ウォーシュ次期FRB議長指名の衝撃

最初の問題点: タカ派のウォーシュさん
2006年、35歳の若さでブッシュ政権下のFRB理事に就任したエリートであり、2008年のリーマンショック時には、当時のバーナンキ議長の右腕として市場との対話役を務めました。
当時のウォーシュさんは、「ハードマネー・ホーク(強硬なタカ派)」として知られており、リーマンショック後の大規模な金融緩和(QE)には批判的で、通貨の価値を重視し、インフレを厳しく警戒するスタンスでした。
果たしてそのような人物が、トランプ大統領の利下げ要求を受け入れられるのか疑問が生じており、発表直後からドル高が進んでいます。
2つ目の問題点: データ重視
もう一つの問題点は、パウエル議長だけでなく世界の主要国中央銀行が築いてきた「データ重視(Data Dependent)」という金融政策の王道が、根底から覆されるかもしれない点です。
ウォーシュさんは、パウエル議長のやり方を「バックミラーを見ながら運転している」と一蹴しているようで、過去の統計数字に依存し手遅れになってから動く現体制を終わらせ、経済の枠組み変更の実行を計画していると言われています。
「タカ派」からの変貌?
私なりにいろいろ報道を読んでみたのですが、ウォーシュさんはFRB新議長の選考過程で、トランプ大統領に対し「利下げの必要性」を主張したと報じられています。
その理由としては、AIによる生産性向上などがインフレを抑制するため、以前よりも低い金利設定が可能である、という独自のロジックを展開したそうです。
これを「大統領への変節(忖度)」と判断しても良いのでしょうか?
もしかしたらウォーシュさんの真意は、(忖度などではなく) 「AIによる生産性の向上」という新たな未来予測、つまりAIが生産性の向上を通じて経済を効率化するのなら、物価は過去に経験したような上昇をせずに経済成長できるという考えでしょう。
だからこそ、1ヶ月後に発表される過去のインフレ指標(バックミラー)に左右されず、未来を見ながら果敢に政策金利引き下げなどを実施すべきだという事なのだと私は理解しました。
そして、このロジックこそが、トランプ大統領を惹きつけウォーシュさんを指名した最大要因だと思われますが、同時にマーケット参加者を困惑させている正体でもあるのです。
「プライド」という名のブレーキ
今回、報道を読んでいて強く感じた事は、ウォーシュさんの底知れぬ「プライド」でした。
ただ単にFRB新議長になりたいというだけでなく、「歴史に名を残す」議長としての自負と野望が極めて強いという印象を受けました。
就任直後の6月や7月のFOMCで、トランプ大統領の言いなりに無謀な大幅利下げを行えば、ウォーシュさんは世界中から「政治に屈した議長」というレッテルを貼られます。
それは、エリート意識の高い同氏にとって、耐え難い屈辱である事は間違いありません。
たぶんですが、ウォーシュさんは「自分の理論が正しいから下げる」のであり、「大統領に言われたから下げる」のではないという点に拘るのではないでしょうか?
この微妙な、しかし決定的な自尊心こそが、いざ利下げが正当化されない状況になれば、トランプ大統領の暴走に対する意外なブレーキとして機能する可能性がありそうです。
円相場を襲う混乱
さて、ウォーシュFRB新議長就任後の日本に目を向けると事態はさらに複雑に見えます。
ベセント財務長官は早々に「アメリカは為替介入をしない」と宣言しました。メリカの後ろ盾を失った日銀が、単独で円安を食い止めるのは極めて困難であるのは、誰が見ても明らかです。
2月8日の衆院選で、高市首相が率いる自民党が単独過半数を確保すれば、「財政拡大・減税」という強力なエンジンが始動します。
少なくとも海外勢はこれを「円のさらなる増刷」と受け取るでしょう。そうなると、アメリカでは「未来予測」に基づき利下げを模索するウォーシュさん。日本では「財政出動」を掲げる高市政権。
この組み合わせが、日米金利差の縮小を遅らせるリスクを高めることにも成りかねず、クロス円を中心としたさらなる円安の動きを巻き起こすかもしれません。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/2/3の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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