承認欲求と同調圧力が多くの問題の原因
日本人の承認欲求
日本人と日本の教育の大きな課題の一つが、日本人の承認欲求にあります。
日本人は承認欲求が強いといわれています。
自己肯定感が低いからです。
それゆえに日本人は幸福度も低いです。
2021年の日本人の幸福度は世界で 56位です。
日本の経済的な豊かさと比べると、この低さは精神的なものだといえます。
同時に日本は自殺率が高い国です。
世界第10位、主要国首脳会議 (G8) の加盟国中ではロシアに次いで第2位の自殺率です。
日本の場合、自殺の一番の原因はお金ではなく人間関係であることも承認欲求が強いことが原因だと思います。
なぜならば承認欲求が強い(自己肯定感が低い)と次のような状態に陥るからです。
・愛されている感がない
・いつも満たされない・不安を抱える
・他人の目を気にする(他人に嫌われることを極端に恐れる)
・何かの基準に満たされようと必死になる(奴隷思考になる)
・自分を否定し、他人も否定する
・自分には存在価値がないと思い込む(無価値観)
・不幸
日本人特有の次のようなことも自己肯定感の低さが原因だといえます。
・横並び意識
・同調圧力が強い
・村社会(村八分)
・他人の足を引っ張る
・出る杭を打つ
自己肯定感の低さが横並び意識を作り出し、同調圧力を強くするために日本の発展の足かせになっているといえるでしょう。
そもそも「自己肯定感」という言葉が流行ってしまうほどなので異常ともいえます。
いつも満たされない
承認欲求が強いということは「何かができていないと自分を認められない」ということです。
次のようなものに対して目標達成する迄は肯定感がない状態が続くということです。
学歴
職歴
収入
スポーツの成績
音楽や芸術の評価
また仮に目標が達成できたとしても、その状態をいつもキープできるとは限りません。
怪我や病気をすることもあれば、もっと優秀な人に追い抜かれることもあるかもしれません。
そうすると、何かを失うたびに満たされない気持ちや不安になります。
奴隷思考に陥る
承認欲求が強い人は、認められるために何かの基準に満たされようと必死になります。
それがスポーツなのか、学問の成績なのか、仕事の成功なのかは人それぞれですが「何か基準を満たさないといけない」と考える点では同じです。
このような考え方は「奴隷思考」ともいえます。
スポーツにしろ、学問にしろ、目標を持つことは大事です。
それに向かって、努力や経験を積むことも、もちろん大事です。
しかし、それが達成されなかったとしても人の価値は変わりません。
何かを達成しないと価値がないという考え方は奴隷の考え方なのです。
成績が良くなければ価値がないという価値観を持つことによって、ごく一部の超優秀な人を除いて自己肯定感を下げることになります。
東京大学に入学すると、今まで高校で1番の成績だった人のほとんどが1番にはなれないので、東大生の多くが劣等感を持っているのと同じです。
何ができるか、何かの基準を満たしているかで、自分や他人の価値を決める必要はありませんし、その考え方は危険です。
しかし、多くの日本人が何かの基準を設定し「それができたら肯定」「できなかったら否定」という価値観で動いています。
それは、言い方を変えると何かの「基準の奴隷」ともいえます。
その基準がお金なのか、成績なのか、勲章なのかの違いはあるにせよ、その基準を満たすために必死で生き、それが満たされないと不安になるのは、その基準に依存しているとも言えます。
人は何かの基準を達成しないといけない生き物でもありませんし、自己肯定感とは、本来、そのような何かの基準とは無縁です。
何かの基準と結び付けようとすることで自己肯定感が崩壊していくのです。
何かの基準のために必死に生きるのは、その基準の奴隷となっています。
そうした思考で努力すれば努力するほど、ますます奴隷思考に陥っていきます。
承認欲求と拝金主義
特に承認欲求と拝金主義が結びついた状態が一番厄介です。
「お金を持ってないと自分を肯定できない」あるいは
「お金を持っていない他人を肯定できない」となるからです。
しかし、お金は稼ぐ才能がある人もいれば、そうでない人もいます。
また、お金の世界では、いくら稼いでも上には上がいます。
本来、仕事は人や社会のためになるからお金を得られるのであって、承認欲求で仕事をすると「稼げるものなら、どんな仕事でも良い」となります。
「自分にあった仕事」ではなく、「稼げる仕事」をすることでフラストレーションを生みます。
自己中心に生きることで社会に存在意義がなくなり自己肯定感も低下します。
社会の役に立たなくても、あるいは害であっても、お金持ちになれば自分自身にも社会にも肯定される世の中というのは、かなり危険な状態といえるでしょう。
社会的な地位と承認欲求の結びつきも問題です。
社会的な地位が高い、あるいは影響力があるのは、そもそもその人がそれをこなせるだけの器なり、才能があるから、その地位にあるのが本来の姿です。
そうではなく、自分が目立ちたい、認められたい、という承認欲求だけの人が政治家などの権力者になると、あまり社会に良い影響を与えないのは明らかです。
自分を否定し、他人も否定する
自己肯定感の低い人は、自分も否定しますが、他人も否定します。
なぜなら、自己肯定感の低い人は何かの基準を設定して「それができたら肯定」「できなければ否定」という考え方をするからです。
「東大に入れなければだめだ」と考える人は、同時に「東大よりも偏差値の低い人間を認めていない」とも言えます。
この自分を否定し、他人も否定する精神が、日本のお互いの足を引っ張りあって誰も得しない文化の源泉の一つです。
