利下げとQT終了、FRBのリスク管理戦略

9月17日に開催された前回のFOMCで、FRBは労働市場の下振れリスクが高まったと認識し、9ヶ月ぶりに政策金利を25bps引き下げ、利下げを再開しました。
しかし残念なことに、そのわずか2週間後に米連邦政府が閉鎖され、FRBも市場関係者も新たな経済データにアクセスできない状況となっています。
今回のコラムでは、そんな中で開催される今週のFOMCについて書いてみたいと思います。
コンセンサスは25bps利下げ
市場では、今週は25bps利下げ、さらに12月にも追加利下げを予想していますが、データ(経済指標)の欠如が極めて大きな不確実性をもたらしていることも事実です。
パウエルFRB議長は、一連の利下げを『リスク管理型利下げ』と説明しており、インフレは依然として高止まりしているが、採用が鈍化し解雇が増える可能性がある労働市場にフォーカスを移し、利下げを肯定的に捉えているという印象を受けました。
10月24日発表のCPI
10月1日から始まった「データ空白」を埋める唯一の例外として、10月24日に9月CPI(消費者物価指数)が発表されました。 発表内容は、追加利下げの条件としては整合的であったという認識です。
利下げなしという予想もあるが・・・
経済成長は堅調、インフレは高止まり、雇用市場の軟化が認識されているが、依然として失業率は低水準。そして株式市場は最高値更新中。
この状況で利下げをすれば、資産バブルを中央銀行であるFRBが引き起こすことになるので、利下げ見送りという予想もあるようです。
この点をパウエル議長の記者会見で質問された場合は、念の為に注意して下さい。
利下げ決定の投票配分予想
最近のFRB理事達の発言を総合すると、タカ派寄りのメンバーでさえ、市場が織り込み済みの「100%利下げ観測」をほとんど否定していません。
最もハト派のミラン理事は50bps利下げ票を投じると予想されており、全会一致での25bps利下げとはならないでしょうが、タカ派のセントルイス連銀ムサレム総裁やカンサスシティ連銀シュミッド総裁も利下げ反対の票を投じるとは考えにくいです。
QT策の早期終了観測
10月に入り顕著となっている短期資金市場の逼迫により、早ければ今週末にもQT策停止を発表すると見られています。
これは流動性確保を優先する方向転換とも考えられ、今までの『引き締めモード』からは明らかな変化となるでしょう。
ただし、既にマーケットではこの結果を想定しているので、為替には影響はないと考えています。
パウエル議長記者会見
私自身が最も気になる点をいくつか紹介します。
12月利下げの可能性について
現在 経済指標発表が止まっており、FRBは暗闇の中を手探りで進んでいる状況です。
言い換えれば、欧州やイギリスのような景気後退ではなく、FRBは『情報の欠如』という異例の敵と戦っているのかもしれません。
その意味では、いくらマーケットが12月も追加利下げを100%織り込んだとしても、パウエル議長は慎重なトーンを崩さず、あくまでも「データ次第」という表現を繰り返すと予想しています。
データ不足に言及か・・・
政府閉鎖によりデータそのものの発表が停止されており、FRBが入手出来る民間の数字にも不透明感が高いことを認める可能性が高いと見ています。
その中でも、アメリカ経済が直面するリスク・バランスについては、雇用の下ぶれリスクが依然として残っていることを認めると思います。
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続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2025/10/28の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。
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