中央銀行のジレンマ

世界各国で原油価格の上昇の煽りを受け、ガソリン代が青天井に値上げされています。
私が住むイギリスでは、一人当たりのガソリンの購買量を制限する意見も出ているようですが、まだ実現されていません。
供給ショック
足元のインフレは、需要過熱によるものではなく、ホルムズ海峡閉鎖によるエネルギーの供給ショックの色彩が極めて強い状況です。
このように地政学的要因によって供給制約が生じているのであれば、中央銀行が利上げによってこれを抑え込むことは不可能であることは明白でしょう。
この点を踏まえれば、現時点での金融政策は、インフレ抑制以上に成長の下支えに置かれるべき局面にあると、私は考えます。
それでも上がる利上げ織り込み度
そういう状況でも、市場ではインフレの上振れに対し敏感に反応し、利上げ織り込みを強めています。
最もその傾向が強いのが、私が住むイギリスで、利上げ期待から国債利回りが急上昇しています。
ベンチマークとなる10年物利回りは、今週月曜日の朝、2008年の世界的金融危機以来初めて5%台に突入しましたが、その後、4%台に戻っています。
中銀の軸足
先週開催された米FOMCでも、一時的なインフレ圧力を見極めつつ、景気の軟化に注意を払う姿勢を維持しており、最終的には緩和方向へのバイアスを残しているように感じました。
最悪の状況になれば、利下げのチャンスはなくなるかもしれませんが、まだ先のことはわかりません。これに対し、欧ECBはよりインフレ重視の姿勢を鮮明にしています。
21ヶ国の集合体であるユーロ圏では単一の2%インフレ目標を掲げているので、インフレ率の上振れは政策対応を促す直接的な要因となりやすいのかもしれません。
その場合、たとえ成長に若干の減速の兆しがあったとしても、それが明確にならない限り、インフレ上昇への警戒が優先され、結果として利上げに踏み切る可能性は他の国よりも高そうです。
しかし、ここに中央銀行の政策決定の難しさがあると言えるでしょう。
上述の通り、エネルギーの供給ショックに起因するインフレに対して中央銀行が利上げで対応すれば、需要を冷やします。
その結果、景気を一段と悪化させることになる一方で、インフレそのものには十分な効果を持ちません。
逆に、景気を重視して様子見を続ければ、先行きのインフレ期待の上振れというリスクを抱えることにもなり、どちらに転んでも八方塞がり状態と言えます。
優先順位次第で違う対応
各国中銀の対応の違いは、こうしたジレンマに対する「優先順位」の差と言えるのかもしれません。
米FRBは雇用(成長)とインフレの2つの責務のもとで柔軟性を確保しなければいけないのに対し、ECBはインフレ抑制に軸足を置く構造です。
この制度的・文化的な違いが、同じショックに対しても異なる政策反応を生み出すことになりそうです。
そうなると、・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/3/24の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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