問題解決の鍵は本質の言語化
問題解決の鍵は本質の言語化
多くの日本の社会問題の解決には、まず「本質の言語化」が大事だと考えています。
世の中の問題は複雑で、解決が困難だと思っている人が多いです。
しかし、多くの問題は次のことだけで解決できるのです。
・正しいマインドセットを身に付ける
・一人ひとりが個性を発揮すること(使命に進むこと)
日本の問題点と解決策をお読みください。
https://real-int.jp/articles/1200/
使命とマインドセットの概念が日本を変えると思っていますが、それらの言語化と「人の内面に関係することの言語化」が本質的に日本を良い方向に変える第一歩だと思います。
鍵となる言語化とは大きく以下のような切り口に分かれます。
1.人にとって本質的に重要なこと
2.間違っているのに、正しいように思い込んでいたこと
3.ぼんやりとは気付いていても、言葉にはできてなかったこと
4.表層だけしか言語化できていなかったこと
5.まだ科学的に解明されていないこと
言語化することで、今まで気付かなったことに気付きます。
いまの日本人は、特に若い世代では
「言語化できなかったけど、何かもやもやしている」
という状態が多いのではないでしょうか。
例えば、次のようなことです。
何か違和感があるけど、どのような違和感なのか説明できない。
間違っているとは感じるが、何が正しいのかまでは分からない。
そうした一つ一つのもやもやしていたところを、言語化して認識できるようにしていくことが、最大かつ最も本質的な日本をよくする手段ではないかと思っています。
例えば、今の日本の教育が「奴隷教育」だと言語化しなければ、まずそれに気が付くことがありません。
問題があることをまず顕在化することが必要です。
そうすることで、なぜ奴隷教育が良くないのか、代わりにどのような教育が良いのかを議論することができます。
また、「言語化すること」は「思考すること」です。
本質的になればなるほど抽象度が高くなるので、言葉化するには、
「深い思考」や、ある時には「直観的なもの」が必要です。
もちろん、直観は思考で吟味することが必要です。
本質が言語化できると、その本質をさらに深めたり、周辺の真理も言語化していくことが可能です。
違和感があるものに対してその違和感の原因や違和感を解消させるロジックを探ることも本質を導くために有効です。
まず、人にとって大事なことは何か、その本質を言語化することは極めて大事です。
1.人にとって本質的に重要なこと
言語化することで、捉えどころが無かったものを捉えることが可能になります。
例えば、今までマインドセットが一番大事といわれてきたものの、どのようなマインドセットが良いのかが分からなかったのは正しいマインドセットが言語化されていなかったからです。
正しいマインドセットについてはこちらをお読みください。
https://real-int.jp/articles/1199/
正しいマインドセットの基本3原則
① 愛されている存在 愛が動機(最高の動機)
② 存在だけで価値がある(最高のセルフイメージ)
③ 人生には世の中を本質的に良くする使命がある(最高の目的)
大事な真理は、聞けば「自分もそう考えていた」と思うほど当たり前のことですが、誰も言っていなかったり、言語化されていないことが多いです。
言語化することで、その本質は力を持つことになります。
本質を言語化すると、常識の間違いや、考え方の片寄りなども言語化できるようになり、混乱を解消することになります。
本質はシンプル過ぎることから、大事だと認識できずにスルーされがちなのは世の中の混乱が原因です。
日本の場合は、あまり根源的、メタの部分を考える習慣がなかったのだと考えています。
そうした本質に近いことが言語化されていないことから大切なことが抜けたまま、表層だけで何となく社会が回っていたのではないでしょうか。
志が大事だといわれても、どのような志が良いのか明示されないことが多いのも、これが原因です。
本質的、根源的なところに目を向ける必要が生じているのではないでしょうか。
人生には目的がないと思ったり、拝金主義なども本質を考えないところから生じているようにみえます。
使命の本質と正しいマインドセットの三原則は、言語化されていなかった本質の中でも最も重要なものです。
2.間違いを正しいと思い込んでいる
私たちが目にする映画やアニメなどのストーリーには隠れメッセージがあり、それが常識だと刷り込まれることが多いです。
映画インディージョーンズなどの冒険もののストーリーには次のような隠れメッセージがあります。
