パウエル議長の持論の展開に注目
先週の動き
先週1週間の主要通貨の対ドルでの騰落は、全ての通貨が上昇して取引を終えており、ドル全面安の展開で引けています。
上昇の上位よりGBP(+1.35%)、EUR(+1.19%)、AUD(+1.18%)、NZD(+0.89%)、CHF(+0.33%)、CAD(+0.29%)、JPY(+0.08%)と続いています。
週末にかけて、米国の雇用関連指標に鈍化が目立つ結果が相次ぎ、早期の利下げ開始を織り込み、金利は低下、主要通貨に対しドル売りが進みました。
JPYは上昇の最下位、全ての通貨に対しパフォーマンスで劣り、USDJPYがやや値を下げるなか、クロス円が買われています。
金利の低下からリスクセンチメントが一段の改善を示し、株などのリスク資産が買われる好循環が実現しています。
先週予想した値幅と実際の値幅
USDJPY
予想した値幅:400pts
実際の値幅:159pts
EURUSD
予想した値幅:252pts
実際の値幅:132pts
EURJPY
予想した値幅:470pts
実際の値幅:191pts
USDJPYの反落が限定的となり、結果、クロス円が買われる展開、総じて小動きであり、キャリートレードには追い風の環境となっています。
今週予想する値幅、68%/95%の下限/上限
USDJPY
予想する値幅:396pts
68%下限/上限:158.77/162.73
95%下限/上限:156.79/164.71
EURUSD
予想する値幅:170pts
68%下限/上限:1.0754/1.0924
95%下限/上限:1.0669/1.1009
EURJPY
予想する値幅:364pts
68%下限/上限:172.44/176.08
95%下限/上限:170.62/177.90
フランス総選挙は第1回を通過したことで大勢が判明、本日第2回をむかえます(後述)。先週の流れを受け、全体的にIV(予想変動率)は低下、織り込む値幅も縮小しています。
値幅の概念、考え方はこちらの動画からご確認ください↓
今週(以降)の展望
本日はフランス総選挙の第2回が実施予定、全577議席のなかで確定しない500議席を争うことになります。
すでに極右の国民連合(RN)は過半数に届かない、そうした見通しから先週は週明けからユーロが買い戻されてきました。
第2回の出口調査は、投票締め切りの日本時間では7/8、03:00に発表予定、RNの想定外の躍進等のヘッドラインで週明け流動性の細るなか、朝から荒れる可能性もあります。
今週は、FRBパウエル議長の半期に一度の議会証言が7/9に上院銀行委員会、翌7/10に下院金融サービス委員会で予定されています。
ここまでの金融政策運営やこの先の見通し等を説明して、議員からの質問に回答し、国民に理解を求めます。
週末の米雇用統計の結果を踏まえ、議長が利下げ開始に向け一段と確信を得た可能性もあり、どのように持論を展開するか注目でしょう。
(メインシナリオでは、さらにデータがそろう8月下旬のジャクソンホール経済シンポジウムまで議長に大きな変化はないと読みます)。
年内の利下げ開始に向け、今週1番の注目となりそうなのが7/11の米6月のCPI(消費者物価指数)の発表でしょう。
市場予想を確認すると、
CPI、前月比(予想+0.1%、前回+0.0%)
CPI、前年比(予想+3.1%、前回+3.3%)
コアCPI、前月比(予想+0.2%、前回+0.2%)
コアCPI、前年比(予想+3.4%、前回+3.4%)
すでに一般の消費財などは明確に低下傾向を示していますが、サービス価格の高止まりからコアは前月5月から変わらずの予想です。
このコアが市場予想を下回るようですと、利下げ開始に向けさらに援軍の到来となり、金利低下、ドル売りのイベントとなるでしょう。
長くなり恐縮ですが、今週の7/9-10は日銀が7月末の日銀金融政策決定会合での国債買い入れ額の減額発表に向け、「債券市場参加者会合」を開き、減額の影響等をサーベイします。
この会合は日銀の金融市場局の開催であり、総裁・副総裁・審議委員からの発言の機会はないとみられますが、会談内容公開されるようですと一時的に反応する可能性もあります。
こちらは有料メルマガより時間をおいて掲載しています。
こうした流れを加味したポジションの組み換え、市場参加者から伝わる裏事情、金融機関のレポートの概略等はSmartLogicFXのなかで展開していきます。
関連記事
https://real-int.jp/articles/1010/
https://real-int.jp/articles/2588/