想以上の好調から中立金利(デフレにならない理論的実質金利)上振れの可能性に言及し、インフレ抑止に十分であるかどうかを見極める必要性を指摘。
ようするに今回のFOMCではFF金利予想中央値が市場の事前予想よりも上振れし、パウエル議長の記者会見での発言なども踏まえると、FRBはまだまだインフレ警戒モードであり、タカ派的な内容だったということになる。
SEPとDOTチャート分析
今回のDOTチャートでは23年末の予測中央値が前回(6月)から不変となり、5.625%のままとなった。
ただ分布をみると5.625%の予想が60%強となり、年内11~12月会合での利上げが予想より強く示唆された。
議長記者会見でもデータ次第が強調され、年内利上げの有無については引き続きインフレ指標を注視する必要がある。
24年末と25年末の予想中央値についても、24年末が前回より50bp引き上げられ、25年末も水準が上方修正された。26年末は100bpの利下げ予想となった。
24年以降の予想分布は上下に幅広く、参加者数名が予想を変えるだけで中央値は変化する。
とはいえ、DOT予想中央値は債券市場の想定よりもやや上振れしたと言える。少なくても23年末、24年末についてはタカ派的と受け止められたことは確かだ。
中立金利に関しては、パウエル議長が記者会見で景気の底堅さから現状の認識よりも、上振れしている可能性に言及している。
FOMCメンバーのDOTチャートの「長期展望の金利」(ロンガー・ラン)の予測で、2.5%以上を想定している向きも少なくない。
今後は、この中立金利の水準を巡る議論につながっていくことになるだろう。
インフレ率を巡ってはどうか。
・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2023/09/27の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。