円上昇はどこまでか?秋口が鍵なり
7日からドルが下がり始めた。ドル円も6月30日に145円台まで円高ドル安が進行したが、この日に一転して142円07銭まで円上昇。
ユーロドルも前日の1.0834ドルから1.0973ドルへと跳ね上がった。材料視されたのは6月の米雇用統計だった。非農業部門雇用者数が前月比+20.9万人と、市場予想の同24万人を大きく下回った。
ただ、失業率は前月の3.7%から3.6%に改善、平均時給も前年比+4.4%と市場予想(+4.2%)を上回るなど、総じて強い結果だったと言える。市場では7月FOMC(25・26日)での利上げが9割方織り込まれていた訳で、ドル金利も2年債利回りが若干上昇した程度だった。
にもかかわらず、ドルが円を中心に売られたのは、投機筋の動きが主体だった。ドル円が特に急落したのは145円の頭が重く本格的に突破できないと見た投機筋が、この雇用統計のタイミングでポジションを落としたとしか考えられない。
10日のブルームバーグニュースでは、以下のような情報が伝えられた。
「ヘッジファンドなどレバレッジを使う投資家の、米ドルポジションは7日までの週に2万枚のネットショートに転じた。先週は5196枚のネットロングだった。ブルンバーグ・ドル・スポット指数は年初来から1.6%下げている」
一方、シカゴIMM通貨先物市場の円ショートポジションは11万8千枚と、2018年1月以来の高水準となっていたことは確かだ。
これまで円ショートポジションが10万枚を大きく超えると、ポジション調整が起こる傾向があったゆえ、一気にポジション整理に動いたのだろう。
7日の海外市場で伝えられた6日の日銀内田副総裁のインタビュー記事も材料に使われた。
総じて「緩和維持」路線であることに変わりないが、YCC(イールドカーブ・コントロール)については、「市場機能に影響を与えていることは強く認識している」認めた上で、市場機能に配慮し、「バランスをとって判断したい」と述べ、将来の見直しの可能性についても言及。
「急速かつ一方的な円安は先行きの不確実性を高めて望ましくない。引き続き政府と連携し、金融為替市場の動向や経済への影響を十分注視したい」と発言。
IMM投機筋としては、市場のドル売り円買いを巻き込んでの円ショートカットには、千載一遇の材料と判断したのは当然であろう。
週明けの10日の海外市場で、今度は12日発表の米国6月CPI(消費者物価指数)で、予想以上に伸びが鈍化するのでは、との見方が浮上。
ドル円は141円台前半へとさらに円上昇。翌11日もその流れを受けて米国長期金利も低下し、140円台前半となった。6月末からの円上昇幅は約5円と、最近では目立っている。
市場の次なる材料は12日の米CPIとして、相当の注目を集めている。当レポートは13日発行ゆえ、既に終えているが、エリオット波動理論からすると、ドル円はドル上昇波動第4波の下向き(ドル安)局面にあり、3月の円高値137円91銭が次のターゲットになる。
仮に、その前後で再び円安局面になっても続かず、中期的には130円割れに向かう可能性が高いゆえ、この6月の米CPIの中身は重要となろう。
したがって、CPIの動向分析は客観的に見定めておくことが必要となる。
米国のインフレ動向に注目
米6月のインフレ率が2年ぶり水準となる3%前後に鈍化したと発表される見通しだ。変動の大きい食品・エネルギー価格を除いたコアCPIも5月の5.3%上昇から、1年ぶりに約5%上昇に鈍化する見通し。
エコノミストはコア指数が今後数ヵ月でさらに鈍化し、3.5~4%になる可能性があるとみている。
コア指数は今年高止まりしているが、エコノミストたちは改善に向かう、二つの大きな理由があり、12日発表の6月CPIが皮切りになるとみている。
楽観論の一つ目の理由は、・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2023/07/12の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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