英労働党政権の賞味期限

2024年7月の解散総選挙で14年ぶりに保守党が敗れ、労働党政権が誕生しました。
英議会650議席(過半数326)のうち、労働党は411議席を獲得するという見事な結果を残し、順風満帆のスタートでした。
しかしそれから15ヶ月経った今、労働党は見る影もないほど落ちぶれた状況です。
週末の大惨事
この週末、イギリスで起きた大惨事。ケンブリッジ州からロンドンへの快速電車の中で、32歳の英国籍の黒人男性が包丁を振り回し、11人が緊急搬送されました。
この事件を含め、この90日間で同様のナイフ事件が3件続けて起きており、そのたびに罪のない犠牲者が出ており、国民の怒りと不安は頂点に達しています。
驚いたことに、この事件の報道後、スターマー首相は遺憾の念を述べただけで、COP30出席のため、ブラジルへ向かいました。
イギリスに住む我々は、公共交通機関に乗ることや、犬の散歩に行くこと、学校に通うことなど当たり前の日常を送ることが恐ろしくなり、一刻も早く政府の介入を必要としていますが、その声は届いておりません。
事件の後に首相がTVに出て、政府が全力で対処すると言ってくれれば、どれだけ安心感が高まったことでしょう。
治安・移民・公共安全といったテーマは、労働党政権にとって最も脆弱な分野のひとつであり、どんどん増えるナイフ事件の背景には、多くが移民の2世・3世だと報じられています。
結局、「労働党政権は国民の安全を守れない」という印象が定着し、政治的な影響が大きくなりはじめました。
解散総選挙はあるのか?
次の総選挙は2029年に予定されていますが、今後、労働党政権が追い込まれれば任期途中での解散も十分あり得ると私は考えています。
週末の事件後、議会解散権を持っているチャールズ国王に対して、即刻の解散を求める声が国民の間から高まりました。もちろん国王は動きませんが、もし同様の事件がまた起きれば、次はどうなるか分かりません。
私自身は、来年5月に実施される統一地方選挙で、労働党が大敗し、移民反対の旧Brexit党であるポピュリズム政党:リフォームUK党が大躍進すれば、早期解散総選挙の可能性もあると考えています。
労働党離れの理由
週末の事件が起きる以前から、労働党離れは加速度的に進んでいました。
主な理由としては、
- 2024年総選挙での労働党の公約がほとんど守られていない
- 物価対策が功を奏しておらず、生活水準が著しく低下している
- 他の政党の方が、自分の価値観に近い政策を運営してくれそうだという期待感
- 保守党政権から労働党に移行しても、何も改善していない
- 最も期待された医療制度の改善が、全く見られない
- 弱者に対する補助金支給の停止
- 移民/難民の数が多すぎる
- 現在の労働党は、あまりにも中道により過ぎている
リフォームUK党の躍進
この1ヶ月くらいの世論調査結果を見る限り、英国の伝統的2大政党制(保守党と労働党)はとっくに終わり、リフォームUK党がぶっちぎりの人気を集めています。
ざっくりとした数字ですが、世論調査を見ると、リフォームUK党の支持率は29~33%、それ以外の政党(保守党、自民党、緑の党)は17~22%くらいで横並びとなっています。
これを議席数に換算すると、場合によってはリフォームUK党の単独過半数与党となる可能性も指摘されています。
リフォームUK党が人気を集める背景には、
- 保守党からの支持者がリフォームUK党に移ってきた
- 働者階級の白人層による移民政策や治安悪化への反発
- 若年層が既成政治にうんざりして、リフォームUK支持に回った
もしスターマー政権が「治安・移民・公共安全」で失点を重ねれば、リフォームUK党が第一党となる「異例の政変」も、視野に入れておくべきでしょう。
・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2025/11/4の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。















