NVIDIAへの熱狂は続くのか?
エヌビディアの高成長は続くが、収益の増加テンポは鈍化している
エヌビディアが現在の熱狂的なAIバブルの中心的な位置にあることは明らかだ。
3月1日時点の株価は822ドルで、今年度(24年2月~25年1月)の1株当たり利益予想の24.5ドルを元に株価収益率を計算すると34倍とかなり高い。
だが、ナスダック総合指数の株価収益率が29倍と全体的に高いこと、エヌビディアが23年以降、高い成長を遂げており、今後も高い成長が見込まれること、などを考慮すると、34倍という株価収益率が極端に高いとは言えないかもしれない。
エヌビディアの株価は昨年3月末277ドル、6月末495ドル、9月434ドル、12月末495ドルで、昨年後半以降、年末までは400ドル台で推移していたが、今年に入り、約2か月間で66%上昇した。
この2か月間での株価上昇は急で、業績を背景とした株高とは言い難い面もある。
売上高や利益は確かに急拡大している(図1参照)。
売上高は22年8~10月59.3億ドルを底に、11月~23年1月60.5億ドル、23年2~4月71.9億ドル、23年5~7月135.1億ドル、8~10月181.2億ドル、23年11月~24年1月221.0億ドルと増加した。
24年2~4月の売上高予想は241.3億ドルとなっている。直近の23年11月~24年1月の売上の事前予想は204.1億ドルだったが、実績は前述通り、221.0億ドルと大幅に上方修正された。
同様に、当期利益は22年8~10月14.6ドルから、11月~23年1月21.7億ドル、23年2~4月27.1億ドル、23年5~7月67.4億ドル、8~10月100.2億ドル、23年11月~24年1月128.4億ドルと増加した。
24年2~4月の利益予想は136.8億ドルとなっている。直近の23年11月~24年1月の利益の事前予想は114.0億ドルだったが、実績は前述通り128.4億ドルと、やはり大幅に上方修正された。
このようにエヌビディアは高成長を遂げているわけだが、成長ぺースが鈍化しているというのも事実だ。
売上の前期比増加幅をみてみよう。
23年5~7月は前期比63.2億ドル増となったが、8~10月は46.1億ドル増、23年11月~24年1月39.8億ドル増となり、24年2~4月は予想通りなら20.3億ドル増とさらに増加幅は縮小する。
「増加幅」ではなく「増加率」でみると、成長テンポの鈍化はよりはっきりわかる(図1参照)。
23年5~7月は前期比87.8%増と2倍近い増加だったが、8~10月は34.2%増、23年11月~24年1月22.0%増となり、24年2~4月は9.2%増と1桁増に鈍化する見込みだ。
成長ペース鈍化の原因は供給能力不足にあるとされるが、どの程度が供給不足でどの程度が需要減退によるものかははっきりしない。
AIをどのように商品化していくかが問題
エヌビディアはAIに大量のデータを学習させるディープ・ラーニング(深層学習)に使われるGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット、画像処理半導体)に特化している。
GPU市場の8割程度のシェアを占め、同市場をほぼ独占している。
したがって、AIをディープ・ラーニングさせたいというニーズが多くの企業で盛り上がれば盛り上がるほど、GPUに対する需要が増加し、エヌビディアの売上も増えるということになる。
エヌビディアの売上高の8割がデータセンター向けとされるが、エヌビディアの最新のGPUであるHGX-H100を搭載するAIサーバーの販売先は、世界でわずか3社とされる。
3社というのは、米国のスーパーマイクロ、台湾のクアンタ・コンピュータ(広達電脳)子会社のクアンタ・クラウドテクノロジー、同じく台湾のギガバイト子会社のGCT(ギガコンピューティングテクノロジー)で、AIサーバーを取り扱う大手IT企業だ。
これら3社は、AIサーバーのほか、AIベースのソフトウェア製品などを商用化しようとしている。
だが、それが成功するかどうか、またはどのようなタイムラインで成功するかは不透明だ。
このところ、IT分野以外の業界でも「AI関連投資」が盛り上がっているが、こうしたAI関連投資によって、短期間でコストの大幅な削減が可能になったり、生産量を増やせるという具体的な確証はないようだ。
「AI関連投資」の多くは、単に時流に乗り遅れることへの不安から行われている可能性がある。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2024/3/4の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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