・真理は遠いところにある
・苦労して手に入れたものに価値がある
・昔から一部の人だけに伝承されてきた奥義に価値がある
このような刷り込みがあると、シンプルな原理原則に価値があると認識しづらいのです。
また、混乱は次のような認識間違いを引き起こします。
自分の力で自分を高めようという欲は実は最大の煩悩
https://real-int.jp/articles/558/
成績が良いと褒め、悪いと叱る教育は奴隷教育
https://real-int.jp/articles/489/
引き寄せようとするのは逆効果
「幸せになりたい」「引き寄せたい」と考えている人は
「幸せではない」「欠落感がある」と認識しているので不幸です。
現在、「幸せだ」と認識できることが、幸福度を高めていくことになります。
これらは、こういう理由で間違っていると指摘されれば誰でも気が付くような問題です。
3.ぼんやりと気付いても言葉にできていない
ぼんやりと気付いても言語化できていないことを言語化すると自分の誤った認識に気付き、また気付かなかった問題に気付きます。
代表例の一つは、人の思考が二元論的で考える傾向が強いことです。
二元論(世俗的か宗教的か)
二元論とは、例えば「頑張らなくてよい」と聞くと「何もしないこと」だと認識する人がいます。
酷い場合には「頑張らなくてよい」と聞くと「諦めること」だと認識する人さえあります。
思考が極端な二極に片寄っていて思考停止の状態です。
そして二元論の代表が、マインドセットが「世俗的」か「宗教的」になっていることです。
世間の思考は世俗的な考え方と宗教的な考え方の2つの視点で捉えることが多いです。
世俗的な人は宗教的な人が嫌いで、宗教的な人は世俗的な人が嫌いなので無自覚に、この2つの対照的な視点だけで捉えてしまうのです。
✕世俗的だと、使命とは「何をしたいか」だと考え、自己実現・ギャンブル好きな人の使命はギャンブルだと捉えます。
✕宗教的だと、使命とは「何をすべきか」だと考え、使命を運命・宿命・定められた人生と捉えます。右に行くのが使命か、左に行くのが使命かと考えるので、これ自体も二元論的思考です。
本来の考え方は、使命とは「どう生きるか」だと考え、 世の中を本質的によくする、仕事と遊びと社会貢献が一体の生き方です。
この本来の考え方を 「世俗的」や「宗教的」と区別するために「 使命的」と表現します。
使命の切り口は、このような3つの考え方に分かれますが、二元論の中で考えると、あたかも選択肢が世俗的と主教的の2つだけのように思い込んでしまいます。
使命は世俗的でも宗教的でもなく、その中間でもないので、二元論的思考では使命の本質を理解できないのです。
宗教的・世俗的・使命的な3つの視点
宗教的、世俗的、使命的の3つの視点で使命をどのように捉えるかで全く違うものを見ていることになります。
宗教的だと、裁きの気持ちが強く、清貧が良いと思い、自虐的になります。
世俗的だと、嫉妬の気持ちが強く、拝金主義・放蕩もしくは無価値観に陥ります。
使命的だと、心が喜んでいる状態であり、存在だけで価値があると捉え真の豊かさを得ます。
宗教的も世俗的もどちらも自己中心であり同根です。
どちらも承認欲求が強いです。
正しいマインドセットから外れているからです。
宗教的・世俗的は的外れ
世の中に使命について書かれた本がいくつかありますが、それらのほとんどが、使命を「宗教的」か「世俗的」な視点で捉えているものばかりなのです。
もちろん、どちらも間違いです。
それゆえ、使命と聞くと違和感がある人も多いです。
使命が宗教的なものや、ご都合主義に聞こえる原因となります。
言語化できていない分野
他にも言語化ができていなかったり、言語化が中途半端だったり、言語化されていても認識されていない例には次のようなものがあります。
・お金がある人が人間的にも上位という考え方は拝金主義
・今の日本の義務教育は「奴隷教育」であり、そして社会人になり、企業や組織に所属しても、その世界観のまま。
・「仕事と遊び」が一体な生き方だけではなく、「仕事と遊びと社会貢献が一体」な生き方がある
・真の富の中には、自分が富、使命が富、という概念がある
・存在だけで価値があるなどの三原則
日本人の多くは自覚はないにせよ無自覚で拝金主義に陥っています。
それも拝金主義とはこういうものだと指摘されないと気付かないのではないでしょうか。
4.表層だけしか言語化できていなかった
例えば「個性が大事」「使命が大事」「マインドセットが大事」と同じようなことを言っていた人はいらっしゃると思います。
しかし、個性が大事、
ではどのように個性を見れば良いか?
