実需のヘッジミスと相場変動
KOオプションと実需、大相場要因に
仮説:ある日本の大手輸出企業A社の為替エクスポージャーの処理ミスが招いた大相場
- A社が当該期で想定される全輸出為替エクスポージャーの80%を
ドル売りオーダーを①に置いた。 - ドルが強い上昇トレンドに乗っていたため、
ドル売りオーダーを②水準へと引き上げた。 - ドルの騰勢が①を抜いた後急速に衰え、②に到達する前に反落し始めた。
- A社は売り水準を②に引き上げたことを後悔しつつも、
①までの戻りはあると予測する一方で、最悪の事態も憂慮した。 - そこでA社は、ドルがSまで下落した時点で
当期輸出事業の収益ブレイクイーブン水準を行使価格(K)とする
ドルプット・オプションを購入しようと考えた。
しかしながら、実勢水準SがKに近かったため、オプション料が高かった。
オプション料を軽減するため、このオプションに消滅条件
(ノックアウト・トリガーXでオプションが消滅する)を付けた。 - 運の悪いときは思惑に反するもので、その後もドルは続落し、
「③=X」に到達し、A社の購入したプットオプションは消滅し、
ブレイクイーブンでドルを売る権利を失った。
慌てたA社は実勢レートで(③よりドル安水準で)売るべきドル総額を売却した。 - これが引鉄となり、売りが売りを呼ぶ形でドルは暴落した。
上の例は筆者の創作に過ぎませんが、こうした局面はbig figure(例えば、100円を割り込む様な局面で実際に生じています。例では大手輸出企業を挙げていますが、実際には生保などの機関投資家がノックアウト型プットオプションを使い、こうした事態が生じたケースが散見されています。
機関投資家がこぞってレパトリを始める様な局面では注意する必要があります。
参考資料:イーグルフライ、筆者執筆の「オプション講座14回」
【 関 連 記 事 】
https://real-int.jp/articles/1454/
https://real-int.jp/articles/1260/