米国の対中“ハイテク王国“潰し
米国の対中半導体規制に注目
3期目に入った習近平体制が経済問題を軽視して柔軟な政策対応を怠れば、政権基盤も早期に弱体化するリスクが高まるとする報告書を日本総研が発表した(10月28日)。
中国政府が早期に対応すべき課題として、以下の三つを挙げている。
・新型コロナ
・不動産市場
・米中対立
この中で米国による対中半導体規制により、中国の製造業全体に深刻な打撃がもたらされる可能性を指摘しているのが目を引く。
中国共産党大会で了承された活動報告では外国の覇権主義や内政干渉などに反対するといった対外的な強硬姿勢が打ち出されているのが目を引く。
一方、取り組むべき経済問題は特に示されていない。
しかし、同報告書は中国経済に与える悪影響が大きい様々な問題を中国政府が抱えていることを注視している。
とりわけ早期に対応すべき課題として挙げているのが先の三つであるが、現在、中国経済は製造業、特に技術において米国に依存する部分が大きいとして、米中対立の激化に伴う影響を重視している。
中でも詳しく書かれているのが半導体。10月7日に発表された米国の対中輸出規制は、半導体を中心にさらに強化されている。
先端半導体に用いる装置などを中国に輸出する場合、米国企業は事前に米国政府の許可を得ることを義務付けられた。
米国企業はすでに中国軍との関係を理由にファーウェイなどとの取引を禁止していたが、さらにその対象を拡大している。
米政府の対中輸出規制強化によって、中国企業との取引を停止するという米国の半導体関連企業の発表が相次いでいる。
また、米国人技術者が中国の半導体生産・開発へ関与することが禁じられたため、中国の半導体産業で働く米国人が退職を迫られているといった影響も出ている。
報告書が重視しているのはこうした様々な変化だ。
米政府の対中輸規制強化についてはロイターも以下のように伝えている。
措置適用となれば、米国の技術を利用する米国内外の企業による
中国の主要工場および半導体設計業者への支援が強制的に打ち切りとなり、
中国の半導体製造業が立ち行かなくなる可能性がある
さらに10月27日には、先端半導体製造装置の対中輸出を制限する米国の新規制に足並みをそろえることで米政府は同盟国と近く合意する見通し、という米商務省高官の見解も続報として流している。
日本総研の報告書でも、米国による新たな半導体規制で、中国では先端半導体の製造能力拡大がかなり厳しい状況になっている。
中国政府は報復措置などを考えているようだが、対米輸出規制などは自国への悪影響が伴うものが多く、やはり米国との対立の緩和に動かない限り、中国経済への悪影響はさらに拡大する恐れがある」と記している。
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(この記事は 2022年11月23日に書かれたものです)
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