FOMCが直面する雇用とインフレ・リスク

金融政策
政策金利を25bps引き下げ、4.00〜4.25%とすることが、ほぼ確実視されていますが、市場では「50bps利下げを求める意見」が一部の理事から出る可能性も指摘されています。
私自身は、
- 据え置き票は、なし
- 1〜3名の理事は、50bpsかそれ以上の利下げ票を入れる可能性がある
- ほとんどの理事は、25bps利下げを支持
このような投票配分となり、「利下げの方向性自体」に異論はないと考えています。
雇用リスクへの対応
今回の利下げの背景にあるのは、8月のジャクソンホール経済シンポジウムでのパウエル議長の発言や、ここ数ヶ月の雇用統計の数字です。 インフレは依然高水準ですが、関税の影響は一時的とみられ、むしろ雇用面での下振れリスクが強調されるようになりました。
これを踏まえれば、25bps利下げは自然な流れといえるでしょう。ただし、コアPCEインフレ率が未だに粘着性がある点を考慮すると、50bps利下げを求める意見は、少数にとどまる見通しです。
SEPとドット・チャート
四半期マクロ経済予測(SEP)については、今年の予測が順調に推移していることから、大幅な修正は必要なさそうです。注目はドット・チャートでしょう。
いろいろな報道を見ると、こんなイメージです。
- 2025年 今週の利下げに加え、もう1回の利下げ
- 2026年 さらに2〜3回の利下げ
- 2027年 中立金利3.0%に戻る見通し
- 2028年 完全雇用と2%インフレ目標を前提に、中立水準を維持するシナリオ
中立金利
金利の長期均衡水準である中立金利については、意見が分かれています。 このまま3%据え置きという意見と、0.125%引き上げ、或いは引き下げという感じです。
もし0.125%引き上げとなれば、短期的には緩和路線ではありますが、長期はむしろ金利高めという、一見矛盾するシグナルが同時に発せられる可能性があり、今後、議論の余地が広がるかもしれません。
大幅利下げ組
7月FOMCで25bps利下げ票を入れたボウマン副議長とウォーラー理事が、今回は50bps利下げを求める可能性があります。そして新任のミラン理事も(水曜日のFOMCに出席となれば) 50bps以上の大幅利下げを支持するかも知れず、投票配分は複雑になりそうです。
ただし、私自身の考えとしては、今50bpsかそれ以上の利下げ票を投じる根拠があまりなく、トランプ大統領への忖度としか受け取れないため、さすがに50bpsより大きい利下げ票を入れる理事は、いないと信じたいです。
もし仮にミランさんが「1%の利下げ」などというとんでもない票を入れれば、マーケットは一瞬、ドル売りに走るでしょうが、そこで追随してドル売りを仕掛けるのは危険すぎると思います。
・・・
続きを読みたい方は、「イーグルフライ」よりご覧ください。
2025/9/16の「イーグルフライ」掲示板より抜粋しています。