FIRE ファイアを目指すと7つの富を破壊するFIRE①

FIRE(ファイア)とは
最近、テレビでも取り上げたことから注目されているF.I.R.E.(Financial Independence Retire Early・経済的に自立した早期退職)という概念があります。
FIRE(ファイア)とは何かを、FIREブームの火付けになった次の書籍から引用します。
「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」 グラント・サバティエ. 朝日新聞出版
FIRE(ファイア)の定義
雇われ仕事をすることなく、不労所得だけで
毎年の生活費を賄えるように貯蓄と節約に励み
できるだけ早くリタイアしようとする考え方。
お金の悩みから解放され、お金のために働く必要がなくなること。
FIRE(ファイア)には、いくつかのパターンや異なる考え方があると思いますが、ここではFIREの賛同者の多くが思っている基本的な考え方の問題点を解説します。(あくまでも賛同者が思っていることなので著者や情報発信者の考え方と異なる部分もあると思います。)
FIREの考え方の根底には次のようなものがあります。
・仕事とは生活費を稼ぐためのものなので早くリタイアしたい
・お金ではなく自由こそが最も重要だ
これに対して疑問を持たない人が多いと思います。
しかし、この本に「お金や仕事、リタイアに関する従来の考え方のほとんどが間違っている。」と書いてあるように、人にとって大事な分野「仕事・お金・成功」には間違いが多いです。
そしてこの2つの考え方も間違った考え方なのです。(間違ったマインドセット)
×仕事とは生活費を稼ぐためのものなので早くリタイアしたい
×お金ではなく自由こそが最も重要だ
次の考え方が正しいです。(正しいマインドセット)
・仕事とは生活費を稼ぐためだけのものではない
・仕事は使命で責任を全うすることが重要
・自由が最も重要なのではなく、使命が最も重要
「FIREの目標は若くして仕事を辞めることではない。本当に人生でやりたかったこと、心から意味があると思えることを実行するために、貴重な人生の時間を取り戻すことだ。」
とも書いてありました。
これらの考え方の根底には次のようなものがあります。
・仕事は悪いもの
・雇われ仕事は悪いもの
このような考え方の社員は社長から見ると
・仕事ができない人
・退職勧奨者
となりかねません。
仕事に対するマインドセットが悪いと、仕事ができない、やる気のない社員に陥ってしまうからです。
一方、使命に基づく正しいマインドセットになれば一瞬で仕事ができる社員になります。給料も上昇する方向です。
節約も大事なことですし
消費することが経済を回す貢献とは言いませんし
投資にお金を回すことも大事なので
FIREを全部否定するわけではありませんが
基本的な問題点が2つあります。
問題点1 仕事に対する考え方が間違っている
FIREしようとする人には仕事をしないで遊んで生活することを目指すという人が多いと思います。
しかし、人には与えられている使命があり、それはほとんどの場合、仕事です。
人にとって、とても切な使命の本質をわかりやすく書いたので、是非お読みください。
「ビジネスと人生に飛躍をもたらす使命の本質」(幻冬舎)
https://www.real-mission.com/amazon1/
そして使命に進むことが7つの富をバランスよく拡大していきます。
7つの富とは
①お金などの資産
②才能
③知恵
④愛情(家族・友人・人間関係・人脈)
⑤環境(生まれ育ち・経験・職場)
⑥自分(正しいマインドセット・品性・品格・健康)
⑦使命(自分の内面と自分の周りを本質的に良くしていく)
FIREを目指すことは使命から外れることになりがちです。
使命から外れると7つの富を破壊することになるのですが、それに気付いている人は少ないです。
7つの富については、こちらの記事に詳しく書きました。
https://real-int.jp/articles/841/
働き方改革の根底にも
「仕事は悪いもの」
「仕事を早く終えて自分の時間を持とう」
という間違った考え方があります。
FIREの早期リタイア・セミリタイアが良いという考え方も同じ仕事に対する間違った考え方が根底にあります。
先ほどのFIREの本では
「定年まで我慢して働いて、65歳になって退職したら悠々自適な生活」
を否定しています。
確かに我慢して働くという概念は本来の仕事ではないので間違った考え方です。
しかし、FIREも65歳の退職時期を早めただけの考え方なので基本は同じです。
仕事をやる気がないと社会的にも、その人の存在価値は激減します。
自然界の生物は存在価値が無くなると死んでいくのが自然の姿です。
サケは産卵すると社会的に存在価値が無くなるので死にます。
人間も仕事をしないで遊んで暮らそうとすると衰退します。
