効率的市場仮説と為替相場(2)
前回の記事はこちら
https://real-int.jp/articles/2102/
ファイナンス理論では「効率的市場で決定される相場はその時点で利用可能なすべての与件(情報)を反映しているため、過去の相場の推移か将来の相場を予想することはできない」と考えます。
とすると、「テクニカル分析」で将来の相場を予測するのは無意味ということになる。その結果ファイナンス理論では予測できない「ランダムウォーク」理論などが登場し、オプションの元となるブラック・ショールズ式へと発展していく。これについては話が複雑なので、機会があれば、項を分けて述べることとします。
極論との非難を受けることを承知の上で図1を利用し、効率的市場仮説への理解を深めてみます。
図1(ケース1、ケース2)は今日までの過去の相場(実践矢印)と明日の相場(点線矢印)です。いずれのケースもテクニカル分析をT、ファイナンス理論をFで示しました。
テクニカル分析に従えば、過去の値動きのパターンからケースAでは明日のドル円は160円、ケースBは140円と予測すると考えられます。
他方、ファイナンス理論(効率的市場仮説)では、過去の相場変動パターンからは将来の相場は予測できないと考えるため(今日の時点では明日の与件は予想できないという理屈から)、明日の相場はケース1では今日と同じ150円、ケース2では120円と考えることになります。
もっとも、実際の投資ではテクニカル分析を応用しないと超過収益を得ることはできないのが現実です。本稿ではテクニカル分析を絶対的なものとし、この考え方にファンダメンタルズの日米金利格差(含む日米金融政策)を加えてみました。
後者については、日米中銀の金融政策の方向性は市場がほぼ知り得ている与件(情報)ですが、物価関連のハードデータや雇用状況など不透明な要素もあるため、将来に変動する可能性のある与件(情報)なので、情報の範囲を広げた「セミストロング型」の効率性になります。
この解説は図2をご覧ください。
①上昇幅
125.86ー75.55=50.31
2020年最安値
101.18
上昇期待値
101.18+50.31=151.49≒151.94(昨年最高値)
仮説(予測)
セミストロング・フォーム
A:グリーンドット線がPL1まで下落した後に上昇し、将来PL2の延長線まで上昇
B:151.94からの下落はPL1-PL2のセンターラインCLで終了した後、
ブルーのドット線の様に上昇しPL2の延長線までの上昇を目指す。
(イーグルフライの筆者投稿のテクニカル分析記事5月7日・14日分と合わせてお読みください)
期待値(推計値)
Aでは、この先のPL1の延長線上の到達点+50.31
Bでは、127.23+50.31=177.62