どのようなマインドセットが良いか?
など一歩深めて言語化できていなかったようなことがあったと思います。
個性が大事でも、どのように個性と向き合うのかがわからなければ、議論は個性が大事、で止まって終わってしまうでしょう。
もう一歩深めたところを言語化していく必要があります。
例えば、個性で言えば、人の個性を捉えるためには、性格・才能・役割の3つの視点を組み合わせて判断することが大事だと考えています。
人の個性なので、絶対的な尺度としてではなく個性を理解するための一つの取っ掛かりとしてのツールを活用すれば良いと考えています。
参考までに性格・才能・役割について簡単に解説します。
性格
人の内面的な志向を見るのに役立ちます。
4つの性格タイプに分かれています。
性格ドットコムhttps://www.seikaku.com/
性格が異なることを理解しないと次のような的外れが発生します。
ウツになっている人に「頑張れ」は禁句?
ウツになっている人に「頑張れ」は禁句だと言われています。
しかし、これは目的指向タイプの人だけの話です。
なぜなら、目的指向タイプでウツになるのは、ずっと目標設定して頑張ってきたのに結果が出せずにウツになるケースが多いからです。
そのような人に「頑張れ」は追い込むことになります。
他のタイプの人には「頑張れ」は禁句ではありません。
むしろ、社交タイプの人は行動しないことが原因になることも多いので「頑張れ」と言ってあげた方が良いかもしれません。
自由が好きな人と嫌いな人がいる
新人の営業研修で「自由に営業して下さい」と指示したとします。
外交指向の性格の人は「なんて自由な良い会社だろう」と絶賛しますが
目的指向の性格の人は「何も教えない酷い会社だ」と即日、辞めるかもしれません。
個性・性格によって、こんなに違います。
才能
才能の特徴は「自分では気付き辛い」ことです。
なぜなら、才能があるため簡単にできてしまうので、人と比べたり、人から指摘されないと本人は才能があるとは思わないのです。
ちなみにある程度使命のことを理解したつもりでも、才能だけを見て個性や使命を判断する傾向が強いです。
才能だけから自分の個性・使命・進路を選択すると的外れになりやすいです。
✕歌が上手だから歌手になる
✕料理が上手なので料理人になる
✕教える才能があるので学校の先生になる
教える才能があっても人を応援・励まし、育てる役割がないと義務教育の教師には向きません。
義務教育の教師と大学教授では、同じ先生でも役割が大きく違うのです。
役割
社会でどのような役割をはたすかという視点です。
人の外面的な志向性(外との関わり)です。
例えば、役割の中には突破口を開くタイプ、いわゆるイノベーターもいますが、日本の社会では出る杭は叩かれ、協調性を求められるために役割を全うできにくいです。
日本にイノベーションを起こすような人が少ないのではなく、イノベーターの役割の人の個性を殺すような社会だからです。
またそうしたイノベーターの役割がある人に対してはアドバイスができる人も限られます。
一般的なアドバイスはむしろイノベーターの個性を殺してしまうでしょう。
一般的なアドバイスは人と違うことをすることを非難することも多くイノベーターにとっては的外れです。
イノベーターに対してアドバイスできる人は同じイノベーターか、イノベーターを専門にアドバイスできるタイプの役割の人です。
そして、イノベーターは適切なアドバイスができる人の言うことに耳を傾けることで正しく機能することも多いです。
イノベーターはある意味、破壊的な面も持つので、イノベーターだけが独断で突っ走ると本人も周りも大変なことになりがちだからです。
5.まだ科学的に解明されていないこと
まだ科学的にきちんと解明されていないようなことを少しずつ言語化していくことも必要です。
現在、多くの大事な本質が、まだまだ言語化されていないと思います。
