AIは金融危機を予測できるのか?AIを投資で活用
この記事で投資パフォーマンスが上がる
「金融危機をプロが予測できない理由」の続きです。
https://real-int.jp/articles/2064/
本記事をAIやAI開発者が読むとAIの投資パフォーマンスが上がると思います。
もちろん、人が読んでも、その人の投資パフォーマンスは上がるでしょう。
投資や相場の世界は、チェスや将棋より遥かに複雑系なので、人もAIも投資・トレードの本質の一部だけを使っていることが多いです。
なかにはAIによる運用に見せてAIを使っていないことも多いです。
AIではないもの
①システム売買
単なるシステムトレードが多いです。
コンピューターソフトによる取引です。
②ロボットアドバイザー
マーケティング等にAIを使っているだけで運用にAIを使ってないものがあります。
また、AIの運用といっても
アドバイス型(アドバイスだけ)と
運用型 (実際に運用)に大きく分かれます。
相場の基本は3つ
投資・トレードでは方向性とタイミングを判断することが大事です。
人の場合、次の3つを統合して方向性とタイミングの判断が基本だと思っています。
① テクニカル(チャート)
② ファンダメンタル(指標)
③ センチメント(相場心理)
AIの場合、これ以外の方向性とタイミングの把握方法があります。
投資に使うAIの種類
投資にAIを活用する方法は大きく次のように分かれます。
① 早押し(超短期)
② SNS分析(短期)
③ センチメント分析(短期)
④ テクニカル分析(短期・中期)
⑤ ファンダメンタル分析(長期)
⑥ 総合分析(長期)
⑦ AIに聞く(長期)
① 早押し(超短期)
人間より早く注文ボタンを押せるという機械のメリット使った取引です。
例えば、北朝鮮から日本海に向けてミサイル発射というニュースが流れると日経225が急落していたことがあります。
その時、AIはニュースから「北朝鮮」「ミサイル」「発射」などのキーワードを探し出し、人より早く日経225に売りポジションを持つことで稼いでいたのです。
AIが頭を使って相場の本質を理解したわけではありません。
AIが頭を使ったのは言語解析の部分です。
超短期売買の早押しゲームは機械の得意な分野です。
市場の微妙な変動を捉えて短時間で大量の売買を行うことで利益を得ることもできます。
これらは高頻度取引といわれています。
超短期なので、金融危機には強いですが、金融危機を利益にできるとは限りません。
AIの高頻度取引は市場を荒らすので、市場関係者には不評です。
現在、金融機関内の資金運用は人間からAIに置き換わっていますが、このタイプの早押しAIの運用が知られています。
金融機関内の運用部ではAIによるシステム売買が主体で人がほとんどいないところが多いです。
② SNS分析(短期)
一般ニュースだけではなく、SNS(ソーシャルメディア)情報やウェブ関連情報などのデータを収集・分析して取引する方法で、センチメント分析の一つです。
早押しの要素もあります。
何がバズっているかという視点です。
短期なので金融危機には強いですが、金融危機を利益にできるとは限りません。
過熱感を知るためにヒートマップを作って判断することが多いです。
ヒートマップとはデータを可視化するために次のような画像にすることです。
③ センチメント分析(短期)
一般的にはセンチメント分析だけで投資判断はできません。
市場の雰囲気、方向性、過熱感を知るために必要です。
恐怖指数というものがあり、ボラティリティ(変動の大きさ)から市場参加者の恐れ具合を判断するように、変動幅や売買高などから過熱度を判断します。
短期なので金融危機には強いですが、金融危機を利益にできるとは限りません。
④ テクニカル分析(短期・中期)
様々なチャートの形を検証して、パターン認識して方向性とタイミングを知る方法です。
パターン認識のためにディ-プ・ラーニングさせることが多いです。
基本は短期取引です。
ディープ・ラーニングは何を学んだか不明なので、AIの一台一台が異なる運用をします。
売買判断の根拠が不明のため、人間には理解できませんし、AIがその具体的ロジックを人に教えることができません。
金融危機の時はパターンから大きく外れて機能しない可能性もあります。
開発者がAI に投資の本質を理解させることも多いと思います。
⑤ ファンダメンタル分析(長期)
次のようなものを分析して予測する古典的な手法です。
経済指標(景気などの方向)
企業業績(どの株を買うか)
市場動向(どの業界が良いか)
投資戦略やポートフォリオを決定することも可能です。
これは人間がやっていたことをAIに代替させることで、一般の投資ファンドと同じです。
金融危機を無視するので、金融危機にはとても弱いです。
⑥ 総合分析
全てを総合して判断することになります。
金融危機には強いですが、プロでも出来ている人は少ないです。
⑦ AIに聞く
AIに聞いてみるシンプルな方法がありますが現時点では期待できません。
大衆心理になりやすいので、確信を持って間違えやすいです。
金融危機にも弱いです。
金(ゴールド)の相場予測をChatGPTに聞いてみました。
Q.2023年のゴールド価格はどのような方向性でしょうか?
