リーマンショックは終わっていない 投資前提8つの崩壊
リーマンブラザーズ本社 wikimedia.orgより
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投資の前提
社会には無意識の前提が多く存在し、投資の世界にもあります。
ほとんど全ての人が次の2つを前提として投資しています。
① 世界の経済も株価も右肩上がりが継続する
② 米国覇権が今後も継続する
たとえば米国株指数S&P500の長期保有が最高の投資だと思っている人は、この2つの前提を信じて投資をしているわけです。
多くの場合無意識です。
前提が変われば、投資行動も変わります。
この2つの前提が崩れはじめているのが現状です。
良い投資だと思っていたものが、悪い投資になることも多いでしょう。
どんどん変化していく前提を正しく認識していくことが大事です。
多くの人は変化していくものを認識することが苦手です
前提が変化するとどうなるか
過去の延長線上に未来がない時代だとお伝えしてきましたが、これは前提が変わった結果です。
前提が変化すると次のようなことが起きます。
・過去の延長線上に未来がない
・教科書に書いてあることが通用しない
・過去の経験があだになる
・プロが確信を持って間違える
・常識が非常識になる
・良い投資が悪い投資になる
この感覚を持つことが大事です。
多くの人は前提の変化に追従できません。
体が大きな恐竜が変化に対応できずに滅び
体の小さな哺乳類で変化に対応したものが生き延びたのと同じです。
前提の変化に対応できる者が富を拡大し、
対応できない者は富を失うことになります。
サバイバル時代の到来です。
周期的に大きな変化が到来するわけですが、今が時代の大きな分岐点です。
報道や常識が崩壊する
報道や常識、当たり前と思っていた前提が崩れてきています。
自分が信じていることが正しいのかを吟味することが大事です。
「その時々に一番美味しい投資をする」
という投資の当たり前のことが常識になっていないのは、皆が間違った常識を信じているからです。
合わせお読みください。
https://real-int.jp/articles/2563/
投資環境の前提8つ
現在の投資環境の前提の変化、間違いをまとめました。
①リーマンショックは終わっていない
②通貨価値の急減
③インフレではなくスタグフレーション
④米国覇権の衰退
⑤米国軍事力の低下
⑥国家破綻のリスク大
⑦グレートリセット
⑧ゴールドが脇役から主役
投資をするのはこれらの前提を理解しておく必要がありますので、それぞれ解説していきます。
①リーマンショックは終わっていない
2008年9月にリーマンショックと呼ばれる株の暴落から100年に一度という金融危機がスタートしました。
大規模な金融緩和によって株価下落から反転上昇して景気も回復してきました。
1960年からの米国の通貨供給量のグラフです。
2008年9月リーマンショック後から急増しました。
米国の通貨供給量
そして、2024年6月の現在でも通貨供給量は増加し続けています。
通貨供給しないと株が暴落するからです。
現在、米国の景気は良いことになっていますが、大量の通貨供給で株価を支えて景気が良いように見せているのです。
個人のクレジットカードの残高も延滞も急増中です。
通貨供給量を元の水準に落とすと株は大暴落し、金融危機再燃となります。
通貨供給量を急増させることで本来破綻するはずのゾンビ企業が延命してきました。
通貨供給量の大幅拡大で一時的に延命しても本質的な解決にはなりません。
リーマンショックが終わっておらず、その清算をする必要があるという前提を忘れてはいけません。
②通貨価値の急減
現在、インフレで物価高というより、実は通貨価値の下落です。
通貨供給量が増加するということは通貨価値の下落となります。
今、世界的にインフレが激しいですが、その原因は各国とも通貨価値が急落していているからです。
リーマンショク後、金融緩和で株価を上げて景気対策は、インフレになったらできなくなることを何年も前からお伝えしてきました。
デフレという前提があって初めて金融緩和に効果があるのですが、その前提が崩れました。
同じインフレでも
物価高(好景気)が前提と
通貨下落(不景気)の前提では
対応策も投資スタイルも全く異なります。
③インフレではなくスタグフレーション
今のインフレは、景気が良くて物価が上昇するインフレではなく、景気が悪い中のインフレです。スタグフレーションといいます。
前提が、良いインフレか悪いインフレかで、全く異なるのですが、まず、この前提の違いを認識する必要があります。
良いインフレでは金利を上昇させることで景気の過熱を抑えて経済を安定させることが可能です。
しかし、悪いインフレでは金利上昇させることで景気悪化が加速し、金融危機につながります。
世界的にスタグフレーションになったことで、金融政策で抜本的な景気対策ができなくなったのです。
米国政府は「インフレは一時的」だと当初は言ってきました。
それを鵜呑みにしてきた銀行は米国債を大量に保有してきたことから米国債の暴落となり大きな含み損を抱えることになりました。
金利上昇で国債価格は下落します。
2023年3月にシリコンバレー銀行が破綻した理由もこれです。
インフレ対策として株を保有することが良いとされますが景気が悪いと本来株価は下落方向となります。
一方でゴールドは不景気でも下落しにくいです。
つまり、スタグフレーション時にはインフレ対策として株よりゴールドの方が良いことになります。
④米国覇権の衰退
米国覇権が急激に衰退してきました。
ロシアや中国が基軸通貨を狙っています。
これは基軸通貨であるドルの価値が下落していくことになります。
世界最大のヘッジファンド創設者のレイ・ダリオ氏も、米国は覇権の末期であることを指摘しています。
https://real-int.jp/articles/2359/
親米派も反米派に近寄りだして、米国覇権の足元は急激に弱くなっています。
⑤米国軍事力の低下
覇権を維持するには軍事力が必要ですが、覇権の衰退と同時に米国の軍事力も低下しています。
米国は移民を米軍に積極的に入隊させているので戦力低下となっているようです。
米国の軍事力の低下以前から米国は世界の警察の座から降りる発言がでており、世界で戦争が起こりやすくなっています。
戦争は相場に大きな影響を与えますし、今までの投資概念も変わります。
⑥国家破綻のリスク大
ここでは簡単に解説します。
米国も日本も国債を大量発行していることから利払いで破綻、もしくは破綻に相当するようなことが起きる可能性があります。
「米国、日本など先進国における自国通貨建て国債の破綻は考えられない」という人もいますが、これは中央銀行が国債を買えばよいというロジックです。
中央銀行が無限に通貨発行して国債を買えば問題ないというわけですが、それをすれば通貨暴落となるので、実質破綻と同じです。
米国は債務上限を何度も更新しましたが、更新しないだけで国家破綻になります。
資産があっても、現金が手元になく国家予算が組めなくなることを国家破綻といいます。
⑦グレートリセット
金融におけるグレートリセットとは、一旦今迄の金融システムなどをリセットすることです。
これはまさしく、突然、今までの前提をリセットするという意味です。
グレートリセットの具体的なものは提示されていませんが、金融に激震が来ることは明確です。
ちなみに、グレートリセット後は「個人は何も所有しない。」という社会を目指しています。
⑧ゴールドが脇役から主役
投資対象としてゴールドの位置づけが、脇役から主役になっています。
ゴールドが高値更新を続けていても、これを理解する人は少ないです。
https://real-int.jp/articles/2555/
変化していくことを認識する
今のサバイバル時代は前提の変化を注視しながら、柔軟に対応することが求められています。
サバイバル思考が必要だということです。
脳の特性として、急激に変化するものは認識しやすく、大きな変化でも、じりじり変化するものは認識しづらいです。
しっかりアンテナを張って感度を高めておきましょう。
トップ画像はリーマンブラザーズ本社
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