投資詐欺の手口を知ることが最大の防衛 ポンジスキーム
投資詐欺に注意
投資の世界は投資商品自体に怪しいものが多いですが、投資詐欺も多いです。その手口を知っておくことはとても大事です。
手口を知っていれば騙されずに済むからです。
投資詐欺に騙されやすい人の特徴も知っておくと良いです。
投資詐欺に騙されやすい人
- 高学歴の人
- プライドが高い人・自信過剰
- 自分は優れていると思っている(天才だと思っている)
- 欲が強い人
自分は詐欺にだまされないという自信や中途半端な知識が判断を誤る原因になります。
不動産詐欺で一番騙されやすいのは宅建士の資格を持っている人だともいわれています。
不動産の場合、机上の知識が役立たなかったり、試験の知識と実際の運用が違うことが多いからです。
弁護士が詐欺師に騙されたり、金融のプロも金融のプロに騙されるくらいなので自信過剰に注意してください。
金融業界最大の詐欺
過去、最大の詐欺として有名な詐欺は2008年に米国ナスダック会長も務めたことがあるバーナード・マドフ氏による被害額500億ドル(当時約4.5兆円)という大規模な詐欺ファンドです。
なんと30年間も皆を騙し続けたのです。
マドフ氏は何十年も運用スキルが高いと多くの投資家たちに信じられてきました。
しかし、一部の投資家はマドフ氏の言う配当が高すぎることから疑念を抱きました。
大手監査法人が監査を行っていないことを疑問視されることもありました。
巨大な詐欺が発覚したのはサブプライムローン危機で株価が下落した時、投資家たちから計約70億ドル(約6300億円)の解約を求められたものの支払いができなかったからです。
これで不正が表面化しました。
世界の機関投資家や日本の大手金融機関も高配当につられて騙されたのです。
プロも騙される好例です。
ポンジスキームは昔からの定番詐欺
昔から金融の詐欺の手口の筆頭は「ポンジスキーム」です。
ポンジスキームとは運用して配当するのではなく、元金をどんどん出資者に配当して高配当に見せかけることで多くの資金を集め、最後に破綻、持ち逃げするという詐欺手法です。
運用せずに配当するので最初は高配当に見せることができます。
当然のことながら自転車操業なので最後には破綻します。
日本語に ポンジスキームに相当する言葉がないため「ねずみ講」という表現を使うこともありますが、本来の意味のねずみ講とは違います。
最初は詐欺でなくても自転車操業から詐欺になる
破綻後調査してみると最初からポンジスキームになっていることがほとんどです。
しかし、最初は詐欺ではなく始まったものの、だんだん調子が悪くなり自転車操業となり粉飾をしだして詐欺となるケースもごく一部にはあると思います。
たとえ最初はきちんと運用していて適切に配当していたとしても、途中で問題が発生して自転車操業に陥るのです。
最後の出資者は1000万円出資して1円も配当がなく破綻して資金が戻ってこないということに陥ります。
自転車操業になっていて運用ができてないのに、お金を集めることは詐欺です。
具体的な詐欺の例
実際の投資詐欺の例としては次のようなものがあります。
- ワイン投資(VIN-NETヴァンネット)
- 和牛預託投資(安愚楽牧場)
- シェアハウス投資(かぼちゃの馬車 スマートデイズ)
- 金地金現物まがい商法・ペーパー商法(豊田商事)
ワイン投資(VIN-NETヴァンネット)
ワインは銘柄などを選べば適切に保管することで熟成し、価値が上昇するので投資対象としている人たちがいます。
趣味と実益もかねるので面白いとは思いますが、ワイン投資ファンド として売り出し、売る会社がワインを保管するとなると、その会社がまともな会社かどうかが問題になります。
ワインは保管状態が良いことが大切なので、どうしても専門の管理会社に預託することになるため詐欺になりやすいといえます。
ワイン投資で破綻した会社といえば「VIN-NETヴァンネット」が有名です。
