ボリンジャーバンドを理解する
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとはチャート分析手法 (=インジケーター) の一つで、基本的な、とても簡単なものです。
長期投資しかしない人でも、チャート分析が苦手な人でも、これだけは理解しておいてください。
リテラシーの基本ですので。
次のチャート(図1)を、ご覧ください。
図1
Tradingviewチャート
相場の動きをローソク足(ここでは緑と赤の縦の太いライン)と呼ばれる表示方法が日本では一般的です。(一つ一つがローソクに見えるのでローソク足といいます)
そのローソク足の周りに5本の曲線(ライン)がありますが、これがボリンジャーバンドです。
各ラインを上から次のように呼びます。
- +2σ(シグマ)ライン
- +1σ(シグマ)ライン
- センターライン
- -1σ(シグマ)ライン
- -2σ(シグマ)ライン
これがボリンジャーバンドの各ラインの名称です。
『σ』(シグマ)という普段使わない文字がでてきますが、ただの記号だと思ってください。
ボリンジャーバンドは標準偏差
ボリンジャーバンドは成績分布でも有名な標準偏差を応用したものです。
図2は標準偏差の説明で使われる基本図です。
図2
この図が意味することは次のことです。
-1σ(シグマ)から+1σ(シグマ)の間に入る確率は68.2%
-2σ(シグマ)から+2σ(シグマ)の間に入る確率は95.4%
-3σ(シグマ)から+3σ(シグマ)の間に入る確率は99.7%
これを相場に当てはめると図1で確率的に相場の動きが
-1σ(シグマ)から+1σ(シグマ)の間に入る確率は68.2%
-2σ(シグマ)から+2σ(シグマ)の間に入る確率は95.4%
となります。
図1では-3σ(シグマ)から+3σ(シグマ)のラインはあまり使わないので表示させていません。
各ラインは抵抗ライン
相場が反転、もしくは加速するラインを抵抗ラインといいます。
抵抗ラインで
「買いポジションを持つ」
「売りポジションを持つ」
「利益確定」
という売買ポイントとなります。(仕掛けポイント)
ボリンジャーバンドの各ラインは抵抗ラインとなることが多いです。ローソク足はボリンジャーバンドの各ラインで反転したり加速したりします。
図3をご覧ください。
図3
Tradingviewチャート
ボリンジャーバンドの性質がよく現れている部分を
①②③の枠で囲いました。
① トレンド相場(典型的な上昇トレンド)
ボリンジャーバンドの「+1σ(シグマ)ライン」と「+2σ(シグマ)ライン」の間で上下しながら上昇しています。
「+1σ(シグマ)」まで下げたら買い(押し目買いという)をする目処のラインとなります。
典型的な上昇トレンドであり、押し目買いのポイントとしてボリンジャーバンドが使われます。(反対に売りの場合は戻り売りといいます)
② レンジ相場(典型的なレンジ相場)
「-2σ(シグマ)」から「+2σ(シグマ)」の間を往来していますので次の取引が可能です。
「-2σ(シグマ)ライン」近辺で買いポジションを持ち
「+2σ(シグマ)ライン」近辺で売る(利益確定)
その反対に
「+2σ(シグマ)ライン」近辺で売りポジションを持ち
「-2σ(シグマ)ライン」近辺で買い戻す(利益確定)
という取引も可能です
このようにボリンジャーバンドのラインが抵抗ラインになりやすいことが分かります。
抵抗ラインは売買するポイントとなるので、ボリンジャーバンドは売買の目安になる便利なツールだということが分かります。
トレンドが分かる
現在のローソク足(ローソク足の右端)がボリンジャーバンドのどこに位置しているかで相場のトレンドを知ることができます。
- 非常に強い上昇相場 +2σ(シグマ)ラインより上
- 強い上昇相場 +1σ(シグマ)ラインから+2σ(シグマ)ラインの間
- 弱い上昇相場 センターラインから+1σ(シグマ)ライン
- 弱い下落相場 センターラインから-1σ(シグマ)ライン
- 強い下落相場 -1σ(シグマ)ライン-2σ(シグマ)ライン
- 非常に強い下落相場 -2σ(シグマ)ラインより下
また、ローソク足を日足・週足・月足で見ることで短期・中期・長期のトレンドを知ることができます。
例えば、次のように日足・週足・月足がばらばらになったります。
日足(短期)が下落トレンド
週足(中期)が下落トレンド
月足(長期)が上昇トレンド
この場合、長期ポジションを持つ場合は買いポジションで、短期ポジションは売りポジションということがあります。
ボリンジャーバンドの基本的な説明はここまでです。
もし、理解が足りない場合には何度も読んでください。
長期投資しかしない人でも、チャート分析が苦手な人でも、ボリンジャーバンドはリテラシーの基本なので、これだけは理解しておくことを強くお勧めします。
ここからは、おまけです。
ボリンジャーバンドの収束は上か下に飛び出す前兆
③ ボリンジャーバンドの収束は上か下に飛び出す前兆
③の枠ではボリンジャーバンドの各ラインが収束していることが分かります。全体の縦の幅がだんだん狭くなっています。
このようにボリンジャーバンドが収束していくと、収束してから上昇、もしくは下落がスタート開始することが多いです。
ボリンジャーバンドが収束したら上から下に飛び出すと覚えておいてください。
備考:このチャートは為替の「ユーロ/ドル」の年足チャートです。為替は基本的な動きとしてレンジ相場といわれる大きな横ばいの相場となることが多く、一方向に上昇し続けたり、下落し続けたりすることは通常ありません。
ボリンジャーバンドは、証券会社やFX会社等のインジケーターとして標準搭載していることが多いので表示させてみてください。
ちなみに、下記サイトで主要な銘柄のボリンジャーバンドを掲載しています。
主要銘柄の日足ボリンジャーバンド
相場の本質を理解するためにテクニカルを学ぶ
一般論ですが、テクニカルを勉強する人が、なぜか天井で買って底で売ることがあります。
これは、変な表現ですが、
相場の本質を理解するためにテクニカルを勉強するのではなく
テクニカルを学ぶためにテクニカルを勉強するからです。
特に日本では手段と目的を間違えることが実に多いです。
相場の本質を理解するとは、ローリスク・ハイリターンのポイントを理解するといっても良いでしょう。
つまり、テクニカルを学ぶのは、ローリスク・ハイリターンのポイントがどこかを知るために学ぶということです。
ローリスク・ハイリターンは実現可能
https://real-int.jp/articles/589/
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プロより個人の方が利益を狙える?常識の間違い
https://real-int.jp/articles/590/