早期リタイアして南の島のシンガポールに行って遊んで暮らしていたらウツになったり、仕事を再開することを聞くのはそれが理由です。
FIREを目指す人には次のように考えていらっしゃる人も少なくないと思います。
・仕事をしたくない・仕事が嫌い
・仕事は苦役
・早くリタイアしたい
・南の島でのんびり過ごしたい
・世界中をきままに旅したい
これは「仕事が生活費を稼ぐためだけ」になっていることが原因で、これが問題です。
また、次のように考える人も多いです。
・今の仕事は仮で、本当にやりたいことをしたい
・本当の自分の生き方をしたい
本当にやりたいこと、本当の自分の生き方が使命であれば良いのですが、実際にはそうではないケースが多いと思います。
また、日々の歩みが使命なので「今は使命とは無縁だけれどリタイアしたら使命に進む」というのもおかしいです。
仕事自体を本当にやりたいことにすることが原則です。
知人が、「FIREに賛同する人が増えているけど人間的に魅力的な人がいない」と言っていました。その理由はその人たちが「生活費を稼ぐためだけに仕事をしているから」で、生き生きと仕事をしていないからだと思います。なぜならば、それを言っていた人は、雇われの新入社員時から毎日会社に行くのが楽しいという人だからです。
魅力的な人で「生活費を稼ぐために仕事をしている」と言っている人を見たことがありません。
FIRE が問題なのではなくて「生活費を稼ぐために仕事をしている」ことが一番の問題です。
FIRE はお金の奴隷から解放されることを目的にしていて、それはとても大事なことなのですが、「生活費を稼ぐための仕事」も「資産を大きくすることを目的にして生活すること」もお金の奴隷になってしまいます。
お金の奴隷にならないために一番大切なことは仕事の自立とお金・投資に対する自立です。
雇われているのであれば会社に依存するのではなく会社に与える者になるということです。
投資に対する正しい情報と知識を身に付け、本質を理解し、投資リテラシーを高めることも大事です。誰かがいうとおりに投資するのではなく自分の頭で考えることが自立です。
問題点2 投資が偏り、硬直化する
投資は、その時々に最適な投資先に投資することが基本ですがFIREを目指す人は米国株インデックスに投資する人が多いです。どなたかが推奨したからだと思います。米国株インデックスは良いものですが目的が配当狙いのため一極集中する傾向が強いです。
有望な投資先と考えられる金(ゴールド)は配当がないので真っ先に除外される投資先になります。
米国株は今までは右肩上がりでしたが今後も同様に上昇し続けるとは限りません。ダボス会議では大ドンデン返しのグレートリセットがあるともいわれているので、今後の投資常識が突然大きく変化する可能性もあります。
激動の時代の投資は、その時々の状況を見て臨機応変に柔軟に対応する必要もあるのですが、FIREを目指すことで投資対象がずっと固定され硬直化しやすいです。少なくても投資先を固定化するリスクを取っていることを認識しておく必要があります。いわれた通りに投資方針を何十年も変えない決断をしてしまう人もでてくると思うからです。投資においても正しいマインドセットが必要です。
激動の時代は、準備していない人から、知識を得て準備していた人に富が移動することを認識しておくことが大切です。
また、節約は良いことですが、自分への投資をおろそかにする傾向もあります。自分への投資は極めて大切です。自分が富の源泉の基本だからです。
人が仕事や投資をする上で大事なことは次のようなことです。
・正しいマインドセット
・正しい使命の理解と使命に進むこと
・稼ぐ能力を高めること
・正しい投資情報
・正しい投資リテラシーを高めること(投資の王道を身に付ける)
・各種リテラシーを高めること(常識の間違いを知る)
合わせてお読みください。FIREの問題点3ともいえる内容です。
https://real-int.jp/articles/551/
https://real-int.jp/articles/1630/
P.S.
配当があるから、インフレになるからと、今、大金を株につぎ込む人もいらっしゃいますが、株価は天井圏である可能性が高いので避けた方が良いと思います。
こちらを参考にしてください。
https://real-int.jp/articles/822/
ちなみに現在、米国では失業手当やコロナ給付金に頼って生活する人たちが増え、ロックダウンが終わり、雇用を増やしたい企業が増えてきたのに働きたい人が増えず、人手不足がひどくなっています。給付金がベイシックインカムとなり、働く気持ちが無くなる人が増えているようです。
ベイシックインカムは
マインドセットが良い人には良い制度ですが
マインドセットが悪い人には悪い制度です。
マインドセットが悪い人が毎月、働かずにお金を受け取るようになると仕事をしなくなり、どんどん依存していき、お金の奴隷となり、人間的に衰退してしまいます。