投資家から集めた資金でワインを買ったことにして実際には配当に回していました。
破綻後に清算した時の戻りは投資額のわずか1.6%という結末になりました。
和牛預託投資(安愚楽牧場)
現実に投資するスキームで有名だったのは和牛への投資です。和牛預託商法と呼ばれます。
「子牛に出資すれば肥育して成牛となった際に高値で売れて差額が配当される」などとして投資資金を集め最盛期には17社ありましたが、どんどん破綻していきました。
最後に残った安愚楽牧場は全国に40ヵ所の直営牧場と338ヵ所の預託牧場を持つ国内最大級の黒毛和牛専門の畜産企業でした。
安愚楽牧場も2011年に破綻し、被害者数7万3356人、被害総額4207億6700万円。内情は自転車操業を続けたポンジ・スキームだったのです。
最初はまじめにやっていたのかもしれませんが、311事件で放射能漏れや風評被害などもあり破綻しました。
最後に投資した人は全く配当がなく破綻後もほとんど返ってきませんでした。
シェアハウス投資(かぼちゃの馬車・株式会社スマートデイズ)
不動産系で最近のポンジ・スキームはシェアハウス投資のかぼちゃの馬車です。
女性専用のシェアハウスを建築してサブリース(家賃保証)をするわけですが、最終的にそのサブリース代が支払われずに破綻しました。
狭小の部屋だったため空室が多く、かなり割高なシェアハウス 物件(土地と建物)を投資家に売った利益でまわしていたのですが最終的に破綻しました。
被害総数700人、被害総額1000億円以上ともいわれ、不動産投資の歴史を変えたとまでいわれています。
高所得者や高学歴者も結構騙されていいます。
サラリーマン・医者・士業、高所得者を対象にして「30年間家賃保証、利回り8%以上」という営業トークで売っていました。
ローン借り入れ書類の改ざんが多数発覚し詐欺的要因が大きかったです。
駿河銀行が融資をしているケースが多く、駿河銀行の経営問題にも発展することになりました。
金地金 現物まがい商法・ペーパー商法(豊田商事)
配当をしていないのでポンジースキームではありませんが、現物を預ける詐欺で最も有名な事件は豊田商事事件です。
自動車のトヨタとは全く無関係ですがトヨタの関連会社に似せて信用させるための社名だったのでしょう。
1985年に破綻した豊田商事は金地金を購入する契約を交わし代金を受け取りますが、現実は渡さず 「純金ファミリー契約証券」 を代わりに差し出し、金地金は会社の金庫に保管しておくと伝えていました。
実際には豊田商事は一切金を持っておらず、営業店にこれ見よがしに積んであった金地金は偽物でした。
被害者は高齢者を中心に全国で数万人、被害額は2000億円といわれています。
この手の現物を預かる投資案件は詐欺である可能性が極めて高いのですが、たびたび手を変え、品を変えて出てくるので注意してください。
詐欺の特徴
金融の世界では性格が悪い人と頭の悪い人とは付き合ってはいけません。
一般的な詐欺師や詐欺会社の特徴としては次のようなものがあります。
- 金持ちそうにしている
- 運用成績がやけに良い
- スキームの詳細を明かさない
- 高度な金融のテクニックという言葉を使う
- 相場の本質が分かっていない
- ロジックがおかしい
- 危なげな人がいる
- 何か違和感(チグハグ)靴やベルトだけ古い等
- セールスが上手
- 運用目標は1000億円などのセールストトーク
投資詐欺でも怪しい投資商品でも問題の見分け方は簡単で
・買ったものをすぐ売ろうとした時、ほぼ同じ価格で確実に売れるかどうか
・流動性が高いかどうか
が一番の確認点です。
そもそも本来の投資は、自分で流動性が高い株の市場、為替の市場、商品(金・原油・穀物等)などの市場で直接売買することだと思っています。
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