ドル円上昇モメンタムは一旦失速
ドル円変動率は急低下
さて、USDJPYの上昇モメンタムは一旦失速、オプション市場が織り込むIV(インプライド・ボラティリティ)は急低下しています。
O/N(オーバーナイト)のIVでは先週月曜では20%近くに達していましたが、足元では昨日で10.00%、現在は9.24%まで低下、完全にレンジ相場入りを示しています。
このIVから1日に織り込んだ整合的な値幅を算出することが可能です(これは毎週日曜に1週間分出しているものと理論的に同じ)。
ざっとここから24時間で、
USDJPY、119pts
EURUSD、85pts
AUDUSD、92pts
程度の値動きを織り込んでいることになります。
調整局面入りを前提とすると、丁寧なオペレーションが必要かもしれません。
RBA声明文には注意
本日はRBA(豪州準備銀)が13:30に金融政策を発表予定。
豪州ではコロナ後の景気回復の足取りが鈍かったことから、隣国のNZに比べ金融正常化が遅れるとの見通しがこれまで支配的でしたが、実は景気の回復は順調です。
RBAは昨年10/29、3年までの国債金利を0.10%以下に抑制するYCC(イールドカーブコントロール)の政策を取らず、国債を買い入れる計画を見送りました。
RBAはこれまで2024年まで利上げはないと繰り返してきましたが、豪政府は失業率の低下から成長見通しを上方修正、RBAの利上げもすぐそこに迫ってきました。
今回は政策変更等は見込まれていませんが、同時に発表される声明文のなかで、「景気の見通しに対する上方修正や利上げへの新たな文言」があった場合はタカ派と受け止められます。
ちなみに米金融大手ゴールドマンサックスはRBAの年内8月と9月の利上げをハウスビュー(自社の公式見解)としています。
今週は以下のイベントにも注目
FOMC議事要旨の発表 4/6 27:00
過去の密室の議論であり、その後経済状況は変化していますので、「議事要旨は為替市場の方向性を占うという点で参考にならない」という意見もありますが、そんなことはありません。
今年1/5公開の12月開催分のFOMC議事要旨で(量的緩和で買い入れた国債の)「資産圧縮を以前より早いペースで進める」ことを議論していたことが判明、サプライズとなりました。
おそらく今回も、資産圧縮(=バランスシート縮小)に関し、実は踏み込んだ議論が展開されていた可能性もあり、仮にそうであれば、タカ派と受け止められます。
フランス大統領選 4/10
現職のマクロン大統領が優勢、1回目に過半数を獲得できないと、4/24に上位2名が決選投票にのぞみます。メインシナリオはマクロン氏勝利で、欧州統合へ結束が強まり通貨ユーロの支援材料でしょう。
前回2017年のように(当時の)国民戦線ルペン候補がフランスフランの復活をかかげ、事前にオプション市場ではリスクリバーサルが急拡大、こうしたヘッジは今回はほぼ皆無です。
前回はその反動から、ルペン候補敗北でユーロ、特にEURJPYはギャップを伴い爆騰となりましたが、今回はダウンサイドへのヘッジはほぼありませんので巻き戻しもないでしょう。あるとすれば、ユーロに見直し買い程度でしょう。
重要イベントが一巡して、新年度入りの落ち着きどころを探りにいく展開、グローバルで金融正常化が進むなか、日銀だけが金利の上昇を抑制する特異さは変わりません。
有料メルマガ「Smart LogicFX」の内容を一部抜粋してお届けしています。
詳しいポジションはSmart LogicFXにてリアルタイムで配信しています。
【関連記事】
https://real-int.jp/articles/898/