利上げ・QTを続けられないFRBのリスク
2度目の1ドル125円台
4月11日、ドル円は3月28日に続き再び125円台に乗せ、一時125円77銭と2015年6月の125円86銭に限りなく近付いてきた。
前回レポートで指摘したように、このレベルを抜くと一気に130円近くまで円安が進む可能性が高い。
当然の如く、12日午前、鈴木財務相は、「為替の安定は重要だ。特に急激に変動することは望ましくない」と口先介入はしたものの、市場の反応は極めて鈍い。というのも、3月28日と4月11日の日米金利差が明らかに拡大しているからだ。
短期金利(2年国債利回り)差は2.356%が2.585%、長期金利(10年国債利回り)差は、
2.217%が2.539%と、わずか10営業日の間に大きく差が開いた。原因は明らかに「急激な米国金利の上昇」にある。もう、こうなってくるといくら口先介入しても無駄であろう。
4月11日、NY連銀報告で3月の1年先期待インフレ率(消費者調査)が6.6%(2月6.0%)と、2013年以来で最高となった。また、シカゴ連銀総裁が「5月FOMCでは50bp(0.5%)の利上げとなる可能性が高い」とまで言及した。
一方では日銀の金融緩和スタンスに変化はない。外為市場ではドルの先高見通しを一段と強めておりドルの実効為替指数(DXY)は11日、100ポイント台に乗せてきた。
こうした背景には、やはりFRBの「インフレ抑制」命題への強い意志を市場が織り込んでいることがある。ただし、景気後退をも呑み込んでも遂行できるのかは定かでない。
FRBのインフレ抑制第一主義
FRBが迅速な引き締めスタンスに転換したのは、3月21日のFRB議長講演(全米ビジネスエコノミスト協会=NABEの年次総会)以降からだった。この講演でパウエル議長は今後0.5%の利上げも辞さない姿勢を鮮明にした。
「金融政策のスタンスをより中立的な水準に戻すために迅速に行動し、物価安定を回復するために必要であれば、より制限的な水準に移行する必要があること明らかだ」。
1回または複数回の会合で0.25%を超える積極的利上げが適切だと決定すれば我々はそうする。また、一般的な中立の尺度を超える、より引き締め的なスタンスが必要と判断した場合には、それも行う。と、3月FOMC(3月15、16日)から一気にタカ派姿勢を強めた(ウクライナ戦争の勃発を織り込んだのかもしれない)。
極め付きは4月5日のFRBブレイナード理事(事実上、FRBのナンバー2)講演の内容だった。「インフレを抑制することが最も重要」と述べ、QT(バランスシート縮小)の5月開始に言及すると共に、金利政策・バランスシート政策両面で今年後半には金融政策スタンスが中立に近づくと述べた。
もっとも、翌4月6日に発表された3月FOMCの議事要旨で、こうした「インフレ抑制スタンスの強化」が示唆されていたことがわかった。
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(この記事は 2022年04月14日に書かれたものです)
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