倫理観と金融リテラシー
性格の悪い人と頭の悪い人に近づくな
今、ジュビリーエースという暗号資産とマルチまがい商法(ねずみ講)を組み合わせた投資詐欺を沖縄県宜野湾市議の「プリティ宮城ちえ」氏(本名・宮城千恵氏、元教員、れいわ新選組公認)が元教え子に勧めていたことで話題になっています。
「投資が違法だと知らなかった」と違法の認識がなかったそうです。
投資の世界では「性格の悪い人と、頭の悪い人には近づかない」という基本ルールがあると思っています。
性格が悪い人とは、顧客の利益を優先しない人、
頭の悪い人とは、リテラシーが低い人です。
倫理観が求められている
金融の世界では高い倫理観が求められています。
金融業界が怪しいと思われている原因を2つだけ紹介します。
・金融商品を売ることが目的になっている
・利益相反(自分たちの利益を優先)が他業種と比べて明白
服を買いに来た客に、全然似合わなくても「お似合いです」と言って売って自分たちの利益を優先しても(利益相反しても)周りからは分かりにくいです。
しかし、金融の世界では後からでも利益相反が明確なことが多いです。
たとえば、日本株指数の日経225のインデックスを勧める時に
手数料の安いインデックスETF(上場投信)のことを説明もせず
会社に利益が大きいインデックス投信を勧めるケースです。
顧客の利益に反していることが第三者の目で明白です。
投資商品を売るための教育
日本では長年、金融機関が投資商品を売るための教育のことを投資教育といっていました。
不都合な真実といっても良いかもしれません。
したがって、ETF(上場投信)の方が良いと教えることはありません。
このような実践的ではない知識を教科書的知識といいます。
インデックス投信を勧めるケースは、まだ良い方で、インデックスより悪いパフォーマンスのアクティブファンドを勧めることが多いです。
https://real-int.jp/articles/1010/
証券会社のアナリストは常に買い
TVに出演するコメンテーターの中で証券会社所属のアナリストは
株価が急騰したら「置いていかれないように買いましょう」
株価が急落したら「安く買えるチャンスなので買いましょう」
と、どんな時でも買い推奨します。
いつでも「今が買い場」「毎月買いましょう」と言わないと会社の売上に反することになり、叱られるからです。
長期に下落するとは口が裂けてもいえません。
したがって「株屋と不動産屋は、いつでも買いしか言わない」などと言われることになります。
これをポジショントークといいます。
ポジショントークは利益相反
有名な投資家ジョージソロスが、自分が金(ゴールド)を買いたい時に、ポジショントークを使うことは有名です。
- 金(ゴールド)はこれから下げると報道
- 彼が言うのならと多くの人が売り、価格下落します
- 価格下落したところをソロスが買います
- その後、価格上昇するので売った人は損をしたことになります
このような自分の都合が良い発言をポジショントークといい、報道やSNS等ではポジショントークが多く、これも利益相反です。
ドルコスト平均法は積み立てを勧めるセールストーク
毎月同じ金額を購入すると「安い時は多く買い、高い時には少し買う」ことになり平均取得価格が下落する「ドルコスト平均法」という手法があります。
投資の教科書には、ドルコスト平均法が良いと勧めたり、中には最強の手法だと書いてあることがありますが、これは、積み立てファンドを売るためのセールストークともいえます。
20年間以上の長期下落の時でさえ、ドルコスト平均法が、ずっと推奨され続け損失を拡大しました。
長期下落相場では全く役立たない手法であることは書いてありません。
前提が右肩上がりしか想定していないのです。
https://real-int.jp/articles/578/
何も考えず株購入がリテラシー?
米国人は日本人と比べて投資リテラシーが高いと言われていますが、そうとも限りません。
過去のデータを見て「米国株は20年間という期間を取れば下げ続けた時期はない」から、何も考えずに米国株の指数(S&P500)を買っておけばよいを鵜呑みにしているだけの人も多いです。
何も考えずに米国株を買っておけと推奨する人も多く、そのように書いている投資本もあります。
前提が右肩上がりしか想定していないのです。
「何も考えないで買うことがリテラシー」は明らかに間違いです。
今後、グレートリセットが来るとも言われており、長期に米国株が低迷する可能性もあることを認識しておくことが大切です。
https://real-int.jp/articles/14/
激動の時代は、過去の延長線上に未来はない、プロが確信を持って間違える時代だからです。
https://real-int.jp/articles/1532/
「FPは中立」はおかしい
「FP(ファイナンシャルプランナー)は中立」とも言われます。
記事などを書く時には中立でも良いと思いますが、もし一般顧客からアドバイスの報酬を得ていたとしたら、中立のアドバイスではなく顧客の利益を優先にしないと利益相反になりやすいです。
日本では顧客が無料アドバイスを好むことが多いことから、顧客の利益を優先する概念が希薄であるともいえます。
無料投資セミナー参加者はリテラシーが低い
無料投資セミナーは、リテラシーが低い人に、売り手が有利な投資商品を売るためのセミナーであることを受講者が認識していません。
リテラシーが低い人、思考停止の人を集客し、売り手が有利な投資商品を売るにはピッタリです。
投資商品を電話営業で買ってしまうのも投資リテラシーが低いといえます。
投資アドバイスには助言業が必要
有料セミナーで「これから日経225は上がる」という発言も違法性が高いです。
この場合、セミナー講師が投資助言業に登録された助言者であり、参加者と投資顧問契約を締結している必要があるからです。
個別株でなくても、株インデックスの方向性を示すことも助言行為だからです。
投資助言の登録がないと有料の投資アドバイスは実質的にできません。
書店に並ばない投資レポート販売も投資助言業の登録が必要です。
日本での登録がないFX会社が日本居住の日本人に営業することも違法です。
預けた資金が奪われてしまうことも多々あります。
違法行為の利益相反
財務局が一番嫌う違法行為の典型は次のような利益相反の手口です。
- 最初に、自分が出来高の小さい銘柄を買います。
- 皆に、その銘柄を本日急騰する銘柄として通知します。
- 出来高の小さい銘柄を皆が購入すると価格は急騰します。
- 急騰したら推奨した本人はすぐに売却して利益確定です。
その後、下げることが多いので多くの人が損をします。
この利益相反は完全に違法行為なので財務局も、このような行為を発見したら、すぐに知らせて欲しいと告知しています。
これは株だけではなく暗号資産(仮想通貨)でも違法です。
このような違法行為は投資助言業の登録もないことが多いので2重に違法行為です。
倫理観高くてもリテラシーが低いとダメ
相場の世界では、いくら倫理観高く順法精神でアドバイスしても結果的に、反対のアドバイスをしているケースも多いです。
「天井で買い推奨、大底で売り推奨」をすることが多いのです。
相場には
9割の人が上昇すると判断する時が天井になり、
9割の人が下げると判断する時が底になる
という特徴があるからです。
倫理観と、実践的で本質的な高いリテラシーが大切だということになります。
正しい情報を得て
正しいリテラシーを身に付け
準備した人に
富が移動する激動の時代です。
まず正しい情報を見極めることが大事です。
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