テーパリングとは
香港上海銀行(HSBC)でチーフディーラーを務めた経験からの、相場をみるうえで重要なファンダメンタルズの知識を解説!
相場の世界でプロと一緒の土俵で取引をするには、やはり相場の知識が必要です。香港上海銀行( HSBC)で10年以上に渡りチーフディーラーを務め、プロも教育をしてきた筆者が、相場の知識をひとつひとつ解説していきます。
テーパリングとは
景気の循環から、中央銀行は「緩和」や「引き締め」といった調整をおこないます。
前者、つまり「緩和」の一環として行われるのが、利下げや市場から国債などを買い入れる量的緩和(QE)です。緩和が浸透して、経済が立て直せると、中央銀行は、まずこれまで進めたQEを徐々に減額し最終的にゼロにします。
こうした減額にかじを切ることを、「テーパリング」と呼んでいます。英語の“Tapering”のことで、日本語に直訳しますと、「徐々に先が細くなっていく」や「徐々に減らしていく」ことを意味します。
過去に行われたテーパリング
米国の中央銀行であるFRBは、100年に一度とされる金融危機であるリーマンショックに直面したことで、その後、QE1、QE2、QE3という3段階の量的緩和をおこないました。
雇用の持ち直し、経済の回復から、2013年5月に当時のバーナンキ議長がテーパリングを示唆、 2013年12月にテーパリングを決定、2014年10月にQEを完全に打ち切っています。
2013年5月、テーパリングが示唆されたことで、緩和自体が終わるとの見方から金利が大幅に上昇、為替市場ではドルが買われ、株式市場は動揺して大きな下げとなりました。
テーパリングは、将来の市場からの資金回収までも意識させることになりますので、注意が必要です。
コロナショック後のテーパリングはカナダからキックオフ
2020年3月、コロナショックに直面したことで、今回もFRBは利下げを実施、空前のQEを依然続けています(2021年4月現在)。米国ではワクチン接種が進み、経済活動の全面再開も視野に入ってきました。経済が回復となりますと、そこに待っているのは「テーパリング」です。
実は、隣国のカナダでは、 2021年4月21日にすでにカナダ中銀が「テーパリング」を決定しています。米国でも、「テーパリング」はすぐそこに迫っているわけで、今後、報道等には注意が必要です。
動画でも詳しく解説していますので、ご覧ください。
量的緩和の縮小 キックオフ!カナダが始発!