英ポンドはロングを避けるべし
直近のポンド推移と経済データ
6月のポンド(対ドル)相場は1.2445ドルで始まった後、1.25ドルを挟んで方向感に欠く値動きが続いた。
13日に発表された4月雇用統計が市場予想を上回る結果となると、さらなる利上げが必要との見方が強まり、ポンドは上昇を開始。16日には高値1.2849ドルまで上値を拡大した。
その後は、FRB議長の議会証言を控えて少しずつ上げ幅を縮小させたが、21日には議長が下院の証言で、「年末までに幾分かの追加利上げが適切」としつつも、利上げが最終地に近づいているとの認識を示したことで、米金利が低下。
ドル売りとなるなかでポンドが持ち直すと、22日にはBOEが50bpの利上げをしたことで一時高値付近まで反発する場面がみられた。
だが、FRB議長が上院の証言で、「年内あと1回、もしくは2回の利上げが適切になる」と、発言したこともあり、ドルが反発するとポンドは下落。
28日に行なわれた主要先進国の中央銀行総裁によるパネルディスカッションでは、BOEベイリー総裁が根強さを増すインフレに対処していくなかで、政策金利の高止まりが市場予想よりも長引く可能性を示唆したが、英国最大手の水道会社の経営懸念が報じられたこともあってポンドは下落した。
7月3日現在は1.268ドル近辺。対円でのポンドは続伸中。6月初めは173円30銭台からスタート。174円挟みでの推移が続くなか、7日には安値172円後半まで下落する場面もみられた。
だが、同水準で下値の堅さが確認されると反発。日米欧の金融政策決定会合を通過しつつ、勝勢を強め、16日には180円台に上昇。
その後、小緩む場面もみられたが、円売りが続くなかで上昇幅を拡大すると、27日には2015年12月以来の高値183円76銭をつけ、7月3日現在も183円台後半での推移となっている。
6月に発表された英国の経済指標はまちまちとなった。6月の製造業PMI(速報値)は47.1と市場予想を上回ったものの、
引き続き景気の拡大・縮小の分岐点たる50を下回る水準での推移が続く。
一方、サービス業は依然として堅調に推移している。また、消費者のマインドは一段と改善し、消費者信頼感指数は5ヵ月連続で前月比改善した。
物価をみると、5月のCPIは伸びが鈍化するとの市場予測に反し、前年比+8.7%と前月比横ばいにとどまった。
また、コアCPIはサービス価格の上昇を主因に一段と伸びが加速し、1992年3月以来となる7%台となった。
失業率も予想外に低下したうえに、賃金上昇率(除く賞与、3ヵ月平均)は前年比+7.2%と、コロナ禍の2021年6月に記録した同+7.3%に迫る水準まで加速。労働需給の逼迫が広範な物価上昇圧力につながっていることが改めて確認される結果となった。
ただ、7月以降は、光熱費の上限引き下げによって、インフレ圧力が和らぐ可能性がある。
エネルギー価格の上昇を受けて、ガス・電力市場局は従来半年ごとに、実施していたエネルギー価格の上限見直しを、今年から四半期ごとの実施に変更している。
7月~9月の四半期は、3280ポンド(約59万円)から、2074ポンド(約38万円)に引き下げられることになった。
足下では政府による支援策が継続されており、世帯ごとの支払額の上限は2500ポンドに、とどまるが、7月以降、標準的な世帯の支払額は2074ポンドへと約17%減少することになる。
タカ派のBOEスタンスが続く
BOEは6月22日にベース金利(政策金利)を08年秋以来となる5.0%に引き上げた。
足下の景気、物価、労働関係指標の上振れを受け、今回のMPC(金融政策審議委員会)での追加利上げは事前に広く予想されていたが、利上げ幅を25bp(0.25%)から50bpに再加速した点がサプライズと受け止められた。
BOEは・・・
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2023/07/05の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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