A.2023年のゴールド価格の方向性については、私には予測することができません。
ゴールド価格は、経済情勢や政治情勢、地政学的要因、貿易、投資家の信念など様々な要因に影響を受けます。
そのため、将来のゴールド価格の方向性は予測することが困難です。
https://real-int.jp/articles/1962/
AIに本質的な教育をすることが大事
一般的には感情に左右されないことがメリットといわれていますが、
「運用成績が良いと褒め、悪いと叱る」という教育をしたことで
叱られることが嫌で破綻したAIのケースがあります。
https://real-int.jp/articles/489/
AIに正しい教育をすることが大事だと同時に
相場の本質も教えることが大事だと思っています。
多くのプロが間違えることをAIに教える
投資で一番大事なことは金融危機に対処することですが、AIが金融危機を想定していないことが多いです。
AIは平時は問題なくても金融危機や、過去のパターンから外れた時に大きな損失を出すという人間と同じ間違いをしがちです。
人間が相場の本質を理解していないので、AI に教えることができないからです。
多くのプロが間違えることをきちんとAIに教えることが金融危機対策となります。
具体的には次のことをAIに教えることになります。
勿論、これはAI だけではなく人もしっかり理解しておくことが大事です。
・9割の人が上昇すると思うと天井となり急落
・相場は9割の期間はタンタンと上昇し最後の1割の期間は急落
・相場はファンダメンタルと反対に動く
・激動の時代は過去の延長線上に未来はない
・無意識の前提を設定しない
(米国株は長期上昇するなどの前提は危険)
・全ての相場が連動するので全ての相場を見る必要がある
(グローバルマクロが大事)
・時間分析
AI開発者が優秀なプロの運用者であれば、パフォーマンスの良いAIを開発できるかもしれません。
ミクロを見るAIは作りやすいですが、グローバルマクロを見るAIを作るのは大変です。
こちらを参考にしてください。
https://real-int.jp/articles/2064/
タイミングを教える
投資の本質は「方向」と「タイミング」です。
AIも人も方向性を見極めることが実現できてもタイミングを掴むことが難しいです。
タイミングを教えるには、時間分析が有効です。
https://real-int.jp/articles/951/
大暴落のタイミングを予測する
タイミングで一番大事なことは、大暴落となる点を予測できることです。
金融危機のタイミングを予測するには、まず次のようなことを教える必要があります。
https://real-int.jp/articles/1970/
さらに、もっと大きな視点としてユダヤ暦を教えることも大事だと思っています。
次の記事を読んでいただくと分かるように大暴落を予測するには、ユダヤ暦など、かなり高い視点が必要だからです。
https://real-int.jp/articles/2043/
イーグルの視点が必要です。
日経225週足 Tradingview
リーマンショック前、2007年6月8日に激動開始するので全ての投資を止める時と警告した時が日経225の大天井のタイミングでした。
ユダヤ暦から激動動開始日を予測したわけですが、予測できたのは世界でイーグルフライだけだと思います。
ユダヤ暦に興味がある方はこちらをお読みください。
https://real-int.jp/articles/1784/
この記事も合わせてお読みください。
https://real-int.jp/articles/2088/
関連記事
https://real-int.jp/articles/2064/
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注意点
AIによる運用の件では、次のような気になる点があります。
① ChatGPTは大衆心理になりやすい
ChatGPTは皆が何を考えているかを拾うので、大衆心理になりやすいと思います。
② 前提が間違っている
AI開発時に、株式相場は右肩上がりが前提で暴落を教えていない可能性があります。
日本では20年以上、下落トレンドが継続したことを無視しているということです。
激動の時代、グレートリセットの時代は、過去の延長線上に未来がないことを教える必要があります。
③ 時間分析を導入すると良い
AIに時間分析を組み込むとパフォーマンスが上昇します。
④ 判断材料にAIを使う
AIに運用させるのではなく自分の判断の材料としてAIを活用することは可能です。
たとえば株の銘柄を選択する時にChatGPTを活用することはできると思います。
但し、個人的には、株の銘柄を選ぶより、日経225などの指数を取引する方が良いと判断しています。
この記事を参考にしてください。
https://real-int.jp/articles/1010/
ロボアドバイザーは人間の代替
ロボアドバイザーは夢のAIツール的な見せ方をしていますが、古典的な運用方法で人間の代替です。
金融危機を無視しているため、金融危機やグレートリセットには弱いです。
株式相場は右肩上がりを前提に作られています。
ノーベル賞受賞した学者が作ったファンドLTCMが金融が安定している時は良かったですが不安定になったとたんに破綻しました。
右肩上がりの相場の時だけの運用成績を見せて運用パフォーマンスが良いと宣伝していることが多いので金融危機の時にどのようなパフォーマンスになるか興味深いところ。
「想定外」の金融危機によって「想定外」の損失という釈明となりそうです。
激動の時代に「想定外」はプロの言葉ではありません。
ロボアドバイザーには「ウェルスナビ」「THEO」「ラクスル」などがあります。