神山町に見る地方創生の本質
地方創生の成功例として有名な神山町に行ってきました。
神山町と言えば「神山まるごと高専」が2023年に開校しました。
(神山まるごと高専。著者撮影)
行政ではなく民間企業が街おこしに貢献して成功した、という文脈で語られることが多いようですが、現地での実際は少し異なるようです。
まず神山町で街おこしが本格的に始まったのは、2004年に神山グリーンバレーというNPO法人が発足したことに起因するようです。
https://www.in-kamiyama.jp/npo-gv/
まず市民、次に企業、そして政治は・・
まず地域の人々が神山を良くしよう、ということで始まり、そこに企業を誘致し、サテライトオフィスが作られ、高専ができたという順番です。
神山の成功例は「企業」が主導したことではなく「地域の人々」が主導したことが本質ではないでしょうか。
また神山町の成功のもう一つの要因として、多くの人々が語るのは、行政が余計な口を出さない、ということです。
地域住人主導で、地域住人の目線でサービスが作られ、そこに行政は必要なリソースだけ提供する、この三者の組み合わせが最適なのだと思います。
なぜ神山なのか
神山町の成功の特徴は、人々の受け入れ体制、オープンさにもあります。
地方、田舎と言えば閉鎖的で余所者には厳しいのが普通ですが、神山は移住も増えています。
その理由もグリーンバレーの仕掛けた企画にありそうです。
アートインレジデンスという、神山町に海外からアーティストを呼び、滞在しながら作品を仕上げてもらう、という企画を20年以上やっているそうです。
https://www.in-kamiyama.jp/art/kair/
これにより、地域に外国人がいることが普通になり、移住者や他の県の人が来ても大して驚かない、という下地ができたようです。
※地方の実際は住んでみるとまた見方が全く異なるので、あくまで今回の視察の中で感じた意見としてまとめています。
観光が本当に正しい選択肢か
もう一つ神山の成功の理由は、おそらく観光だけに集中しなかったことだと思います。
観光は一見すると多くの人が訪れて地域にお金が落ちていいように見えますが、例えばホテルやレストランのオーナーが地域の外の人の場合、十分に地域にお金が還元されないこともあります。
雇用に関しても正規雇用よりもアルバイト雇用のような形が増えます。
また、観光客が多く訪れることで、地域の人々目線ではなく、観光客目線でインフラが作られ、それが地域の人に利益にならないこともあります。
神山の成功の本質は、あくまで地域の人々が主体であるということを、崩さずにいることではないでしょうか。