コスト増により国内企業の利益減少は続く
増収減益の動きが鮮明
国内企業の利益が減少し始めた。
財務省・法人企業統計によれば、昨年10~12月金融・保険を除く日本の企業全体の経常利益は前年比同期比2.8%減少し、7~9月の同18.3%増のあと、小幅ながらマイナスとなった。
四半期ベースでみると、昨年年央が利益のピークだった。
経常利益は22年4~6月まで増加傾向だったが、7~9月前期比7.3%減、10~12月同1.4%減と2四半期連続の前期比減少となった(図1参照)。
一方、売上高は増加傾向を続けている。
昨年10~12月の売上高は前年同期比6.1%増と7~9月の8.3%増から伸びが幾分鈍化したものの、堅調に増加している。
ただ、これはインフレによって売上が水増しされている分が大きい。
GDP統計によれば、国内生産品と輸入品を合計した「総需要」の物価(デフレータ)は昨年10~12月に前年同期比5.1%上昇した。
この物価上昇分を差し引いた実質売上高は、前年比1%程度しか増加していないことになる。
とは言え、売上高が増加しているのに利益が減少に転じ始めたのは、コストの増加幅が売上の増加幅を上回り始めたことが理由だ。
10~12月の人件費は前年同期比2.4%増と増加しているが、なお伸びは売上の伸びを下回っており、低水準だ。
人件費に減価償却費や利払い費などを含めた固定費全体も同2.9%増と、コロナショックで減少した後、緩やかに増加しているが、伸びは売上の伸びを下回る(図2参照)。
固定費についてはまだ利益を圧迫するほどの要因にはなっていない。
一方、売上原価などの変動費が売上の伸びを上回り、急増し始めた。
変動費の前年同期比増加率は7~9月9.2%、10~12月7.5%増と売上の増加率(7~9月8.3%増、10~12月6.1%増)を上回り始めた。
変動費の急増が利益減少要因になっていることは明らかだ。
そして、変動費の急増は、エネルギー、食糧などを中心とする国際商品市況上昇などによる輸入品の価格上昇が主因だ。
交易条件悪化に遅れた変動比率上昇で、営業利益は今後3割弱減少も
図3にみる通り、交易条件(輸出物価÷輸入物価)と変動比率(売上高に対する売上原価の比率)は、コロナ前まではほとんど連動して動いていた。
交易条件は、20年7~9月以降、急速に悪化(グラフの線は上向き)した。
足元では、原油などエネルギー価格が反落したため、悪化に歯止めがかかったが、この2年間での交易条件悪化は大幅だったため、交易条件は相当悪いままの状態でとどまっている。
一方、変動比率は、21年4~6月を底に緩やかに上昇していたが、直近2四半期の変動比率の上昇はやや急だった。
これが利益を減少させたことは間違いない。だが、交易条件の急速かつ大幅な悪化に比べると、変動費率の上昇は始まったばかりで、ここまでの上昇は緩やか、かつ小幅だった。
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2023/03/06の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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