市場介入と相場
初回の今回は「口先介入・レートの効果」、次回では「実際の為替介入(実弾の為替介入)と効果」について述べてみる。
為替介入
正式に為替平衡操作という。つまり、相場を安定させることを意図した政策である。
為替政策の所管
勘違いされやすいのが為替政策の所管。わが国の為替政策は日銀の所管ではなく、財務省の所管である。介入の実務は日銀によって行われるが、これは財務省の指示によるものである。最近のレートチェックが「政府・日銀により」と報道されているのもこのためだ。
従って、黒田総裁をはじめとする日銀関係者は為替相場、ましてや介入に関連しては一切言及してはならないということだ。
この点、黒田総裁は財務省出身者のためか、立場を理解していない様だ。
(法律で日銀は政府からの独立性を認められているのだから、本来、財務省出身者が日銀総裁に選出されるべきではない。)
口先介入・レートチェックの限界
1.介入の目的が冒頭で述べた様に相場を安定させようとするためのものであるため、相場がスムーズに動けば(安定して推移していれば)、当局は市場介入を行う必要はない。
2.従って、相場が一方的に動き出した初期段階においては当局の存在を改めて認識させるための牽制発言程度の発信をする程度だ。これが「口先介入」である。
3.相場の均衡を乱す根本的要因(例えば、日米金融政策の逆行性)がもたらす様な一方向の相場の動きやドラスティックな相場の流れでは、経験則から「口先介入」の効果はあまりない。
そうした場合には当局の姿勢を強く市場に意識させるため(直ぐにでも介入準備があると市場に知らしめるため)、口先介入より一歩進んだレートチェックを実施する。
足下の(ドル高・円安相場では)ドルロング円ショート・ポジションが偏っているため、レートチェックだけでも一時的に相場の流れを変えられる。
ただ、ポジションの偏りがこなれる(減少する)とその効果も薄れてしまう。
4.逆に市場口先介入やレートチェックに慣れてしまうと、(ドル高円安のケースでは)それらが市場にドルの買い場を提供してしまうことになる。そしていよいよ実弾の介入の出番となる。
次回「実際の為替介入(実弾の為替介入)と効果」に続く・・・
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