大衆心理と上昇相場 「9割がまだ上がる」と思ったら天井
異常といえば、米国株指数のS&P500が過去最高値を更新している中、米連邦公開市場委員会(FOMC)は10月30日に政策金利を1・75%に利下げしました。株価が最高値更新時、利下げというのは、過去にないことだと思います
通常、株価が最高値を更新するのは、景気に過熱感がある時で、そのような状況ではインフレにならないように利上げします。今回、景気悪化が進まないための「予防的利下げ」という表現を使っていますが、この表現も過去にないことだと思います。
株価は利下げを見込んで、上昇してきた要素も強いです。景気が良いから株価が上昇しているのではなく、株価を上昇させて景気を良くしてきた今のような株高は、「不景気の株高」といいます。
このように市場はファンダメンタルと逆の動きをすることが多いので、教科書的な知識と一般のニュースを基に投資をすると、高値で買って安値で売ったり、天井で買って大底で売るような取引をすることになりがちです。
大衆心理に陥らない
先日、知人が、生まれて初めて米国株のネットフリックスやアップルを買い、買った途端に急落したという話を聞きました。大衆心理とはそういうもので、過熱感がある天井圏では置いていかれたくないという気持ちから一番投資したくなるものです。
相場は9割の人がまだ上昇すると思ったところが天井になって、9割の人がまだ下がるというところが大底になるといわれます。つまり、新聞のトップに大きな文字で「○○社の決算が最高利益」と報道されると天井、「株価下落止まらず」と報道されると大底になるということです。
記憶に新しいところでは2017年12月にビットコインが暴騰して、「ビットコイン200万円超え」と大きく報道された時です。この天井で買った人が多かったのです。その後、大暴落したわけですが、200万円超えで買った人の中には何と金融アナリストたちもいました。それほど人は大衆心理に陥りやすいということです。
ちなみに、大衆心理に陥った大勢の人が争って買う時には、反対側に同じだけの量を売る側がいます。みんなが熱狂の中で買っている時に「売ること」が大切なのですが、これには、①正しいマインドセット、②相場の本質を知ること、③一般のニュースではなく適切な相場情報の3点が重要だということです。
現在、ストップロスを入れた短期の買いはあっても、長期の買いは危険です。