市場介入と為替相場
前回の記事はこちら
https://real-int.jp/articles/1778/
1.単独介入
財務省の指示にもとづき日銀が市中銀行(ときにブローカー)にドル売り・円買いを依頼する。
この際、日銀は市中銀行に「守秘義務厳守」を言い渡すが、アナウンスメント効果を出すためには敢えて何も言わない。あるいは日銀ないし財務省が事実を公表(今回のケース)
2.守秘義務厳守
「守秘義務厳守」を言われても言われなくても、市場の人間の口に戸はたてられないのが実態だ。相場の機微に敏いのが市場である。刻一刻、噂が事実として伝播していく。メディアが報道すれば、数分で市場全体に流布する。
3.介入継続
当局が執拗に介入を続けるかどうかによってその後の相場動向が変わる。初回の介入後の市場の動きは凡そ図の様なものである。
ドル高(円安)の例
①介入直後「ドル急落→ドル急反発」
・急落後、投機筋は良い押し目と見てドルを買う。
・急速なドル高に焦りを感じていた実需筋はチャンスと見て、ドルを買う。
②揉み合いに移行
しばらくは揉み合いが続く。
③次第に底堅く
基調ドル高なので次第に底堅くなる。
④最高値更新テスト
直近最高値を試す展開に移行。
このタイミングで再び介入を行い失敗すると(初回の様に買いが引かないと、あるいは反落しないと)、市場を勢いづける。
⑤次第に買いが引く
ただし、高値更新に失敗すると、次第に買いが引く。このタイミングで再び介入を行うと、効果がある。
介入の種類
スムージング・オペレーション
上値を押さえ込み、相場の昂進を抑え、安定相場を目指す。
押し下げ(押し上げ)介入
レベル調整を行う介入。今回の局面(ドル高局面)では、ドル円相場の上値を押し下げるため、下値圏でも追加介入を実施する。
単独介入が効かない場合は他国の通貨当局との協調介入もあり得る。
注意
日本の外貨準備に限界があるので、ドル売り介入(外貨売り介入)には限界があるとの見解もあるが、間違いである。通貨スワップ協定内であれば、その限りではない。
本テーマ第3回に続く・・・
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