米国経済動向
米製造業景気の回復はモノの物価を押し上げる
米国経済の拡大ペースは加速しつつある。
3月のISM製造業景気指数は50.3と前月の47.8から上昇し、2022年9月以来の50超えとなった。ISM製造業景気指数の50超えは、製造業景気が上向きに転じたことを示す。
2020年以降のコロナショックが製造業景気にどういう影響を及ぼしたのか、振り返っておこう。
2020年のコロナウィルス感染拡大で、サービス需要が落ち込む一方、モノに対する特需が起き、製造業景気は一時的に急拡大した。
だが、22年後半以降は、感染収束に伴う経済再開により、娯楽などのサービス需要が徐々に盛り上がり、それが経済活動を支える一方、製造業景気は特需の反動もあって停滞した。
ここへきてのISM製造業景気指数の50超えは、停滞していた製造業景気が上向きに転じたことを示す。同指数のなかの先行指標である新規受注指数は51.4と、やはり50を上回っている。
新規受注指数は1月に52.5とすでに50超えとなったあと、2月は49.2と再び低下したが、3月は再び50超えとなった。この新規受注指数の動きは、先行きについても、製造業景気の回復が続くことを示唆している。
米国経済については、ここまでサービス業が経済を牽引し、製造業が足を引っ張るという構図だった。
しかし、この先は、サービス業、製造業が、ともに経済を牽引するという構図に変わっていくはずだ。そして、製造業景気の底入れは、モノの需要が持ち直していることを意味する。これはモノの価格の底入れにつながる。
モノ(食品・エネルギーを除く商品)の消費者物価の前年比は、22年2月の12.5%をピークに鈍化し続け、今年1月、2月は2か月連続でマイナス0.3%と下落している。
これに対して、サービス(エネルギーサービスを除くサービス)の消費者物価は2月時点で前年比5.2%と高水準で推移している。
サービス価格は高止まるが、モノの価格下落が米国全体のインフレを鈍化させている。
しかし、製造業景気の回復はモノの需要回復を意味する。それはモノの価格を上昇させることになる。
少なくとも、これまで米国全体のインフレを鈍化させてきた、モノの価格下落という要因はなくなるだろう。
それは米国のインフレ率を反転、上昇させることになるだろう。
雇用増テンポ加速に加え「寛容な移民政策」が修正され、労働需給は逼迫へ
また、昨年末以降、米国の雇用増加ペースは速まっている。
直近半年間の雇用の前月比増加数をみると、昨年10月16.5万人増、11月18.2万人増、12月29.0万人増、今年1月25.6万人増、2月27.0万人増、3月30.3万人増となっている。
ガソリン価格高騰と米長期金利上昇などの影響による景気減速から、昨年10、11月の雇用増加ペースは、20万人を下回る、いわば「緩やか」なペースだった。
しかし、12月以降の雇用増加ペースは、直近4か月(昨年12月~今年3月)の平均で28万人増と、30万人近い「かなり速い」ペースに変わってきた。
民間雇用の増加幅は20万人程度と緩やかだが、これに政府部門の雇用(月6~7万人増)が加わり、全体で30万人近い増加となっている。
いずれにしろ、これは、労働需要が大きく盛り上がっていることを示す。
一方、労働供給の動きを示す、「労働力人口」の動きはどうなっているのか。コロナショック以前からの動きを振り返ってみよう。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/4/8の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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