介護保険を申請しない方が良い場合もある!?
こういう話がありました。
日常生活自立、活動的で外出も公共交通機関を使いどこへでも行ける75歳の女性。
長年腎臓を患い、とうとう透析となりました。
先生から勧められたのは腹膜透析。手術は大学病院で行われました。
腹膜透析は自宅で自ら透析液を入れ替えるため、一日置きに病院へ出向く必要はなく、
生活も今までのように出来ます。
ただ、透析液を入れ替えるための管がお腹から出ているため、彼女は入浴中に感染するのではないかと怖がっていました。
そこで娘さんが知人のケアマネージャへ相談し、介護保険を申請して訪問看護や訪問介護を導入してはどうかとアドバイスを貰いました。
知人のケアマネージャが、女性の入院期間中に病院へ聞き取りに行きたいと病院の連携室へ連絡し、女性の担当相談員(メディカルソーシャルワーカー)と話したところ、女性の場合は「介護保険ではなく障がい者の医療保険を使ったほうが良い」と説明をうけたとのこと。
説明では、「自分で透析ができて何のトラブルもなければ良いけど、何かあって訪問看護の介入が必要となった時に、介護保険の認定を持っていれば介護保険優先なので、その時には恐らく自費が発生するであろう。」
「介護保険の認定を持っていなければ、障がい者の医療保険で介入ができて、負担金が違ってくる。」とのことでした。
他の患者さんで、介護保険の介護度を持っている方がいて、自分で腹膜透析できず、訪問看護を導入しているけれど、自費で月に約60万円かかっているケースがあると。
今回の場合は、障がい者の医療保険を使用し、本当に介護保険のサービスが必要となった時に認定申請をしたほうが良さそうだ、という結論に至りました。
障がい者の医療保険の申請は、自身が住んでいる地域の役所へ出向き、申請書類や障がい者手帳に添付する写真を提出します。
この女性の場合は、大学病院の担当相談員が該当の役所へ連絡し、書類一式と役所への郵送用封筒まで手配してくれ、本人は署名・捺印し投函するだけでした。
障がい者の医療保険を取得すると、病院受診や処方薬など医療費に対し、月々の自己負担限度額が定められます。医療費は、一箇所ではなく、ひと月にかかった医療機関に対してです。この自己負担上限額は、所得によって決まります。
仮に、この女性のように退院後の感染が心配だという場合は、相談員(メディカルソーシャルワーカー)から訪問看護ステーションへ、退院直後から一定期間 介入の依頼が入ることがあり、透析の手技取得や入浴の感染予防などのアドバイスを行うこともあります。
日本は、世界でも珍しい「国民皆保険」であり、様々な保険制度によって命が守られます。
保険の種類が多く、どの保険を使えば良いか迷うときは、役所や相談員などの専門家に委ねるとして、是非有効活用したいものです。
そして、保険制度を使うためにも、働いた報酬から国に収めるべきものを、きちんと収めたいものです。
【 関連記事 】
https://real-int.jp/articles/1733/
https://real-int.jp/articles/1235/