ドル円相場の見通しは不可能なり
戦時下での市場なのだ
2022年の世界経済の前提条件は、ウクライナ戦争によって大きく変わった。2月中旬までは、市場の最大の関心は米国の金融引き締めだった。
しかし、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で状況は一変。グローバルマネーの流れもエネルギーをはじめとした国際商品市場や、ボラティリティー関連の指数先物取引へとシフトした。
米金融取引が引き締め方向にあることは事実であるものの、世界経済の減速懸念など多くのリスクが浮上し2022年の世界経済・市況を見通すことは極めて困難になった。ましてや、「決め打ちのシナリオ」なんぞは、あまりにリスキーな予測といえよう。
確かに、とりあえずFRBは15・16日のFOMCで0.25%の利上げに踏み切ることを事実上、決定している。その後も年内数回の連続利上げと年半ば以降のQT(バランスシート縮小)開始という見通しの構えにある(後述する)。
しかし、とにかくウクライナ情勢(特にロシア・米国・EUの動き)が、日替わりで変化しているだけに、市場が右往左往している。そうした中で、エネルギー価格の上昇が目立ち、物価上昇の見通しが定まらなくなってしまっている。
FRBも、こうした状況下では引き締めペースも定まらず、景気減速との「弥次郎兵衛」戦略をとるしかあるまい。ドル円相場は14日、5年2ヵ月ぶりに1ドル=118円21銭までドル高円安が進んだ。原油をはじめとした商品市況の上昇で米国金利が前日よりさらに上昇したことが主因。
ただ、有事のドル買い・円買いというセオリーや、やや沈静化したときの巻き戻しの動き、FRBのスタンスの変化など、あまりに不確定要因が多すぎて、目先のチャート分析の範中での読み以外に手立てはない。
ドル金利上昇だけでは読めない
ドル円相場は、2021年には円安ドル高方向で推移したものの、過去に比べて1ドル=105~115円と10円程度の狭いレンジを推移してきた。
2021年後半から22年2月中旬にかけて、米金融引き締めが視野に入り、1ドル=115円台後半へとやや円安が進行したが、ロシアのウクライナ侵攻直後一時、1円以上の円上昇。しかし、その後は原油高を背高とした米国インフレ懸念によるドル高が、再び強まっている状況にある。
一方、物価上昇率の加速が意識されている中、日米の物価上昇率の差として定義される、いわゆる一物一価の法則である購買力平価に基づくと、足元のドル円レートは購買力平価の想定値から円安ドル高方向に振れていることがわかる。
米国の約40年ぶりの消費者物価上昇率の加速によって、米ドルの価値が損なわれるため、理論的には円高ドル安になると想定されるためだ。
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(この記事は 2022年3月15日に書かれたものです)
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