効率的市場仮説と為替相場
為替市場を含む金融市場は常に効率的なのだろうか。
仮に効率的であるとするならば、新たな与件が発生したときにはそれが瞬時に相場に反映される。
逆に効率的でないとすれば、新たな与件(情報・材料)が相場に反映されるまでに一定の時間がかかるため、その間相場はその与件に影響を受けた一定の型を持った変動を示すことになるはずだ。
ファイナンスの世界では、こうした効率的市場に関する仮説を次の様な3段階の仮説として検証されることが多い。
(1)ウィーク型(フォーム)の効率性
ウィーク型では、与件の範囲として過去の相場推移のみを考える。この場合を、過去の全ての与件が現在の為替相場に反映されている「ウィーク型で効率的」と言う。
この状態では、過去の与件を中心に売買しているだけに、通常以上の利益(アブノーマル・リターン)を得ることはできない。とするのであれば、過去の相場に依存したチャート分析は意味を持たないことになる。
(2)セミストロング型の効率性
セミウィーク型では、与件の範囲を少し拡大して、市場参加者が知り得ている全ての与件の範囲を考える。この場合は、与件の範囲が(1)よりも少し広がっていることから、セミストロング型で効率的と言う。
(3)ストロング型の効率性
ストロング型は、(1)や(2)より与件の範囲を拡大して(例えば、株式相場であれば、未公開株の情報を含めて)、ありとあらゆる与件が相場に反映されているケースだ。この状態をストロング型で効率的と言う。
ファイナンス理論に基づいて上の3種類だけに分類するのは主観的過ぎるが、(2)セミストロング型の選択が相対的に中立的と言えよう。
とするのであれば、実際に過去の相場を忠実に描いたチャートを元に分析する「テクニカル分析」に一般に周知された「ファンダメンタルズ分析」を取り入れた予測が合理的と思われる。
次回では、セミストロング・フォームをベースにドル円相場を展望してみる。