「対称的」なインフレ目標って、なに?
インフレ目標「2%」
インフレ目標を2%と設定した場合、その国のインフレ率が1.6%から1.7%、1.8%とグングン上昇した場合、このまま放置を決め込めば、じきに目標である2%に達し、下手をすると超えてしまうかもしれません。
それを未然に防ぐため、中央銀行は政策金利を引き締め(利上げ)、物価安定の維持を目指します。つまり、インフレ率2%超えを望まず、そうならないために先手を打って金融政策の調整を実行。
しかし、このやり方の問題点として、引き締めを早まったばかりに景気回復の腰を折ってしまうという弊害が指摘されていました。
「対称的」なインフレ目標とは
それに対し、「対称的」なインフレ目標とは、経済は生き物であるため、インフレが目標を下回ることもあれば、上回ることもある。そのため、インフレ率が1.8~1.9%に達したからとすぐに金利を上げず、しばらく静観し、金融政策変更の必要性を見極める時間を取るというやり方です。
例えば、英国中銀やカナダ中銀は、ECBとは違い、インフレ目標は2%であるが±1%というバンドが設定され、2%を中心に1~3%の間での推移が認められています。
ただし、英国中銀は対称的インフレ目標を導入しているとは公表しておらず、私の認識が間違っているのかもしれませんが、理屈としてはこれが対称的インフレ目標のやり方ではないか?と私は考えています。
もしECBがこれと同じやり方を導入したのであれば、英国中銀やカナダ中銀のように、上下の変動バンド幅を7月22日の会合で発表するのでしょうか?
それとも、バンドは設定せず、臨機応変に対応するのかも、はっきりするかもしれません。