トランプ関税25%の衝撃と揺れる欧州

2026年早々、世界経済は極めて不安定な局面を迎えています。そして先週、トランプ大統領が放った一言が、世界貿易の地図を改めて塗り替えようとしています。
今回のコラムでは、日本では解散総選挙の報道に隠れている米欧英の亀裂について、書いてみようと思います。
グリーンランドを巡る「大西洋同盟」の亀裂
「グリーンランド売却の合意がなされるまで、欧州8カ国に対し2月1日から10%、6月からは25%の関税を課す」。
トランプ大統領によるこの宣言は、経済を武器に安全保障の枠組みを揺さぶる「トランプ流ディール」の極致と言えるでしょう。
対象となったのは、グリーンランドの主権を持つデンマークをはじめ、英国、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの8カ国。
トランプ大統領は、これらNATO同盟国がグリーンランドの米軍基地周辺へ軍を派遣したことを「不当な介入」と断じ、自国の安全保障上の利益を盾に経済制裁を突きつけました。
「妥協点を探る英」と「反撃の仏」:揃わぬ欧州の足並み
この未曾有の危機に対し、英欧の対応は驚くほど対照的です。
英国のスターマー首相は、1月19日朝の緊急記者会見で、「対話による解決」を強調しました。これは同盟国としてトランプ大統領を公然と批判し敵対するよりも、伝統的な「特別な関係」を維持し、実利的な妥協点を探る現実路線です。
スターマー首相にとって、貿易戦争による自国経済への打撃は、何としても避けたい「最悪のシナリオ」であり、現在は嵐が過ぎるのを待つ慎重な構えを見せています。
これに対し、フランスのマクロン大統領は対抗姿勢を鮮明にしました。
EUの強力な対抗措置である「ACI(経済威圧に対する保護のための装置)」、通称「貿易上のバズーカ砲」の発動を示唆したのです。
これは、不当な経済的圧力に対しEU全体で関税を掛け返したり、米国の銀行などが欧州で提供するサービス市場へのアクセスを制限したりするもので、発動すれば米欧間の貿易紛争は全面戦争へと発展します。
マクロン大統領の背後には、「米国の脅しに屈すれば、欧州の主権は失われる」という強い危機感があることは明白ですね。
世界が固唾を呑む「審判の時」
月曜日から開催されているスイスの世界経済フォーラム(ダボス会議)で、水曜日にトランプ大統領による講演があり、マーケットは内容を聞くまでは動くに動けない金縛り状態となっています。
投資家たちは、トランプ大統領がこの場でさらなる強硬姿勢を示すのか、あるいは交渉の余地を残す「軟化」を見せるのかを見極めようとしているのでしょう。
ダボスではマクロン大統領やスターマー首相も参加する予定であり、公的な演説だけでなく舞台裏での首脳同士の「接触」が、突然の合意や、逆に決裂の引き金になる可能性も否定できません。
為替市場への影響
この政治的混乱は、主要通貨のパワーバランスにどのような変化をもたらすのでしょうか?
ひとまずアメリカ休場の月曜日は、ドル売りで反応しました。
ユーロ:下振れリスクに警戒
ユーロは現在、最も厳しい立場にあります。
マクロン大統領が強硬姿勢を貫き、実際にACIが発動される兆しが顕著となれば、米欧貿易戦争が欧州経済の景気後退懸念を直撃します。
月曜日はドル安の動きでしたので、ユーロは対ドルで上昇しましたが、ダボスでのトランプ発言が強気であれば、ユーロ/ドルは一段の下落を試す展開が予想されても不思議ではありません。
ひとまず欧州側は対抗処置をすぐには発動せず、関税開始の2月1日まで保留扱いにしています。
もしそれまでに米欧の歩み寄りがなければ、欧州経済の不透明感から「ユーロ売り/ドル買い」となるリスクが高いでしょう。
ポンド:スターマー外交の成否が鍵
難しいとは思いますが、英国が米国と個別交渉で関税の例外規定をもぎ取ることができれば、ポンドはユーロに対して独歩高になる可能性があります。
逆に、交渉決裂ならポンドもユーロに引きずられ厳しい対応を迫られるでしょう。
日本円:「政治リスク」と「安全資産」のせめぎ合い
日本はこの騒動の直接的な当事者ではありませんが、グローバルなリスクオフ局面では「円」の動きが重要になります。
貿易戦争の激化に対する懸念から世界の株価が調整局面に入れば、リスク回避の円買いが強まる可能性は無視できません。
日本円が本当に「安全通貨」であるかは判断が難しいところですが、個人的には若干でも円高方向に振れる可能性を見ています。
ただし、米国債利回りがトランプ大統領のインフレ政策(関税による物価上昇)を懸念し急騰した場合、「ドル高/円安」という反対のベクトルも働きます。
それに加え、これだけ世界中のあらゆるところで「リスク」が台頭しているのに、日本では解散総選挙実施が確定し、約1ヶ月に渡る「政治の空白」が生じます。
この期間に深刻な「有事」がないことを祈るばかりです。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2026/1/20の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。