この文化を変えることが、日本人と日本の教育を飛躍的に改善する大きなポイントといえるでしょう。
正しい自己肯定感を身に付ける
日本人と日本の教育を飛躍的に改善するには、日本人の正しい自己肯定感を養う必要があります。
正しい自己肯定感とは、何かの基準を達成したから肯定する、という自己肯定感とは異なります。
明確に区別するために「正しい自己肯定感」とします。
そして正しい自己肯定感は、「正しいマインドセット」を身に付けることで、自然と獲得されます。
正しいマインドセットは、基本3原則からなります。
正しいマインドセットの基本3原則
① 愛されている存在 愛が動機 (最高の動機)
② 存在だけで価値がある (最高のセルフイメージ)
③ 人生には目的、使命がある(最高の目的)
つまり、今の日本人は次のような基本3原則の真反対に陥っているのです。
① 愛されている感がない
② 自分の存在に自信がない
③ 自己中心的に生きている
これは、現代の日本の教育の問題だと思います。
人としての存在価値を見失っている状態です。
日本の社会と教育は奴隷思考
日本の社会と教育は自己肯定感を育むのではなく、自己肯定感を下げる方向です。
・偏差値一辺倒の受験システム
・学歴一辺倒の企業の採用
・お金を持っていることが偉いと匂わせるようなマスコミの企画や報道
明確に表現されていなくても、なんとなく、良い大学を出て、良い企業に勤め、お金持ちになることが肯定される道だ、という空気感を社会全体で作り出しています。
言い換えれば、社会全体で自己肯定感を下げて、承認欲求に溢れた人を量産する仕組みになっているということです。
自己肯定感を下げる社会構造なので、日本人が正しい自己肯定感を持てないのはある意味当たり前といえるでしょう。
また、同調圧力が強い社会は奴隷社会の特徴で自己肯定感を下げるともいえます。
同調圧力も奴隷思考
同調圧力は奴隷思考そのものです。
横並び意識が同調圧力を生み出します。
間違ったマインドセットである奴隷教育の特徴は次のとおりです。
・個性を持たせない
・他人と違うことをしない(横並び)
・自分の頭で考えさせない
・言われたことに従う
・歯車となり、他人と代替できる
昔、奴隷には個性を殺すためにマスクをさえていました。
現在も、一人だけマスクをしないのは
自分たちと同じではない
一人だけしないのは迷惑
一人だけズルイ
などという感覚から同調圧力になります。
同調圧力が日本の発展を阻害します。
正しいマインドセットを教育に
日本人の自己肯定感を上げるには、正しいマインドセットを身に付けることが、大きな一つの解決策になると思っています。
いま教育が行なっている「自己肯定感を下げる教育」ではなく「自己肯定感を上げる教育」です。
そのためにはまず、社会の大人や教育者が、いまの社会や教育が自己肯定感を高める方向のものではないことを知る必要があります。
本来誰もが、自分も自分の子供にも自己肯定感が低くなって欲しいなどと思うはずがありません。
つまり、多くの社会人や教育者は無自覚な状態です。
今までやってきた教育や社会しか知らないため、それが間違っている、あるいは自己肯定感を下げるものとは気づかないのです。
成績が良いと褒め、成績が悪いと叱るという当たり前になっている教育が、自己肯定感を下げることさえ気づきません。
https://real-int.jp/articles/489/
次に必要なのが、どのように自己肯定感を上げるかですが、そのためにはまず正しいマインドセットがどのようなものか知ることが重要です。
また、教育と言っても
「正しいマインドセットが何かを子供に教える」ではなく
「教育者や親、大人が、正しいマインドセットを知り導く」ことです。
①愛されている存在である
一番大事なことは私たちは「愛されている存在」であることです。
愛されている、と思うことができれば、
✕愛されるために頑張る
✕何かができないと愛されない
このような不満や不安とは無縁になり、自己肯定感も高まります。
愛されていることで愛が動機になります。
②存在だけで価値がある
「存在だけで価値がある」これほど強いセルフイメージはないと言っても良いでしょう。
そのまま自己肯定感に繋がる原則です。
これが身につくことによって
「何かの基準を満たさないと肯定できない不安」
「自分も他人も否定する」
といったものから解放されていきます。
日本人の自己肯定感が大きく欠落している原因の一つは、自分の存在価値に対する無価値観です。
③人生には目的、使命がある
自分に存在価値はない、あるいは自分の代わりは誰でもできるという考え方は、日本の教育が奴隷的だからです。
奴隷は唯一無二ではなく、代わりが効くものでないと困るからです。
私たちは奴隷ではなく、社会を本質的に良い方向にする大事な役割があります。
人生には目的があり、世界で唯一自分にしかできないこと、すなわち、一人ひとりに使命があるということです。
これは、抜けやすい極めて大事な要素です。
基本3原則の3つが揃って本当の意味での自己肯定感「正しい自己肯定感」が生まれます。
基本3原則
① 愛されている存在 愛が動機 (最高の動機)
② 存在だけで価値がある (最高のセルフイメージ)
③ 人生には目的、使命がある(最高の目的)
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具体例が書いてあります。
https://real-int.jp/articles/1499/
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