停滞感強まる中国経済
ゼロコロナ政策の反動などで成長率や消費関連統計の前年比が
一時的に高まっている
中国の昨年10~12月の実質GDP前年比は5.2%と比較的高かった。だが、中国経済の実態は悪いままで、状況はこの半年間で一段と悪化しているようにみえる。
公表数値が本当に中国経済の実態を表わしているのか、といった問題もあるが、前年比で示される、成長率などの経済指標の数値が高くなっているのは、ゼロコロナ政策により22年の経済が落ち込んだ反動にょる部分が大きい。
前述した通り、昨年10~12月の実質GDPは前年比5.2%だったが、2年前比年率で計算すると、4.0%だった。図1でみる通り、中国の実質GDP前年比は2019年前半まで6%以上だった。
だが、米トランプ政権の対中高率関税など米中経済摩擦の影響から、19年後半以降、6%を割り込んだ。
その後、バイデン政権下でも米中経済摩擦は変わらず、加えて、後述する通り、人口減少とそれに伴う不動産開発投資のストック調整(不動産不況)、習近平政権への不信感を背景とする資金逃避などにより、中国の経済成長率は4%程度に鈍化しているとみられる。
成長率の数値同様、昨年12月の鉱工業生産は、ゼロコロナ政策の反動で前年比6.8%増加したが、2年前比年率でみると4.0%増だった。
消費関連統計にも、ゼロコロナ政策の反動の影響が数値に表れている。昨年12月の実質小売売上高は前年比7.7%だったが、2年前比年率でみると1.9%増と、ほとんど伸びていない。
不動産開発投資のストック調整により投資全体の伸びは
減速、不動産不況も続く
一方、設備投資と公共投資を合わせた投資の指標である、固定資産投資については、ゼロコロナ政策の影響が大きくなかった。
昨年1~12月の固定資産投資の前年比は3.0%、2年前比年率では4.0%だった。
消費関連統計と違って、投資関連については、ゼロコロナ政策の反動増はみられず、固定資産投資の伸びは徐々に鈍化している。
固定資産投資のうち、鉄道、道路などのインフラ投資は2010年代後半の2割増のペースから増加ペースは減速したが、それでも現在も前年比6%程度のペースで増加している(図2参照)。
これに対して、22年初めまで増加していた不動産開発投資は、22年後半以降、急速に悪化し、現在では前年比1割程度の「減少」となっている。
不動産開発投資の減少が、ここまで中国経済の牽引役になっていた投資の伸びを鈍化させていることは確かだ。
産業別にみると、中国の不動産業は裾野まで含めると経済全体の3割程度を占めると言われるが、不動産業の経済活動は落ち込んでおり、それが経済全体の足を引っ張っている。
昨年10~12月の名目GDPは前年比4.2%増、2年前比年率で3.3%増加したが、不動産業の名目GDPは前年比3.6%減、2年前比年率で4.8%減少した(図3参照)。
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2024/2/13の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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