グローバル化リスク
新型コロナウイルス騒動によって私たちはグローバル化リスクに気付きました。
グローバル化(グローバリゼーション)とは社会的・経済的に国や地域を超えて世界規模で結びつきが深まることであり、世界が一つになる方向です。
世界が一つになるのは良いという認識が一般的であり最近までグローバル化が進んできましたが、それが問題であることに気付いたのです。
各国がそれぞれの役割を担うのは良いことですが、もっと大事なことは各国が自立することです。
EUが誕生し、EU加盟国はパスポートなしに自由に行き来でき、一つの国のようになりました。
世界の貿易が活発になり、生産は世界で一番安い国で作ることになりました。
世界の医療品の多くがコストの安い中国で作られるようになりました。
例えば、世界のビタミンCの製造工場はほとんどなくなり、9割以上が中国産といわれています。
マスクの生産も世界の過半が中国です。
行き過ぎたグローバル化の反動が顕著になったのは英国のEU離脱とトランプ氏が大統領になったことからです。
新型コロナウイルスは、いっきにグローバル化の問題を顕在化させました。
グローバル化により国を越えた交流が活発になったことからウイルスが短期間に世界に拡大したり、医療品供給が一国の外交手段に使われることになりました。
今後も、今回の新型コロナウイルスの第二派第三派がくるだけではなく、数年に一度、新型ウイルスのパンデミックが起きて都市封鎖も度々起きることも想定する必要があります。
実際に都市封鎖が解除されても人が集まることに対する抵抗があるために芝居やイベントなどは、やりにくい状況が続きます
EUでは感染が簡単に拡大しやすい上に、EUに所属していてもイタリアの医療崩壊に対してEU諸国が何の手助けもしなかったことからイタリアも英国に続きEU離脱を考え始めました。
中国に生産拠点が集中するリスクが高いことから日本では中国から国内に生産回帰する支援を表明し、世界から賞賛されています。
新型コロナウイルスは想定外だったという言葉をよく聞きますが、これには強い違和感があります。
確かに戦後、都市封鎖までするようなことは無かったわけですが、今の激動の時代は想定外の災害の多発が当たり前の時代だという状況が認識できていない言葉だからです。
想定外のことが当たり前にある激動の時代は投資でも仕事でも過去の延長線上に未来はないという認識がまず必要です。
日刊ゲンダイWEB版にも掲載