2023年はキウイ円に注目
来年のコモディティについて
2022年の主要国の連続利上げにより
グローバルに景気は悪化か?
今年は米国を筆頭に、主要国(日本は除く)の大規模金融緩和をきっかけとした急激なインフレに主要国は苦しみました。
そのインフレ抑制の為に上げてきた金利は、景気には悪影響を及ぼしていくことが予想されるため2023年は好景気は期待できそうもありません。
その一方、地政学的にも、中国対米国、ロシアのウクライナ進攻といったことから、今までのGlobalization(地球規模化)からRegionalization(地域化)への移行が見受けられます。
そうした環境下、各国が自国経済圏の優位性を保つために、資源、食料、飼料の確保が必須という面が予想されます。
そのため、ソフトコモディティー(食料、飼料)や、ハードコモディティー(原油、天然ガス、金、石炭)の備蓄競争などもあり、コモディティー価格の急騰が懸念されています。
そのため総じて、豪ドル、キウイ、カナダといった資源国通貨が底堅く推移すると想定しています。その中で個人的に注目しているのがキウイ。
RBNZのターミナルレートは5.75%へ?
キウイ円は95円を目指す
資源国通貨の中でも、ターミナルレートがもっとも高くなると想定されているのがキウイ。本稿執筆時点でのOCR(=政策金利)は9会合連続利上げにより4.25%まで引き上げられています。
そして来年の夏ごろには、ターミナルレートが5.50%程度まで引き上げられる事が織り込まれ始めています。
ANZ銀行(オーストラリア・ニュージーランド銀行)のチーフエコノミストによれば、来年ターミナルレートが5.75%まで引き上げられるとの予測もあり、これは主要国の中でも最も高いターミナルレートとなります。
こうしたターミナルレートの引き上げの背景にはインフレの高騰が上げられます。先月のRBNZの声明をチェックするとニュージーランド経済は急激に回復しているようです。
特に観光業。RBNZのエコノミストは下記のようにコメントしています。
ニュージーランドの国境が再開されて以来、外国人観光客の回復は予想以上に速かった。
特にオーストラリアからの訪問者の増加幅が大きい。
過去6週間にRBNZのスタッフが話をした企業では、フォワードブッキングも好調で、伝統的に消費額の高い米国、カナダ、英国からの旅行者の予約が増加しているとのことです。
観光部門の回復は、これから夏にかけてのニュージーランドの経済成長に大きく貢献すると期待されています。
出所 RBNZ
急激な景気回復はインフレの高騰も伴います。
2022年9月期の年間CPIインフレ率は7.2%と高水準。
RBNZのインフレターゲットは1%から3%の間に維持し、2%の中点付近に維持することに重点を置くことですので、かなり乖離しています。
よって、金利先物市場が織り込み始めているように、OCRが5.50%〜5.75%へと引き上げられるという予測も納得できます。
金利の上昇を横目に通貨kiwiも底堅く推移。
シンプルトレード掲示板に添付したのが、キウイ円の週足チャート。
キウイ円 週足チャート
長期に渡って、88.00円が強烈なレジスタンスになっていますが、RBNZの連続利上げもあり、下値が徐々に切り上がってきています。
仮にレジスタンスである88.00円をブレイクすれば、キウイ円は95円レベルまで急騰するのではないかと想定しています。
中央銀行の多くが政策金利の利上げ停止が話題になっている中で、RBNZはターミナルレートが5.50〜5.75%まで引き上げられることが予測されています。
2023年はコモディティの上昇も予測される中、95円に向けて上昇するキウイ円に注目です。
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