経常収支と為替相場
為替相場を予測するとき、為替需給が重要なのは言うまでもない。
中でも重要なのが基礎的為替需給(概ね経常収支+資本収支)である。
今回は今年のドル高円安トレンドにおいて重要な経常収支について述べてみた。
経常収支とは「貿易(財取引)・サービス収支」や「第一次所得収支(利子・配当金収支)」などから構成されている国際収支上の最重要項目であり、基礎的為替需給を見る上では欠かせない。ここでは、日本の経常収支と為替相場について考えてみた。
上記①は経常黒字だが、これは海外から日本の受け取り金額が支払い金額より大きいことを意味する。この黒字額の全額が円転(外貨売り・円買い)されるわけではないが、大半が円転されるわけだから、黒字額が大きければ大きいほど円高圧力が増す。
他方②は経常赤字だが、この逆となる。
我が国経常黒字は漸減から急減へ
日本の経常収支は2017年から漸減しているが直近の1年で激減している。
つまり、外貨売り・円買い圧力が急速に和らいでいるということである。中でも注目しておきたいのが、「貿易収支:棒グラフの黄色」が赤字に転じている点である。
貿易赤字は日本の輸入超なので、「外貨売り円買い<外貨買い円売り」となるため、円安外貨高圧力となる。
今年の一連の円安ドル高の要因は、日米金利差拡大が指摘されてきたが、根底には経常収支の赤字化がある。
近年ではあまり重要視されなくなった経常収支(大半は貿易収支)だが、為替需給を見る上では欠かせない統計である。依然として「日本の対米黒字」は中国に次いで第二位であり、注目しておきたい。
次回では、今回テーマと関係する企業の為替相場に対する思考法について述べる。
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