NFTでデジタルアートが突然バブルに
NFTとは「非代替性トークン」
NFTとは、英語で「Non Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)」日本語で「非代替性トークン」というビットコイン等の暗号資産と同じブロックチェーンを使ったデジタルアートを管理し資産にする技術です。
デジタルコンテンツは、簡単にコピーや改ざんができるために資産になりにくいのですが、ブロックチェーン技術により偽造不可な鑑定書、所有証明書付きのデジタルデータになることから資産とすることが可能になりました。
唯一無二だという証明ができるようになったのです。
デジタルコンテンツは、彫刻や絵画のように保管や移動に対する管理が不要ですし、NFTを使って簡単に真贋が証明できるので再販がしやすくなりました。
ブロックチェーン技術は無価値のビットコインに価値を付け資産にできたのですから、デジタルコンテンツに価値を付け資産にして価値をつけることは簡単です。
一般のアニメなどでいう原画の販売のようなものですが、画像だけではなく動画・音楽などデジタルコンテンツ全般を資産化することができます。
NFTが突然、注目され始めた
今年の3月から突然注目されて始めたNFTですが、その一番のきっかけはクリスティーズなどによるデジタルコンテンツの驚異的なオークション入札価格です。高額落札が続いたことから注目を集めたのです。
① クリスティーズで 6,900万ドル(約75億円)で入札
デジタル アーティストである beepleことマイク ウィンケルマン氏は、今まで自分がデザインした画像のプリントの販売価格は最高額 100 ドルでした。
ところが、今年2021年3月に彼のNFT作品「エブリーデイズ 最初の5000日間 "Everydays - The First 5000 Days" 」は、クリスティーズで 6,900万ドル(約75億円)で入札されました。
https://twitter.com/ChristiesInc/status/1361670588608176128
こちらです。
この高額落札事例の登場で、彼は「最も価値のある生きたアーティストのトップ 3 に入る」ことになりました。
② VRアーティストせきぐちあいみ氏の動画作品
日本でもVRアーティストの「せきぐちあいみ」氏の動画作品「 Alternate dimension 幻想絢爛 」が1300万円で落札されています。
https://twitter.com/sekiguchiaimi/status/1374597418046558212
③ イーロン・マスク氏の音楽
米電気自動車メーカー、テスラのCEOイーロン・マスク氏が出品した音楽+動画作品には約1億円の値が付きました。
https://twitter.com/elonmusk/status/1371549960030842893
④ ジャック・ドーシー氏の初ツイート
米Twitter創業者の一人ジャック・ドーシー氏の出品した同氏の初ツイートが約3億円で落札されました。
2006年3月22日の実験的な世界最初のツート「just setting up my twttr」です
https://twitter.com/jack/status/20
ジャック・ドーシー氏の初ツイートが3億円というのは歴史的なツイートが価値を持ち、資産となったということなので今後AIによるデジタルアートなど何でも資産になるということです。
工夫することで資産を創造できる世界です。
NFTがデジタルアートの世界を変えた
NFTが美術業界の常識を変えました。
1点もののデジタルコンテンツが資産になるだけではありません。
アーティストが絵を描いて100万円で販売した後、何年か後に、それが1億円で取引されてもアーティストには、一切のお金は入りません。
しかし、NFTだと、転売されるたびに収益にすることも可能です。
また、1つに限定するのではなく10個限定などもできます。
今までの常識を打ち破る新しい仕組みが構築できます。
デザインの時代からアートの時代に
まだデザインの時代に乗っていない人や企業も多い中、デザインの時代は終焉を迎え、すでにアートの時代に入ったといわれ始めました。
常識や正解があるデザインの世界から、常識や正解がないアートの世界になったので、自分の頭で、自分の感性で、イノベーションをしていくことになります。
アートの歴史はイノベーションの繰り返しの歴史です。
イノベーションとは従来の考え方の否定、つまり常識の否定です。
常識の否定を繰り返してきたので新しい表現が次々と登場することになりました。
天才芸術家たちによる表現方法の常識の否定の歴史
① 具象画・忠実に描く 目に見えたとおりに描く
② 目に見えた色ではなくて良い 色の否定
③ 複数の視点を合体 リアルの否定
④ 抽象画・音楽を絵画に 具体的なものを描くことの否定
⑤ 便器にサインしただけ 美しさの否定
⑥ 絵の具を垂らしただけ 描くことの否定 絵の具を見せる
⑦ 洗剤の箱・スープ缶 アートと一般製品の境目を否定
世界に1つしかない希少価値の否定
NFTは次のイノベーション「物質を否定し、最初の1点だけに価値を与える」
なのかもしれません。
⑧ NFT 物質の否定・最初の1点だけに価値
NFTがバブルなのは金余りの象徴
世界は無制限の金融緩和によって大きな投資資金は行き場がなく金余り状態が続き新しい投資先を求めています。その投資先の1つがNFTを使ったデジタルコンテンツだったのです。
アートの世界は、常にお金が流れ込む世界ですが、金融緩和によるバブル資金とNFT技術によって突然バブル状態になっています。バブルが新しいアートのイノベーションをもたらしたといっても良いのでしょう。ただし、バブルなので金融収縮があるとバブル相場は一旦収縮することになります。
ジャック・ドーシー氏の初ツイートが3億円になったということは、今まで価値と思わなかったものに価値を付与できるようになったということです。
私たちは新たな資産を創造できるようになったのです。
常識を疑うこと、自分の頭を使うことが求められており、これがアート思考です。
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