貿易収支がドル円相場に影響
スタグフレーションの可能性
強まるロシア制裁から原油、商品、エネルギー価格の高騰が止まらず、景気後退とインフレの加速が同時に発生する「スタグフレーション」の可能性が特に欧州で一段と高まっています。
こうしたリスクセンチメントが悪化して株などのリスク資産が処分される局面では、USDJPYが売られて当然と思いますが、昨日はむしろ上昇して終えています。
スタグフレーションとは?
・景気が後退するなかで、物価が上昇する現象
・景気後退(Stagnation)+物価上昇(Inflation)の造語
貿易収支の構造転換が1つの理由?
ウクライナ情勢の悪化でも最大2/24の安値114.41までしか下げていませんが、貿易収支の構造転換が1つの理由となっている可能性があります。
すでに発表済みの日本の1月の貿易収支はエネルギー価格の上昇から6か月連続の赤字に転じており、その単月の赤字額は約2.2兆円。
1月、原油先物価格はおおむね80ドル台の前半でしたので、この先に発表される2-3月の結果は一段の赤字の拡大を示してくるかもしれません。
ちなみにこの2.2兆円のインパクトですが、参考になるとすれば2011年8月4日、政府日銀が為替介入を実施、介入総額4.5兆円を使い円売りドル買い介入をしました。
介入開始時点で77円台半ば、その日の高値が80.25でしたので、押し上げ効果は3円弱でした。
10年以上前のデータになりますので、単純比較は出来ませんが、貿易赤字の拡大が円売り要因として市場に発生していることは確実です。
ウクライナ情勢の混乱のなかで米国の利上げの織り込みが巻き戻され、単純にこれはドル売り要因ですが、リスク環境が悪化してもUSDJPYが下げ切らないのはこんな理由があります。
YouTubeでも詳しく解説していますので、ご覧ください。
商品価格急騰 迫るスタグフレーションのリスク
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