例えば、約100年前のドイツの哲学者であるルドルフ・シュタイナーは感覚が12種類あると主張していました。
聴覚 言語感覚 思考感覚 自我感覚 (上位)
嗅覚 味覚 視覚 熱感覚 (中位)
触覚 生命感覚 運動感覚 平衡感覚(下位)
これらの感覚を今の時代に理解しやすい表現で言語化していくことだけでも科学・教育・文化の発展やイノベーションに繋がっていくのだと思います。
本質の言語化は創造性を発揮していくエキサイティングで楽しいことなので、多くの人が本質の言語化を推進していただければと思います。
本質の言語化は仕事と遊びと社会貢献が合わさったものであり、世の中の混乱を解消することになるので、かなり使命的です。
まずは言語化していく
使命やマインドセットを言語化し、また性格や役割といったツールを使ったとしても直ぐに日本の問題が全て解決するわけではないでしょう。
しかし、例えばマインドセットが大事、と気づく人が増えると、次はどうしたらマインドセットが良くなるだろう、という話になるかもしれません。
個性を分析するツールもどんどんデータが溜まり、進化する可能性もあります。
しかし、まずは「個性を理解することが大事」という基本的な概念がないと、それも始まらないと思います。
まずは言語化、実行していくことが重要ではないでしょうか。
目に見えない世界とどう向き合うか
人間の内面の言語化とは、
人の心、内面を重んじること、あるいは、
目に見えない領域や、
ミクロ的な世界とどう向き合うのか、
といったことでもあると思います。
ここは、日本政府も教育の中で避けてきたことです。
例えば医療の分野においても、人の健康というのは固体に差があり、ニュートン力学の世界観のように普遍的に誰でも同じ薬で同じ作用がある訳ではありません。
人間の心、内面については、もっと異なった結果になります。
そうした
・個別性の高い領域
・目に見えない、あるいは科学的には証明されていないが、明らかに影響がある領域
このような領域を手探りでも、社会が向かい合う時代になってきたのではないでしょうか。
言語化は世界を良い方向に変革する
ソムリエの田崎真也さんの本にはワインの本ではなく言語化の本があります。
「言葉にして伝える技術-ソムリエの表現力」(祥伝社新書)
TVの食べ物レポート番組で使われる表現では
美味しい
最高
ジューシー
とろける
伝統的な味
などの言葉を多用して味を表現していますが、これらの表現はどれも観る側に、どのような味なのかを全く伝えていません。
相手に味を伝えるには具体的な詳細な言語化が必要です。
ワインの味や香りをソムリエが自分の脳に記憶させるには味や香りを言語化しないと記憶できないそうです。
他人に味や香りを伝えることもできません。
考えるのではなく感じる、そして感じたことを言語化する流れです。
田崎真也さんは年間、一万種類以上のワインを試飲し、ワインの特徴を視覚、嗅覚、味覚、触覚、聴覚など五感をフル稼働させ感じとったことを言葉に置き換えることから始まるのです。
しかも、世界共通で同じ味や香りを認識できることが必要です。
田崎真也さんは、ワインの味や香りを世界的に言語化したイノベーターであり、世界のソムリエの価値を高め、ワインの価値を高めることを成し遂げたのです。
言語化することが価値を生み出したり、価値を高めたのです。
何が本質なのか
どのような混乱に陥っているか
どうすれば良いのか
などを言語化することで、共通認識が可能となります。
これを理解した人は日本と世界を良い方向に変革する基盤ができるのです。
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https://real-int.jp/articles/1200/
https://real-int.jp/articles/1201/
参考書籍
「ビジネスと人生に飛躍をもたらす使命の本質」(幻冬舎)
https://www.real-mission.com/amazon1/