2022年の上半期は大荒れ
スイスフラン円はレジームチェンジで150円へ
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スイスフランが最強通貨になったのは、6月16日、SNB(スイス中銀)が逆通貨戦争に突入したため。
ヨルダン総裁のコメントで注目されたのが、スイスフラン買い(=外貨売り)する可能性を示唆したこと。これまで主要国の「通貨戦争」というのは、自国通貨安に誘導する介入を意味していました。
特に、スイスフランと日本円というのは避難通貨として、常時通貨高に悩まされ、自国通貨安に誘導する介入を繰り返していました。ところが今回のヨルダン総裁は他の主要国同様、利上げに踏み切り「逆通貨戦争」へ突入しました。
きっかけはインフレです。スイスは現在、SNBが輸入インフレから経済を守るスタンスを明確にしています。
そして、スイスフラン高がインフレ圧力抑制の鍵を握っていると考えており、SNBが利上げ、逆介入(スイスフラン買い)、バランスシートの縮小のいずれかを優先するかがフォーカスされています。
そして6月16日、まず0.50%の利上げを行ったわけです。
キーワードは、もちろん「インフレ」。
ヨルダン議長は記者会見の冒頭で、「スイスフランはもはや高く評価されていない」と、これまでの通貨に対するスタンスを覆すコメントもしています。
つまり、現時点から大きくスイスフラン安になることは許容できないということになります。
話題は為替から離れますが、SNBの発表は、米株関係者でも話題になっています。
SNBの最新の13F filing (SNBは他のヘッジファンドと同様に株式保有を報告している)では、SNBは1770億ドルの米国株(および数千億ドルのその他の証券)を保有しているとされており、今後スイスフラン高を維持するためにこれらの売却を進める可能性があり、 apple株などの下落を誘引するのではないかと憶測されたわけです。
一方、スイスといえば、近年クリプトバレーという言葉も連想されます。スイスには人口3万人に満たないツークという小さな小さな村があります。しかし、近年、次々とクリプト・スタートアップが集結。
結果、ツークは世界に流通するブロックチェーンや暗号技術の大半のコードが書かれている小さなエリアとして一躍有名になっています。
クリプトバレーといえば、僕は、Singaporeが浮かびますが、グローバルには「シリコンバレーの次のバレー」を狙っているのが、ツークということで有名になっているようです。
いきなりスイス・フランといってもなかなか、馴染みがないため、SNBの発表が米株関係者にも話題になったことと、スイスにはツークというクリプトバレーで有名な村があることをご紹介しました。
通貨を売買するには、シンプルにチャートだけ見ながらでもできるのですが、少しでも馴染みがあって興味があるほうがトレードしやすいと思います。
上半期 一連の動きは「インフレ」
昨日で上半期は終了。今年の上半期は、FXにボラティリティが戻り、ドル円、豪ドル円、ユーロ円、スイス円などが大きく変動しました。
ただ大きく動いたのは、為替だけではなく他のプロダクトも凄まじく変動しています。
日経新聞によれば、商品指数は29%上昇。
欧州ガスは98%上昇!!98%ですか。。。
米ガソリンも強烈で72%急騰!!
あらためてインフレの凄まじさを感じます。インフレを封じ込めるためにFRBが利上げに向かうのに呼応して米10年債利回りは1.6%上昇(38年ぶり)。
呼応してドル円は22円高。これは40年ぶり。
日経平均は23%急落しており、これは30年ぶり。
このインフレは今のところ沈静化のきざしもなく、米10年債利回りの上昇も変わらず、株安は継続。中期では、ドル円やスイスフラン円の上昇トレンドも同じ。
視点を短期に戻すと30日の米株は下落。
低調な個人消費の統計を受けてリセッションを巡る懸念が強まったことが要因。
S&Pは前日比0.9%安。米10年債利回りが一時3.00%を割り込んだこともあり、ドル円が135円台後半に反落しています。
本日から下半期が始まります。リバランスが終了すると、相場がころっと変わることもあるため、本日は基本様子見。では、今月もよろしくお願いします。
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