ECBも急速な利上げ路線へ
インフレ対応が待ったなしの状況に
コロナショックに際して緩めすぎた金融政策を正常化しようという動きが各国で進んでいる。年初から金融政策正常化を速める米FRBに幾分遅れる形で、ECBもこれを急ピッチで進めようとしている。
ECBは6月9日の理事会で、量的金融緩和策である、資産購入プログラムによる債券買い入れ(APP)を7月1日に終了し、また、現在マイナス0.5%の政策金利については7月中に0.25%引き上げる方針を声明文に記した。
この決定内容は5月に事前通告された通りだ。ECBは5月23日、ラガルド総裁名でホームページに「ユーロ圏の金融政策正常化」と題したブログを発表していた。そこで示された政策は以下の通り。
資産購入プログラムによる債券買い入れ(APP)を7~9月期の非常に早い段階で終了する。
政策金利については「7月の会合で引き上げることが可能」であり、「9月末までにゼロかゼロをわずかに上回る水準に達する可能性がある(つまり7~9月中に最低でも0.5%ポイント、場合によっては合わせて0.75%ポイントの利上げを実施する)」ということだった。
実際のECB理事会での議論を2週間後の6月9日に控えて、会合での議論を経ずに事実上の政策決定がなされ、それが総裁のブログという異例な形で発表されたことは驚きでしかない。
だが、それだけ、インフレへの対応は待ったなしの状況になってきていることを示す。
今回発表された声明では「中期的なインフレ見通しが現状維持または悪化する場合、9月会合でより大幅な利上げが適切になるだろう」とし、やはり、事前通告通り、9月の利上げ幅が0.5%になる可能性があることが示された。
インフレ率が予想外に急速に鈍化しない限り、9月には0.5%の利上げが実施され、政策金利はプラス0.25%とプラス圏に引き上げられることになるだろう。
また、「現在の判断に基づいて、漸進的だが持続的な追加利上げが妥当になると政策委員会は予想している」とし、インフレ動向を見極めながら、しばらくの間、利上げが続けられることも示唆された。
ECBは今回発表した経済予測で、インフレ見通しについて、22年6.8%(前回3月時点の見通しは5.1%)、23年3.5%(同2.1%)、24年2.1%(同1.9%)と上方修正した。
なお22年の6.8%については最新の5月データを加味すると、7.1%になる可能性があるとも述べた。
ラガルド総裁は記者会見で「高インフレは我々の試練になっている」「インフレは全セクターで広範囲になっている」とし、「インフレ率を中期的に目標の2%に戻す」ため「責務の範囲内であらゆる政策手段を調整する用意がある」と述べた。
だが、ECBの経済見通しによれば、23年中はまだ3~4%の高めのインフレ率が続く見通しになっている。
その一方で、ラガルド総裁は改めてインフレ2%を目標と掲げたことからすると、少なくとも来年まで利上げ含みの展開になることになる。
政策金利は9月に0.5%引き上げられ0.25%に、今年末までに1%程度に引き上げられ、来年半ばまでに最低でも2%に引き上げられると予想される。
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2022/06/11の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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