カンヌ国際映画祭でレッドカーペットを歩く
カンヌ国際映画祭とは
5月16日、フランスのカンヌでカンヌ国際映画祭(FESTIVAL DE CANNES)第76回が開催され参加してきました。
今後、カンヌ国際映画祭について本質的な情報発信をしていきたいと思います。
カンヌ国際映画祭は
ヴェネツィア国際映画祭
ベルリン国際映画祭
と並び、「三大映画祭」の一つです。
元々、歴史的な背景としては、ヴェネツィア国際映画祭が政治色を強めたため、対抗してカンヌ映画祭が作られたという歴史があります。
それぞれの映画祭毎に特徴がありますが、中でも、カンヌ映画祭は映画人の中で最も評価される権威のある映画祭です。
大衆的、商業的なハリウッドに対して、カンヌは特に映画人向け、玄人向けの映画祭です。
ちなみにハリウッドの「米国アカデミー賞」は「テレビ番組」であり、映画祭ではありません。
カンヌが映画界において大きな存在感があるのは国際映画人向けのコンペティションだからです。
例え興行的に世界的にヒットしても、世界的に有名な俳優であっても、カンヌでは評価されるとは限りません。
国際映画人が評価しない映画や俳優は評価されないのがカンヌ映画祭です。
したがって、カンヌで評価されるというのは映画人にとって最高のステータスになるのです。
ドビュッシーの席で監督や演者の紹介
カンヌ国際映画祭の情報が極端に少ない理由
日本ではカンヌ国際映画祭についての報道や情報が極端に少なく間違った認識も多いです。
なぜなら、ほとんどの日本人は参加できないからです。
具体的には大きく3つの理由があります。
①報道関係者が入れるエリアが限定されていること
日本から現地に行っている報道関係者も、ほぼいません。
②国際映画関係者しか入ることができないこと
過去に米国大統領が参加を希望しても国際映画関係者ではないためにパスが取れなかったそうです。
権力者だから、お金を持っているから参加できるものではない世界なのです。
③日本の映画業界は鎖国状態で国際映画になっていないこと
日本では映画の興行収入市場規模は世界3位で大きいものの、映画を世界に発信することが少ないので、多くの日本の映画関係者は国際映画関係者と認められずに、パスが取れません。
実際に日本人はほとんど見かけませんでした。
マルシェというエリアには世界各国のブースもあるのですが、日本のブースは世界3位の興行収入とは思えないほど小さかったですし、来訪者も少なく、数少ない日本人同士の交流の場となっていました。
マルシェ内の日本ブースの一つ
カンヌとハリウッドの違いはエジソンから
カンヌとハリウッドの映画に対する認識は完全に分断されていて、正反対の性格を持ちます。
レッドカーペットを歩く意味も全く異なります。
ハリウッドはビジネスで、
カンヌは芸術です。
ハリウッドはエンタメで
カンヌは芸術の頂上決戦の場です。
ハリウッドでは興行成績に対して評価されますが
カンヌでは未公開映画しか上映されません。
このように、完全に分断されているのですが、これは発明王トーマスエジソンがもたらした分断です。
トーマスエジソンは世界の映画文化に大きな影響と歪をもたらしたのですが、詳しくは次の記事で解説しているので、合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/1215/
ハリウッドとカンヌはお互いがお互いを嫌う関係であり、価値基準も正反対なのです。
今回、インディージョーンズの未公開の最新作 「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」も上映されていましたが、
「Out of competition」つまりカンヌ最高の賞であるパルムドールのエントリー対象外の作品という扱いです。
カンヌではエンタメ系のハリウッド映画が受賞することはないと考えらえています。
festival-cannes.com
レッドカーペットを歩くには
カンヌと言えば世界中のセレブが憧れる「レッドカーペット」がありますがハリウッドのレッドカーペットを歩く意味とは異なります。
カンヌではレッドカーペットが2つあります。
「Palais des Festivals et des Congrès」というカンヌの会場建物には2つの映画上映会場があります。
①Théâtre Lumiere(ルミエール)
世界最多席数
②Théâtre Debussy(ドビュッシー)
世界最大画面・オープニングセレモニーも開催
ルミエール のレッドカーペットの張替え
ドビュッシーの小ぶりなレッドカーペット
それぞれの映画上映会場(シアター)の入り口にレッドカーペットが敷かれているのです。
国際映画人として映画祭に参加し、未公開映画を観る人は全て、このレッドカーペットを歩くことが可能です。
TVで観るセレブが歩くレッドカーペットはThéâtre Lumiere(ルミエール)の方です。
以前は1日3回レッドカーペットを新しいものを敷き直していましたが、近年では1日1回、雨の日は3回敷き直しとなっているようです。
レッドカーペットを歩くブランディング価値は大きいです。
例えばハイブランドで有名なドルチェ&ガッバーナは、カンヌ国際映画祭に出演したマドンナのドレスを手がけ、彼女がレッドカーペットをそのドレスを着て歩いたことがきっかけとなり、世界的なハイブランドの地位を確立しました。
会場近くのGUCCIの大看板
1968年の映画「別離」で撮られた海を背景に微笑むカトリーヌ・ドヌーヴ が今回のモチーフ
世界が注目する日本
カンヌに行き、改めて世界の日本のコンテンツに対する期待値の高さを実感できましたが日本側がスルーしている感がありました。
また、世界が求めている日本の良さを世界に伝えることが求められているのに、それができていません。
日本の良い文化を世界に発信しようと思っている人も、何が日本の良さなのかが分かっていないことから世界的損失になっている状態です。
第三のメディア「リアルインテリジェンス」では、日本の大切な文化の根底にある使命の本質などを書いてきましたが、今後、さらに詳細に言及していきます。
関連記事
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カンヌ国際映画祭
https://www.festival-cannes.com/