英国で見たリアルな階級社会
英国で見たリアルな階級社会 ~収入・住宅・教育の格差~
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郵便番号・最寄り駅でだいたいの階級がわかる
今回はインナー・ロンドンを取り上げました。
北・北西と書いてある外側をM25(モーターウェイ25)という、いわゆる環状線のような高速が通っています。モーターウェイ25の少しアウトサイド(恐らく5キロとか10キロ程度)を含めてグレーター・ロンドンと呼称していますが、今回はモーターウェイ25の内側であるインナー・ロンドンを取り上げます。
東、南東、南西、西、北西、北と綺麗に色分けができ、中央の黄色の部分が英国の金融街シティオブロンドンです。南と北東に郵便番号がない理由はわかりませんでした。
東・南東エリア
東と南東(緑色の丸部分)は、1988年の渡英した当時、夜は絶対に一人で行ってはいけないと言われているような所でした。
黄色の部分にあるシティにいた頃に、少し東に行った所のインド料理屋にグループで行ったことはありますが、一人で歩くことは今でもないです。
東の一番上のE4には難民キャンプがあり、少し怖い印象があります。車で通ったことはありますが、車からは降りたことはないです。
南東は今は白人の方が住んでいますが、イギリスに来たばかりの頃は黒人の方が結構多い地域でした。教育水準が一番低い所が南東でした。
北・北西エリア
日本人学校があるのが西のエリアです。道路の便があるため、日本人が多く住んでるのが北・北西エリアです。南西に住んでる人もいらっしゃいますが、日本人村という風に呼ばれているのは北が一番多いです。
ロンドン住宅価格比較(2021年)
大手不動産会社が地域別の値段を書いていますが、2021年のデータです。そのため、今は随分上昇していて、倍になっているところもあります。ロンドンの価格があまりにも上がってきており、東と南東に流れている傾向があります。
為替レートは私の一存で 150円で計算しています。なぜかというと、180円は実態経済に合っておらず、単なる円安でそこまで持ってかれているだけで、実際に日本とイギリスを往復していて、比較する時に一番しっくりくるのが150円程度だからです。
図からもわかるように、家の価格は、東・南東エリアが安いです。ポッシュ(上流階級)が住んでいるのが、赤丸がついている北西のNW8と南西のSW1です。
北西
・金融関係の方が増えてきている(シティに電車で15-30分で行ける)。
・アラブ人が多い(1軒の家が100億円する家が並んでいるアラブストリートがある)。
・芸能人やサッカー選手が住んでいる。
・NW8:ビートルズが歩道を歩いてる写真を撮った町。50代以降の本当にお金持ちの方が、引退後にゆっくり プライベートを大事にする町といった感じ。
南西
・アントレプレナー やロシア人が多い
・SW1:外交官が住んでるいるような町。おしゃれなブティックが多くあり、若い人は住めないが、買い物に訪れる。
東・南東
有色人種の比率高い
北
金融関係の方が多い(シティに行くのに1本で行けるため)
有名な私立の幼稚園・小学校・中学校・高校は全て北西・南西にあります。郵便番号を聞くと、その人の年収と最終学歴や階級がおおよそ分かります。
イングランド・地域別支持政党
青色
保守党支持地域=年収が高い、学歴学歴が高い人が多く、EU残留支持が多い
赤色
労働党指示地域(Red Wall)=労働者階級で学歴があまり高くない人が多い
中には高学歴な労働者もいますが、このように綺麗に分かれています。
青色の中にある小さい赤い所はロンドンです。ロンドン市長は労働党であるため、そこだけが労働党です。
イングランド・地域別不動産平均価格
赤色が労働党指示地域で青色が保守党支持地域です。
ロンドンは別次元なので色付けは省きました。
階級社会:20世紀から21世紀へ
階級社会であることは国勢調査で明らかになります。国勢調査は義務です。任意項目もありますが、年収・最終学歴・人種・家の広さ(何部屋あるか、駅からの距離等)・家の値段などを書きます。ちなみにイギリスでは住民税は家の価格で決まるため、家の値段で嘘の記載はできません。
私立学校に通えるようなエリート層は人口比で6%となっていますが、最新の情報では5.8%です。仕事をしていない層が15%も居るのは年金受給者が含まれているからです。
Dというのが労働者層です。4番目や5番目はC1、C2というカテゴリーになっていますが、限りなく労働者に近い人もいるので、私は労働者層はこの数字以上に多いと思っています。
階級と年収
2015年のデータかつ円換算は150円での数字です。今だと、手計算でエリート層で2250万円程度で、確立した中級階級で1000万円~1100万円程度でしょう。
物価高で200万・300万円の年収では生活できないため、その場合は生活保護を受ける形だと思います。
階級の見分け方
学歴
・階級が上がれば上がるほど大学卒が多い。
・両親の最終学歴が高卒の場合、大学進学率が大きく下がる。
(イギリスは義務教育が16歳まで)
人種と学歴
・大学進学率は白人が最も多い。
・最近はインド系や中国系が抜きん出て進学率が高い。
(医学部はインド人ばかり)
階級と大学
・ オックスブリッジ系やLSE大学、インペリアル大学では非白人系の生徒を多く取るようにしている
アクセント
・私立校卒業生は顕著にアクセントが違う。イングランドで私立校に通うのは、5~6%とかなり限定的。
・ロンドンの労働者階級の間ではコックニーが多い
郵便番号
・郵便番号や最寄駅を聞けば、だいたいの年収や階級が予想出来る
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