分散投資ができない 世界の巨大な投資資金に注目

分散投資の終焉
投資の教科書には「ポートフォリオが大事」・「分散投資が大事」と書いてあります。
ところが、現在、世界の各相場の連動性が強くなっているので分散投資の意味がどんどん薄れています。
ミクロ的には分散投資は正しいですが、マクロ的には意味が薄れているのです。
分散投資は逃げに使われることも多いです。
「これからどうなるか分からないから分散投資しましょう」と言われるのです。
そして、多数の投資商品を買わせるセールストークにもなります。
個人的には、これからどうなるか分からないのであれば投資を勧めるなと思ってしまいます。
崩れてきた常識
分散投資に意味が無くなっていることを次の視点で見ていきます。
① ポートフォリオが組めない
② 通貨分散できない
③トリプル安
④金融危機は全ての相場が下落する
①ポートフォリオが組めない
ポートフォリオを組むとは連動しない相場を組み合わせて投資することです。
昔は、世界の各相場がばらばらに動いていましたが
現在、世界の各相場の連動性が高くなっています。
連動しない相場を見つけるのが難しくポートフォリオを組めなくなっているのです。
分かりやすい例では
米国株が上昇すると世界各国の株が上昇し
米国株が下落すると世界各国の株が下落する
という連動性があります。
米国株と日本株に分散しても同時に上昇や下落することが多いということです。
個別株もインデックスに連動して動くことが多くなってきています。
日経225が下落すると業績などに関係なく個別株も下落するのです。
②通貨分散できない
今までは、ドルとユーロと円で通貨分散することが推奨されてきました。
しかし、現在、ドルもユーロも円も通貨安なので、どの通貨も持ちたくないことから今までのやり方では通貨分散できません。
代わりに無国籍通貨(=国際通貨)であるゴールドを持つことが通貨分散になってきているのが現状です。
次の記事で詳しく解説したので合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2834/
③トリプル安
投資でポートフォリオを組む基本は「株」と「債券」に分散させることでした。
ところが、2025年4月、米国では株安、債券安、通貨安のトリプル安が発生していました。
トリプル安はブラックマンデーなどの金融危機の時に発生する危険な兆候です。
米国の市場から全ての分野の投資資金が抜けていく時にトリプル安となります。
④金融危機は全ての相場が下落する
分散投資していれば金融危機でも大丈夫だと勘違いされている人もいると思います。
分散投資しても、金融危機時になると全ての投資資金を引き揚げることになるので、全ての相場が下落します。
ポートフォリオ全部が暴落するのです。
リーマンショックを発端とする金融危機ではゴールドも暴落しました。
なぜ分散投資の意味が薄れたのか?
分散投資の意味が薄れてきた最大の理由は世界の投資資金が巨大になったからです。
そして世界の巨大な投資資金がどの市場に行くかで世界の各相場が動くようになりました。
バブル相場が、よりバブル化する原因にもなっています。
ということは世界全体を俯瞰して大きな投資資金の動きを先読みすることが大切です。
大きな投資資金がどこに行こうとしているのかを先読みすることが投資の基本となったのですが、これを認識している人は少ないです。
ちなみに、世界の巨大な投資資金は、まだ本格的にゴールドに向かっていません。
ゴールドの市場は小さいので巨大な資金が入ると大暴騰してしまうからです。
インフレ対策で株を買ってはいけない
今、インフレだからといって株を買っている人が多いです。
景気が良くてインフレであれば「インフレだから株を買う」というロジックは成り立ちますが、「不景気のインフレ」=「スタグフレーション」では株は上がりにくいです。
インフレに注目するより、世界の大きな投資資金がどこに行こうとしているのかに注目することの方が圧倒的に大切です。
世界の大きな投資資金が全市場から引き上げる時が金融危機です。
認識力が問われる時代です。