日本の貿易赤字定着 円売り要因
資源価格の高騰から
日本の貿易赤字構造が完全に定着
昨日の東京時間の朝に発表された日本の8月の貿易収支は、赤字幅が過去最大の2.8兆円まで拡大。13か月連続の赤字となり2022年だけで15兆円をゆうに超えるとみられます。
東日本大震災から原発の稼働が停止、火力発電への回帰からLNG(液化天然ガス)の輸入が急増した2014年の貿易赤字を軽く上回りそうな勢いになってきました。
背景は資源価格の高騰からですが、こうした貿易赤字の決済にはすべて実弾の円売りを伴い、USDJPYでは揺るぎない押し上げ要因となります。
2011年8月4日、日銀が約4.5兆円の円売りドル買いの市場介入を実施。介入開始の水準が77円台半ば、当日の高値が80.25でしたので、押し上げ効果は3円弱です。
時代背景、現在の市場流動性、為替市場の構造等、一概に比較はできませんが、日本の貿易赤字構造の定着や赤字額の増大は、USDJPYでいえば、相当の押し上げ効果があった(このままだとこの先もある)ことになります。
これは実需の決済ですから、為替市場の95%を占める投機と異なり100%反対売買が持ち込まれませんから、国富の流失を伴い、円安構造に当面変化はないのだと思います。
米国時間に入り発表された先週1週間の新規失業保険申請件数は5週連続の低下、8月の小売売上高は市場予想を上回ったものの材料視されませんでした。
一日を通じてみると、来週に控える多くの中銀の金融政策の発表を前に材料難、目立った動きにはならず、引けています。
トレードポイント
来週は東京市場が開くのはわずかに3日、多くの中銀の金融政策の発表を控え、為替介入のカードを切るとは考えにくく、やるなら今日でしょうが、可能性は一段と低下しています。
上述のような揺るぎない需給構造の変化、さらに金融政策の行方の違いもあり、USDJPYを取り巻く環境は何も変わらず、大きな押し目ではすぐ買いが並んでしまいます。
仮に、為替介入で10円押し下げても、安くなったドルに多くの投資家や投機家が群がってくるのでしょう。
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